作:シャドウ
「どこだ…? どこにいる?」
『焦らないでください、マスター。』
その少女は鋭いツリ目で、灰色の髪をポニーテールにし、
何かを探しているように首を動かしていた。
「悪いが、焦らせてくれ。一刻を争うんだ。」
『マスターの心拍数増加、落ち着いてください。』
その少女をマスターと呼ぶ声はまるで機械のフィルターを通したような冷徹な声だった。
「落ち着いていられるか…。私の親友が…助けを求めているんだぞ…! それを救うのが、魔法少女の存在意義だ!」
そう。
彼女の名は北野岳美(キタノタケミ)、エメラルドの妖精:メルクリィに認められた、
魔法少女タケミなのだ!
魔法少女ルカ 第七話「エメラルドの魔法少女」
「残りの魔法少女を探す?」
「そうですわ。」
コランダムとの戦いから三日が経ったある日、瑠花と朱里は電話でそんな相談をしていました。
「あんなことをされるのは、もう真っ平ですわ!
戦力を増加すれば、あんなことをされる確率はグッと低くなりますわ!」
ちなみに朱里の言う「あんなこと」とはコランダムにされた事である事は言うまでもないだろう。
『…朱里の言い分はともかく、戦力を増加するのは反対じゃない。』
『確かに。助けが必要な事もありますから…。ここは他の魔法少女を探してみるのも手ですね。』
魔法で妖精達も会話に参加する。
「わかった。どこを調べたら良いと思う?」
「近い方が良いでしょうから…瑠花は北を。私は西を調べますわ。」
「うん。じゃあ朱里も気をつけてね。」
こんな話でなかったらまともな会話に聞こえるのだが、
ともかく他の魔法少女を探すことにした二人だった。
その頃、エムロードは…。
「さて、この銃には弾が2発入っている…。」
エムロードが、銃を持って言う。彼の前には二人の少女…。
「この弾に当たれば…。」
バァン!
「きゃあっ!!」
エムロードの前にいた少女の一人が、銃弾に当たった瞬間、ピキピキという音と
共にどんどんエメラルドと化していく…。
「い、嫌ぁっ! 体が、体が!」
叫び声をBGMに少女の体は完全にエメラルドと化してしまった。
もう一人の少女もガタガタと震えている。
「さて、その子を助けたいかい?」
思わず頷くもう一人の少女。
「そうか…。では…。」
そう言うと、エムロードは銃口を自分のこめかみに当てると、引き金を引いた。
カチリ
「ロシアンルーレットだ。ルールは知ってるな?」
エムロードは銃を少女に渡す。
しかし少女は銃をこめかみに当てずにエムロードに銃口を向けた。
「や、やめろ!」
エムロードは怯えてしまう。さっきとは逆の立場だ。
少女は引き金を引いた…と同時に、少女は意識を失った。
そして、エメラルドの像になってしまう。
「なーんてな。その銃には仕掛けがしてあって、引き金を引くとエメラルドになるのさ。
俺は手袋をしてるから平気だがな。」
「だったら今度は私と勝負しろ。命を賭けた決闘でな。」
エムロードに話しかけたのは…北野岳美こと、魔法少女タケミだった!
「へぇ、お前が噂の魔法少女か。」
「そこにいるのは私の親友だ。返して貰おう。」
タケミの眼には怒りの炎が宿っていた。
「はっ…。わざわざヤられに来てご苦労なこった。そこの女達と同じく、飾ってやるよ!」