Silver Fairy 第5章 第2節「楽園と呼ばれる場所」

作:Rui


「う、う〜ん。」
とある部屋で目を覚ますフィーナ
「…(そっか、さらわれたんだっけ?私。)」
そう言うと起き上がり部屋の外へ出るフィーナ
そこには巨大な都市があった
「…何?これ?」
そう言いながら呆然とするフィーナ
「バニシア。この都市の名前よ。」
突如聞こえた声に警戒するフィーナ
「警戒しないで。…って言う方が無理だと思うけど、争いはしたくないの。ここでは。」
良く聞き声のする方を向くフィーナ
声のした方を見て驚くフィーナ
「まぁ、驚かれるのも無理はありません。」
そう言う女性の格好は…
首から下を覆うエナメル製のメイド服。
スカートはロングで足元が見えるか見えないかの瀬戸際の長さ
肩の部分は膨れ、頭の上にはカチューシャ(これもエナメル製)が乗っている
ちなみに色は紫
勿論エプロン着用
ふと自分の格好を確かめるフィーナ
「気になるんですか?自分の姿が?」
「普通は気になるって。」
ちなみにフィーナの格好は赤のエナメル製キャットスーツ(首から下を覆う物です。)
「…銃が無い。」
「失礼ですが、こちらでお預かりしています。」
「そう。…んで、聞きたい事があるんだけど、良い?」
「はい。遠慮無く。」
「ここは何処にあるの?」
「それは言えません。」
「さっきこの都市の事、バニシアって言ったけど、伝承にあった、あのバニシアなの?」
フィーナの言葉にうなずく女性
「ふ〜ん。それと、貴女の名前は?」
「私ですか?私の名前は如月紫亜。シアとお呼び下さいませ。」
「ませって、メイドじゃないんだから…。」
「私は貴女様のメイドでございますよ。マスター。」
シアの言葉に頭を抱えるフィーナ
「マスター、どうなされました?」
「あ〜、何でも無い何でも無い何でも無い!
とりあえず私の事をマスターと言うのは止めて!」
「それではなんと呼べば?」
「呼び捨ててフィーナで良い。」
「呼び捨てなんて…。」
フィーナの言葉に悩むシア
「とりあえず用事がある時は呼ぶから、私への呼び方については後回し!
それよりも、バニシアの中を案内してよ。」
「…はい。」
シアと共にバニシアの中を回るフィーナ
途中で会う女性は皆不思議な格好をしていた
キャットスーツみたいなバニースーツを着た女性。(勿論エナメル)
他にも猫・狐等
「ねぇシア。」
「はい。なんでしょう?」
「ここに居る人達って、皆こうなの?」
「はい。ここじゃ普通の事ですから。」
「…そう。」
少し呆れながらも返答するフィーナ
「それよりも、早くここでの生活に馴染んで下さいませ。」
そう言うとフィーナの部屋の前に到着する
「ご用件がある時は部屋の中にある鈴を鳴らして頂ければ、お伺い致します。」
「そっ、解った。」
「それでは、失礼します。」
そう言うと部屋の前から去って行くシア
それを見送ると部屋の中に入りベッドに転がるフィーナ
「…(何日、耐えられるだろう?私は。)」
そう言うと静かに目を閉じるフィーナ

エルミナド教会礼拝堂

そこには唯・イリア・セフィリアの姿あった
「そう、フィーナが。」
「ゴメンイリア。私のミスで。」
「良いのよ姉さん。姉さんだって、失敗の1つや2つあるわ。」
「それより、フィーナが何処にいるか突き止めないと。」
口を挟むセフィリア
「侍従天使(エンジャイアー)を付けたんだけど、排除されちゃったしな〜。」
「打つ手無し、ですか。」
悩む3人
「一応羽純とルイに頼んで調べて貰ってるけど…。」
「「「は〜。」」」
溜息を付く3人
「唯!」
ふと礼拝堂に響く声
「羽純、解ったの?」
「大体の見当は付きました。ルイも同様です。」
そう言うと立体型パネルを展開させる羽純
「先ずこれが私が調べた物です。これにルイのを足すと…、こうなります。」
「かなり細かいわね。」
「恐れ入ります。」
唯の言葉に答えるルイ
「侵入出来る場所は3つ。1つは正面。1つは裏手。1つは空中から。
それと、調べてて懐かしい名を聞きました。」
羽純の言葉に何かを感じる唯
「羽純、その名は?」
「…バニシア。」
「…羽純、バニシアがある場所、解ってる?」
「勿論です。」
「…私にイリア。それにカヤキス・ルイ。以上のメンバーで行くよ。異存は?」
唯の言葉に答えない一同
「今から出るよ。羽純、カヤキスに連絡を。」
「了解。」
「ルイとイリアは準備を。」
「OK、姉さん。」
「解りました。」
そう言うとそれぞれ散って行く
「彼女、無事だと良いね。」
「多少は大丈夫よ。」

