Silver Fairy 〜Another Story〜 第1話「始まり」

作:Rui


夜道を走る一人の女性
帰りを急ぐ様子ではなく、何かから逃げる様子で走っている
その証拠に所々で後ろを振り返る
角を曲がり安心する女性
その女性に声を掛けるもう一人の女性
「どうかしましたか?」
その声に気付き悲鳴をあげようとする女性
しかしすぐさまもう一人の女性に口を押さえつけられ、
悲鳴を発する事が出来なくなった
「フフッ、心配しなくて良いのよ。恐怖は直ぐに消えるから。」
そう言うと口を押さえつけられた女性の足元から色が変わっていく
それを見て必至で抵抗する女性
「無理よ。おとなしく石像になりなさい。」
そう言うと捕まれた女性は瞬く間に石像と化した
「…あと2つ。」
そう言うとそこから消える女性

翌朝

「仁科ちゃ〜ん、また起きたんだって〜?例の女性連続石化事件。」
「水月。あぁ、お陰で最近寝てね〜よ。」
「ふ〜ん、大変ね。まぁ良いわ。現場検証させて。」
「良いぜ。」
そう言うとテープを越え石像化した女性の元に行く羽咲市警の仁科と
羽咲市内水月財閥当主の水月唯
「どうだ?」
「う〜ん、微かだけど魔力を感じるわ。けど、魔術等とは違う魔力。」
唯の言葉にハテナが飛ぶ仁科
「簡単に言えば一般の警察じゃ解決出来ない事件よ。
 所長の許可貰って来てね〜♪」
そう言うとその場から去る唯
「…全く。遠野!」

パトカーに寄りかかり一服する唯
「大変そうね、唯。」
「…大変なのはそっちじゃないの?羽純。」
「フフッ、確かにね。」
そう言うと1本ねだる羽純
そしてそのまま火をつける
「所で、今回の黒幕、解ってるんですか?唯。」
「大体、って言うか彼女しか居ないって。」
唯がそう言うと、口を開く羽純
「魔族リスフィード、ですか?」
「えぇ。それに、フィーリアが協力しているわ。気を付けないとね。」
そう言うと煙草をパトカーの灰皿へ捨てる唯
「今回の事件、後2回は確実に起きるわ。それじゃ。」
意味深な言葉を残し去って行く唯

水月邸

ロビー

「あれ?何処行ってたの?唯。」
邸宅へ入るなりいきなり声を駆けてくる女性、フェルミナ
「外。羽咲市警と一緒にね。」
「噂の女性石化事件?」
「えぇ。黒幕は解った。リスフィードよ。
 けど、六芒星なんか作って、どうするんだろう?」
不思議に思う唯
同じくフェルミナ
「唯様。お帰りになられてたのですか?」
「ルイ。うん、今さっき。」
「そうで御座いますか。これから如何なされますか?」
「う〜ん、とりあえずいつも通りで。」
「はい。それでは夕餉の方は6時30分に致します。」
「お願いね。」
そう言うと階段を上っていく唯
「フェルミナ、例の事件について話してたの?」
「えっ?うん。」
「少し聞こえたから言っておくわ。
 人柱で作る六芒星は何かを復活させる術式よ。」
「えっ?」
ルイの言葉に驚くフェルミナ
「その何かが私には解らないけど、何か不安がよぎるのよ。」
「唯には、言っとく?」
「私から言っておくわ。フェルミナ、貴女は業務に戻りなさい。」
「解った。」
そう言うとロビーから去って行くフェルミナ
「…邪王メデュー。まさかね。」

夜11時

羽咲駅前の路地

男女が一組、話し合っている
むしろ男がナンパをしている様だ
「いーじゃんかよ〜、俺と一緒に飲もうよ〜。」
「結構です。私、早く帰らないと…。」
そう言って帰ろうとする女性
それを手を出して防ぐ男性
「ならなんでこんな時間にこんな所に居るのかな〜?彼女。」
そう言って女性の顎を掴み顔を引き寄せる男性
その瞬間顔を殴られる男性
「なっ!なんだてめぇは!!!」
「彼女は私が貰うわ。」
「はぁ?ふざけんじゃねえぞ!」
そう言って殴りかかる男性
それを止める割って入って来た女性
「なっ!」
「貴方はメッセンジャーよ。水月唯へのね。」
そう言うと男性を吹き飛ばす割って入って来た女性
「さて、さぁ、私と一緒にいらっしゃい。」
そう言うと絡まれてた女性と一緒に消える割って入って来た女性

翌朝

羽咲署

「んで、彼がどうしたって言うのよ?」
マジックミラーから取り調べ室を眺める唯
その言葉に答える仁科
「昨夜女性をナンパしてそうだ。」
「それが何か?」
「その時に不思議な感じのする女性を見かけたそうだ。」
「不思議な感じのする女性?」
「あぁ。そしてその女性はあの男がナンパして居た女性と共に
 その場から消えたそうだ。」
仁科の言葉に考え込む唯
「羽純曰く魔力を若干量感じたそうだ。」
その言葉にピンと来る唯
「仁科ちゃん、この事件から手を引かない?」
「…俺らの管轄外、か?」
「えぇ。」
そう言うと黙り込む2人
「…解った。何か調べる事があったら言ってくれ。」
「ありがとう。
 それと、2週間以内にオープンする美術館を調べてくれない?」
「OK。解ったら…羽純をよこす。」
「解った。それと、あの彼は放して良いわよ。特に何も感じないから。」
「解った。」

羽咲署前

先程の男性が出て来る
それを見計らって声を掛ける唯
「少し良いかしら?紫堂信一君。」

羽咲中央公園

ベンチに座り紫堂信一から詳しい話を聞く唯
「成る程。良く解ったわ、ありがとう。」
そう言うと立ち上がる唯
「あ、あの…。」
「何?」
「あっ、いえ、別に…。」
「そっ、それじゃあね♪」
そう言うとそこから去って行く唯
「…(やっぱり貴女なのね、リスフィード!)」
心でそう言いながら帰宅の徒に着く唯

続く

次回予告
早々に犯人を特定した唯
そんな唯は仁科からの情報を受け取る
その情報を元に単身乗り込む
次回第2話「光と闇の交わりし場所」

つづく


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