作:シャドウ
「どうやら、来るようだな。クックック」
「そのようね。」
「我々ガ勝ツ確率ハ……」
「計算するまでもないわ。100%。それ以外にないでしょ?」
街の中央に位置するその名もズヴァリ「セントラルシティ」。
この一角に魔法少女と敵対する、魔族界十幹部の4人が集まっていました。
その4人とは……
南区でサーカスをしていて、シュリを人形にした、パペター。
北区でシスターをしながら、タケミを蝋で固めた、ワクス。
西区で強い少女達を呼び寄せ、ヤコをブロンズ像にした、ノルベズ。
そして、一目見ただけでは人間かマネキンかが見分けのつかない、レシン。
魔族界十幹部の作戦は、魔法少女達を固めた後ここに集め、
崇拝する”王”の元へと送ってしまうことだった。
しかし、最後にルカだけが残ってしまった。
そこで、第2作戦の発動である。
幹部たちが一箇所に集まり、彼女をおびき寄せ、
一瞬にしてすべてを終わらせてしまう。
恐怖の第2作戦はすでに始まっていたのだ……!
魔法少女ルカ 第十四話「解呪の魔法少女」
「気配は……ここから……!」
『魔族の臭いがかなり漂ってますね。ここで間違いないようです。』
ルカはルーナと共に作戦を立てる。
と言っても、さっさと幹部を倒して他の3人を解放するという単純な作戦である。
「じゃあ、入ってみるね……」
建物の中はいやに涼しい。
その涼しさは冷蔵庫の中を感じさせる。
ゴクリ……。
唾を飲み込んで、一歩を踏み出したその時!
バカン!!
「え!? きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
突然足元の床が開き、穴となってルカを飲み込む!
穴に落ちたルカは、ウォータースライダーのように送られ、透明なケースの中に閉じ込められた。
「こ、ここは!?」
「クックック。よく来たな」
「これは来たって言うのかしら?」
「正確ニハ”落チタ”ト言ウベキ」
「これで4人。さぁ、どんな声を上げてくれるのかしら?」
ルカの周りに4人の幹部達がそれぞれのコメントをする。
「あなたたち……! 魔族界十幹部なのね!」
「ご名答。正解のご褒美にこの私、レシンがあなたの体を固めてあげるわ。あの子達のようにね」
レシンの指差した先には、シュリ、タケミ、ヤコの3人が鎮座していた。
「みんな!!」
「さて、あなたを固める秒読みの開始よ……」
ルカの上からドロリとした透明な液体が出てくる。
動きの制限されたルカはまともにかぶってしまう……。
「嫌ぁ! 私はみんなを助けなきゃいけないのに……! 体が……体がどんどん動かなくなっていく……!」
「その液体はあなたの体の動きを完全に封じるの。その後にプラスチックの柱になるのよ」
「コレガホントノ”人柱”。ナンチャッテ」
「ノルベズ。無理してボケないでいいんだからね……」
ノルベズとワクスの漫才(ぉぃ)をやっている間にも、ルカの体はどんどん動きを制限されていく。
ついに下半身は完全に動かなくなってしまった。
「終わりね。お眠りなさい、かわいい魔法少女」
「あ……」
悲しみの顔のまま、ルカはプラスチックの柱になってしまった。
意識すら凝固された彼女に、救いの手などあるはずもない……。
「クックック。哀れな奴だ。いや、哀れな子羊と言うべきかな」
「パペター、笑ってないで手伝ってください。これから”王”の元へ送るんですよ。そのためには送る数と同数の幹部が必要なんですから」
「分かってるって。ま、俺はもとより笑っているがな。クックック」
ワクスの書いた魔方陣の上に、ルカ達4人が乗せられる。
「カナノゲカトリカヒノチマムズナレク……」
「カノネガコチラキホニタムムザネルカ……」
「バトコルクオヘタナアクユリサ……」
「ボトクルコエハタナウクイラサ……」
4人が怪しげな呪文を唱えて、魔方陣から光が溢れ……その光に包まれ、魔法陣の上にあったものは全て消えた。
「これで邪魔者はいなくなったな。クックック」
「ええ、これで好きなだけ固める事が……」
「ワクス、パペター、ドウヤラマダラシイ」
「は?」「へ?」
「ど、どういうことですか!? 送られていない!? じゃあ、どこに消えたと言うのです!?」
「消えた?」
「”王”はお怒りよ。来るはずのものが来てないと。4人の魔法少女は忽然と姿を消したのよ」
「そんな、バカな……!?」
―セントラルシティ・ある屋敷
「これが私以外の4人か……。彼女達は味方……救う価値はある……」
少し大人びたロングヘアーの少女は、4人を見てそう言った。
あの魔方陣から4人を助け出したのはこの少女だったのです。
「いくよ。ヴェネリス!」
『解呪!』
その言葉で、4人の体は元に戻るものの、眠ってしまいなおかつ、裸でした。
「こら! ヴェネリス! また裸にして!」
『だって〜。可愛いんだもん〜』
「んもぅ! 夢試練空間発動!」
奇妙な空間が現れたかと思うと、その空間は4人を飲み込み、あっという間に閉じてしまった。
「この世界を守るためには6人の魔法少女の力が必要……あの4人には強くなってもらわなければ……」
『あんたの力があればいいんじゃないの、キリカ』
「いいえ。1人の力には限界があるけれど、6人なら立ち向かえる。……必ず」
皇 桐香(スメラキリカ)とヴェネリス。
5人目の魔法少女の考える事とは……?