作:Rui
放課後
白陵柊校門
「ごめ〜ん、遅くなっちゃった〜。」
そう言いながら走ってくる遙
「大丈夫。そんな待ってないよ、遙。」
そう言うと遙を抱きしめる孝之
「…涼宮さん、行きましょう。」
「あっ、うん。」
楓の言葉に答える遙
そう言うと歩き始める4人
同時刻
橘町の海浜公園
そこには志貴の妹の秋葉の姿があった
「隠れてないでとっとと出て来たらどうですか?」
秋葉の声に姿を表す茜
「…誰かしら?名乗りなさい。」
「茜。涼宮茜。遠野秋葉、貴女を我が主の下へ。」
そう言うと木の影から出て来る水月とさつき
「行きなさい。」
「「はい。」」
そう答えると黒い鎧に身を包む2人
そのまま剣を抜き秋葉に襲いかかる2人
「貴女を倒せば遠野君は私の物。」
そう言うと斬りかかるさつき
何事も無く軽く捌く秋葉
その隙を狙い斬りかかる水月
「(しまった!!!)」
秋葉がそう思い目を閉じた瞬間
カキーン
独特の金属音が響く
何かと思い目を開く秋葉
そこに居たのは…
「レイピア!…ひ、一先ず退くわよ。」
茜がそう言うとそこから茜と共に去って行く水月とさつき
「…大丈夫でしたか?遠野秋葉さん。」
そう言うと銀装を解くレイピア
「え、えぇ。それより貴女は?それと彼女達は?」
「私は鷲月紫亜。貴女の兄遠野志貴と同じクラスの者です。
そしてさっきの彼女達は3人共操られています。巨大な負の力に。」
「…それより、兄さんは大丈夫なのですか?」
「楓姉さんがついています。しばらくは安心して下さい。」
「そう。」
「…よければ送りましょうか?」
紫亜の言葉に頷く秋葉
涼宮家
遙の部屋
「ちょっと待っててね。」
そう言うと部屋から出て行く遙
部屋の中を見て唖然とする志貴
「まぁ普通はそうだよな。」
フォローを入れる孝之
そんな中1人呟く楓
「…私の部屋とは大違いね。」
「「えっ?」」
同時に疑問に思う志貴と孝之
「…あまり気にしないで。」
「きゃああぁぁぁぁ!!!」
楓がそう言った瞬間
遙の悲鳴が聞こえて来た
直ぐに下に駆け下りる3人
そこで見た光景は…
金と化した遙と…
「茜ちゃん?」
茜の姿だった
「茜ちゃん。遙をどうするつもりだい?」
「我が主の元へ。」
「主って、何を言ってるんだ?」
「私は正常ですよ。お兄ちゃん。」
茜の言葉に混乱する孝之
「遠野君、鳴海君をお願い。」
そう言うと茜に詰め寄る楓
「私を殺すんですか?それとも浄化するんですか?」
「さぁ、どっちだろう?」
「どっちにしたって無理ですよ〜。今の私は傷付く事が無いんですから。」
そう言うと金化した遙に近寄る茜
「それじゃ、お姉ちゃんは貰っていきます。」
そう言うとそこから一瞬で消える茜
呆然とする孝之
「柊さん、一体何が?」
ふと疑問の声を出す志貴
「…ここじゃなんだから、移動しない?」
「それじゃあうちの家に。」
楓の提案に答える志貴
「鳴海君、行くよ。」
そう言うと涼宮邸を出て行く3人
同時刻
遠野家
「お帰りなさいませ、秋葉様。」
「あら、翡翠だけ?琥珀は?」
「姉は今出ています。」
「そぅ。…後で私の部屋に紅茶を持って来てくれるかしら?」
「はい、解りました。」
その返事を聞くと口を開く秋葉
「こっちよ。」
そう言うと階段を上って行く秋葉とそれに付いて行く紫亜
秋葉の部屋
「さて、先程の女性達は一体何なんですか?説明、してくれますよね?」
秋葉の言葉に口を開く紫亜
「…元は只の人です。…ある特異な術によって能力者となっているだけです。
…理解出来ますか?遠野秋葉。」
「つまり、解決するなら大本を叩けって事?」
「…まぁ間違いじゃありませんね。」
そう言うと紅石で出来た十字架のネックレスを渡す紫亜
「これは?」
「お守りです。無いよりかはマシかと…。」
「…確かに。」
コンコン
秋葉がそう言った瞬間
ドアをノックする音がした
「秋葉様。紅茶をお持ちしました。」
「入りなさい。」
「失礼します。」
そう言うとドアを開け部屋に入って来る翡翠
そしてそのままテーブルにカップを置くと紅茶を注ぐ
紅茶を注ぎ終わると口を開く翡翠
「それでは秋葉様、何かありましたら及び下さいませ。失礼します。」
そう言うと部屋から出て行く翡翠
同時刻
遠野家ロビー
「へぇ、結構良い家なんだな、遠野。」
「鳴海、そんなに良くは無い。」
こんなやり取りを交わす孝之と志貴
「あれ〜、志貴さんじゃないですか?」
ふと気の抜けた声が聞こえてくる
「琥珀さん。秋葉は帰って来てますか?」
「えぇ。翡翠ちゃんが相手したみたいで、今はお部屋で偶然知り合った方とお話してます。」
「そっ。」
「それより、後ろのお二人は?」
「あぁ。学友だよ。白陵の。」
「鳴海孝之です。」
「柊楓。つい先日転校して来たの。」
「はい。」