30分後

唯・ルイ・イリア・カヤキスの4人がエルミナド教会に集まって居た
「それじゃ、行くわよ。セフィリア、私達の居ない間、この町をお願い。」
「OK。」
その言葉を聞くと出発する唯達

N県山中

双眼鏡で確認する唯
「考えるわね〜、表向きは研究所。裏では女性達を監禁。そんじゃ、行くわよ。」

研究所正門

守衛2人と監視カメラ4機に守られた正門
そこに黒装を纏った唯が姿を表す
「誰だ貴様は?ここから先は立入禁止だぞ。」
「私はフェイト。」
そう呟いた瞬間
守衛2人とカメラ4機を一瞬で斬るフェイト
「不吉を届ける者。」
そう言うとそのまま門を飛び越えるフェイト
それに続くルイ・イリア・カヤキス

バニシア

「ねぇシア。」
「はい。なんでございましょう?」
「ここは一体何なの?何か不吉な物を感じるんだけど…。」
「…ここは楽園と呼ばれる場所。不自由なく暮らせ、争いの無い都市。
それこそがバニシアで御座います。」
シアの言葉に口を開くフィーナ
「不自由なく、争いも無い。そして楽園。シア、私は一切否定するよ。」
「何故でございますか?」
「人は人で居る限り争いは無くならない。それに、私はここに居て不自由を感じる。
それに、楽園なんて、夢物語よ。」
「…そうですか。それなら仕方有りませんね。」
そう言うとフィーナの首筋に手刀を当てるシア
「シ、シア?」
「マスターにはここの良さを解って貰う為、ここの事を学んで貰います。」
シアの言葉を聞き終わると同時に気を失い倒れるフィーナ
「ファル・エリシア。彼女を例の部屋へ。」
「「はい。」」

研究所内部

「う〜ん、予想通りの展開。」
銃弾が駆け巡る中、柱の影に隠れている4人
「参ったな〜。ルイ、横から回れる?」
「やってみます。」
そう言うと視界の影になるように後退し、その後横へ移動し迂回するルイ
「ルイの攻撃が合図よ。良いわね?」
唯の言葉に頷くカヤキスと羽純
「それに、新しい物試す良い機会だし。」
そう言うと水晶を取り出す唯
「唯、それはなんだ?」
カヤキスの言葉に微笑む唯
「クリスティア!!!」
そう言うと水晶が形を変え剣と成った
「ルイ!」
その言葉と同時に敵の右側から爆裂系魔法を打ったルイ
「我の前に出で敵を討て。クリシティア!!!」
そう言うと水晶の槍が出て来る
それを避ける防衛隊
「カヤキス!!!」
唯がそう言うと同時に避けると
左右を黒き龍が走る
それに飲まれまいと中央に寄る
その瞬間
「エルスティア!!!」
白い気流が防衛隊を飲み込む
「ナイスタイミング、羽純。」
唯がそう言うと同時に着地するルイ
「さてと…。」
そう言うと防衛隊の1人に近づく唯
「答えなさい。外から連れて来た女性達は何処に居るの?」
そう問い掛ける唯
だが既に息絶えていた
「…自ら。…行くよ。」
そう言うと更に奥へと進んで行く唯達

続く

次回予告
研究所を奥へ奥へと進んで行くとエレベーターホールに出る唯達
そこには1基のエレベーターがあるのみだった
意を決し乗り込む唯達
そして辿り着いた場所は…
次回第3節「忘れられぬ都市バニシア」

つづく


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