作:Rui
柊町駅前
「茜、ここで良いのね?」
「はい。ここが柊町です。我が主、黒薔薇の君。」
「そう。行くわよ、茜。」
「はい。」
そう言って歩き始める黒薔薇の君達
ふとそこに婦人警官が声を掛けて来る
「ちょっとそこの貴女。中学生でしょう?早く家にか…。」
“帰りなさい”
そう言おうとしたのだろうか
その言葉は途中で止められ婦人警官は金の像と化した
「行くわよ。」
そう言うと再び歩き始める黒薔薇の君
「待ちなさい。ここから先は、行かせません。」
その言葉と共に黒薔薇の君の前に立ちふさがるシエルと秋葉
「…茜、任せます。」
「はい。黒薔薇様は先に。」
そう言うと一歩前に出る茜
「貴様達相手に黒薔薇様が出る幕でも無い。この私が相手をします。」
そう言うと黒い鎧に身を包み剣を抜く茜
「やるしかないようですね、秋葉。」
「そうみたいですね。」
そう言うとそれぞれ武装具を纏う
シエルは蒼と黒をメインに
秋葉は赤をメインとした鎧に身を包む
「貴女達の相手など、こいつらで充分!」
そう言うと大量の転移魔方陣が敷かれ
そこから黒い鎧に身を纏った女性達が出て来る
「…結構な数ですね。」
「全て蹴散らすまでです。」
「さぁ、倒さないとドンドン出てきますよ。それじゃ。」
そう言うと黒薔薇の君と共に去って行く茜・さつき・水月
「待ちなさい!!!」
「今はこいつらを片付ける方が先です。」
シエルを止める秋葉
「…解りました。」
そう言うと振り返りシエルと背中を合わせる秋葉
「…こんな事を頼むのもなんなんですけど、貴女に背を預けます。」
「…私もですよ。遠野秋葉。」
そう言うと同時に駆け出す2人
その頃白塚から柊町に向けて疾走する紫亜・アルク・志貴
その中でふと口を開く紫亜
「…何か来ている。」
「来てるって言うか、着いて来てる。」
ふと考える紫亜
考える紫亜を見て口を開く志貴
「紫亜・アルク。2人だけで先に行ってくれ。」
「えっ?遠野君、貴方1人で止めるつもり?」
「あぁ。大丈夫、ちゃんと追い付く。」
「…解った。お願いね。行くよ、アルク。」
そう言うと更に加速する紫亜とアルク
それを見送ると歩みを止め口を開く志貴
「…出て来い。付けてるのは解ってる。」
志貴の言葉に姿を表す女性
「…貴女でしたか、琥珀さん。それに翡翠も。」
「志貴さ〜ん。協力してくれませんか〜?」
「断る。」
そう言うとポケットに手を入れ七つ夜を掴む
「そうですか。なら、行けアーマード翡翠ちゃん♪」
「はい、姉さん。」
そう言うと志貴に向かい突っ込んで来る翡翠
そのまま跳躍し、回し蹴りを放つ翡翠
それをガードする志貴
「!!」
ふと違和感を持つ志貴
蹴った左足を軸にし、右足で蹴りに来る翡翠
反射的にしゃがんで避ける志貴
蹴りが当らずそのまま着地すると距離を取る翡翠
それを見て立ち上がり眼鏡を外す志貴
「…琥珀さん。今目の前に居る翡翠は、本当の翡翠じゃない。」
「(ぎくっ)な、何を根拠にそんな事言うんですか?志貴さん。」
「攻撃をガードした時の感覚が人とは違った。それと、線が見えない。
人なら、線がハッキリと見える。けど、この翡翠には、全く見えない。」
「…正解です。だからと言って攻撃の手は、休めませんよ。」
そう言うと同時に駆け出す翡翠と琥珀
それを冷静に見る志貴
「…最初は、翡翠!」
そう言うと同時に翡翠に向け駆け出す志貴
「極彩と散れ!!!」
言うと同時に翡翠を切り刻む志貴
斬り刻まれた翡翠の身体が地面へと落ちる
その身体からは紅い血では無く、黒いオイルが流れ出ている
「…やっぱり。」
そう言うと同時に琥珀の方を見る志貴
そしてそれぞれ構えながら隙を伺う2人
ふとその時女性の声が聞こえる
「邪悪なる力を焼き尽くせ浄化の炎よ!」
突然の声に周囲を見渡す琥珀
「浄化の炎(メキド!!!)」
その言葉の後白い炎が琥珀を包む
その炎が止むとその場に倒れ込む琥珀
「琥珀さん!」
琥珀に駆け寄る志貴
「大丈夫よ。彼女の魔を燃やしただけだから。彼女自身に害は無いわ。」
「…貴女は?」
「…楓の仲間、とだけ言っておくわ。」
「…敵では、無いんだな?」
「…えぇ。…彼女の事、任せて良いかしら?」
「…あぁ。」
「それじゃ、私は柊町へと行かせて貰うわ。」
そう言うと背中から羽根が生える女性
その光景に唖然とする志貴
「任せたわよ、彼女の事。」
そう言うとそこから飛び立つ女性
「…何だったんだ、一体。」
そう言うと七つ夜を仕舞い眼鏡をかけ琥珀の元へ寄る志貴
白塚
傷付き座り込み壁によっかかるフィーリアと
それを立ちながら見る楓
「フィーリア、黒薔薇の君の真意、教えて。」
「…そうね。彼女は、ただ1人の男性を自分の物にする為に、魔に堕ち、力を得たのよ。」
「1人の、男性?」
フィーリアの言葉に疑問に想う楓
「…その男性の名前は、鳴海孝之。…不思議ね、女性って。私も、楓もそうだけど。」
「…フィーリア、気が向いたらで良い。力を、貸してね。…神装!」
そう言うと神装騎を纏いそこから飛び立つ楓
「…駄目ね、私も。…そう思うでしょ?アーリィ。」
柊町駅前
疲労しながら背中を合わせる秋葉とシエル
「まだ、行けますか?遠野秋葉。」
「誰に、物を言ってるんですか?貴女は。」
「…確かに、そうですね。それじゃ、行きますよ。」
「えぇ。」
そう言った瞬間
秋葉とシエルの前に人影が2つ、現れる
「無事ですか?シエル・秋葉。」
「紫亜。それにアルクェイド。」
人影を見て口を開くシエル
「ヒーリングラウンド。」
紫亜がそう言うとシエルと秋葉・それにアルクに力がみなぎる
「ここをお任せしても良いですか?私は、黒薔薇の君を追います。」
「紫亜、彼女達は白陵柊の方です。」
「解りました。シスターシエル。皆さん、ご無事で。」
そう言うと人形達を壊しながら白陵柊の方へ走る紫亜
「…さて、全滅させますよ。この人形達を。」
続く
次回予告
勝敗を付け柊町に向かう楓
志貴を助け柊町に向かう楓の仲間と言った女性
そして黒薔薇の君を追う紫亜
はたして彼女達は黒薔薇の君を止められるのか?
そしてシエル・アルク・秋葉は人形達を倒せるのか?
次回第6節「黒の薔薇・聖なる騎士」