「琥珀さん、それより何か作ってくれませんか?」
「はい、解りました。それじゃあソファ―にでも座ってて下さい。」
そう言うとキッチンの方へ去って行く琥珀
「そんじゃこっちに。」
そう言うとソファーに案内する志貴
そしてそれぞれソファーに座る
「…さて、何から説明すれば良いのやら。」
楓の言葉に答えるかのように口を開く志貴
「解っているならで良い。…俺の、目について、教えてくれないか?」
志貴の言葉に一瞬間を置き、口を開く楓
「…そうね。知っておく必要があるわね。
遠野志貴、貴方のその眼は“直死の魔眼”と呼ばれる目よ。」
「直死の、魔眼?」
「えぇ。人や物にはあらかじめ決められた「死期」がある。
その目はその死期を線として捉え、その線をなぞる事により、その物自体を死に誘う。
そう言う目よ。」
「…そんな、目なのか。」
「えぇ。外的要因や魔術的要因、全てを無視し殺せる事の出来る眼よ。」
「次、良いか?」
「何かしら?鳴海君。」
「茜ちゃんは一体どうしたんだ?それと、遙は無事なのか?それに速瀬も…。」
「…。そうね、涼宮遙に関しては生きているとも死んでいるとも言えない状態。
妹さんに関しては操られているわ。速瀬さんに関しては、捕らえられてるかと…。」
「…俺は、何か出来ないのか?」
孝之の言葉と態度に真剣である事を感じる楓
少し黙った後光る球体を出す楓
「今迄の日常には戻れない。その覚悟があるのなら、この球を取りなさい。鳴海孝之。」
そう言って球体を差し出す楓
「…遙を助けたい。けど、俺には、この球体は取れない。」
「…普通は、そうよね。安心して鳴海君。貴女の彼女は、私達が取り戻すわ。」
「それが、SKとしての、役目ですよね?楓姉さん。」
「…紫亜。確かにね。」
「兄さん、帰っていらしたんですか。」
「秋葉。あぁ。」
「…成る程。紫亜さんから大体は聞いていましたけれど、結構奥が深い事件ですね。」
「事件じゃない。革命よ、戦争よ。」
紫亜の言葉に息の呑む一同
「警察が本格的に動いた時には既に遅い。そうなる前に動き、叩くのが私達。」
「Saint
Knightって奴か?」
「えぇ、そうよ鳴海君。SKは私達能力者の集まりの事を言うの。」
「聖なる力で魔を討つ。それが私達。」
楓と紫亜の言葉に黙り込む一同
「…遠野志貴、遠野秋葉。貴方達に言っておくわ。この屋敷に、あちら側の人間が居るわ。」
楓の言葉に驚く2人
「例えば、そこにいる侍従とか?」
そう言いながら銃を構える楓
それに合わせ仕込み杖を抜刀し楓の首筋に当てる琥珀
「琥珀!貴女まさか!」
「正解です。秋葉様。私もあちら側の人間ですよ。既に翡翠ちゃんも…。」
「なっ!」
琥珀の言葉に驚く志貴
「クスクス。本当ですよ、志貴さん。」
「トロン!!!」
右側からイカヅチの剣をぶち込む紫亜
その攻撃は琥珀にクリーンヒットする
よろめく琥珀
「(チャンス!!!)」
心の中でそう思った瞬間
銀装を纏う紫亜
そのまま抜刀し、琥珀に斬りかかる
カキーン
その瞬間独特の金属音が響いた
そこには黒い鎧に身を包んだ女性が居た
「彼女を殺させはしない。…来ますか?我が主の元へ。」
「…えぇ。」
琥珀の返事を聞くと剣を弾きそこから一瞬で消えた
「我が名は黒薔薇の騎士。いずれ再びお目見えする事でしょう。」
その言葉の後剣を納め銀装を解く紫亜
「楓姉、すみません。逃がしてしまいました。」
「良いのよ紫亜。それより、素性を明かしといた方が良いかしら?」
「…そうですね。」
2人の会話にハテナが飛ぶ志貴・秋葉・孝之の3人
「ルイ。」
「側に。」
楓がそう呼ぶと楓の側に膝まづくルイ
「立ちなさい、ルイ。」
「はい。」
そう言うと立ち上がるルイ
それを確認すると楓の髪の色が金に変わり腰まで伸びる
「…さて、3人共、魔術とか、信じる?」
ふと質問をする楓
「志貴君は、どうかしら?」
「…信じたくなりますね。自分自身、そうだから。」
「…直死の魔眼ね。…妹の秋葉さんは?」
「血筋がそう言う血筋なので…。」
「ふ〜ん。鳴海君は?」
「…今の今迄信じていなかったよ。けど、目の前であんな光景を見せられたら、
信じたくなる。」
「OK。ルイ、私と紫亜意外に、誰か来ているかしら?」
「私が来てるわよ。」
楓の言葉の直後に口を開く女性
「フェルミナ。貴女が来ていたのね。」
「えぇ。」
「これだけ揃えば大丈夫ね。今度はこちらから攻めるわよ。」
続く
次回予告
今迄守りに徹していた楓達
だがある程度メンバーが揃ったので攻撃へと転じる
そこへ黒薔薇の騎士が現れる
果たして楓達はこの事件を解決出来る事が出来るのか?
次回第4節「Knight
Of Black Rose」
我がマスタ―、黒薔薇様の邪魔をする者は、全て私が倒す