Silver Fairy 第5章 第3節「忘れられぬ都市バニシア」

作:Rui


研究所の中を奥へ奥へと進んで行く唯達
奥へ進んでいるとエレベーターホールへと出る
そこにはエレベーターが1基だけあるのみ
「…見るからに怪しい。」
「確かに。」
羽純の言葉に答えるルイ
するとエレベーターのドアが開く
「…乗れって事か。行くわよ。」
唯を先頭にエレベーターに乗り込む4人
ドアが閉まり下降するエレベーター

エレベーター内で口を開く唯
「さて、この後何が起きるか私でも解らないわ。もし離れ離れになった場合、
各自の判断で行動して。良いわね?」
唯の言葉に頷く3人
「…それにしても、長いわね。」
「唯、お前もやっぱりそう思うか?」
「カヤキスも?」
「俺だけじゃない。羽純とルイもそう思っている筈だ。」
そう言うと羽純とルイを見るカヤキス
それに合わせ頷く羽純とルイ
「感じ的には、底の無い感じの場所に、落ちて行く感じだ。」
「…確かにね。」
そう言うと到着するエレベーター
そしてドアが開く
そこに広がっていた風景は…
「…バニシア。本当にあったのね。」
そう言いながら歩き出す唯
「唯。」
それを追いかけるカヤキス
それに続くルイと羽純
バニシアの中を歩く唯達
「唯、さっきバニシアって言ったけど、本当なの?」
「羽純。…私にも解らない。もう少し見てみないと。」
「もし、ここがバニシアだったら、どうするの?」
「その時は…。」
「珍しい。招かれざる者が来るなんて。」
ふと聞こえた女性の声に構える唯達
「フフッ、構えなくても良いですよ。争いの無い場所ですから。ここは。」
「だとすると、ここはバニシアなのね?」
銃を構えたまま唯が口を開く
「はい。楽園と呼ばれる都市バニシア。それがここの名前です。」
その言葉を聞くと銃を仕舞う唯
その瞬間髪の色が金に変わり腰迄延びる
「!!」
その変わりように驚く女性
「私はクリス。聖神クリス。貴女、名前は?」
「シア。如月紫亜。」
「そう。ならこの中を案内して。見てみたいのよ、楽園と呼ばれる場所を。」
「は、はい。お連れの方は?」
「…ルイ。ここで待っていなさい。」
「はい。」
そう言うとシアと共に奥へ消えて行くクリス
「ルイ、行かせて良かったの?」
「あー言う方です。私より、カヤキスさんの方が解っていますよ。唯様の事。」
「…確かにな。」
そう言うと奥の方を見る3人

バニシア中心部

「ここが中心部?」
「正確にはコアとなる部分への入口に過ぎません。ここを中心に居住区が展開しています。」
「ふ〜ん。」
「シア。」
ふとその声に気付き振り向くシア
「マスター。」
その言葉にクリスも振り向く
そこに居たのは…
「(フィーナ。)」
「シア、そちらに居る女性はの方は?」
「クリス=ラス=レイピアよ。貴女は?」
「フィーナです。」
「そぅ。」
そう呟くクリス
「シア、この方と少しお話しがしたいの。少し外して貰っても良いかしら?」
「解りました。終わりましたらお呼び下さいませ。」
そう言うとそこから離れて行くシア
大分離れた事を確認すると口を開くフィーナ
「…心配、したんですか?唯姉。」
「…まぁ一応は。それよりここはどう?」
「洗脳させて無理矢理ですよ。楽園なんて呼べる場所じゃないです。」
「…何か手は打ってあるの?」
「いえ、打とうにも打てません。」
「あら、銀十字があるじゃない。」
「えっ?」
そう言うと胸元探るフィーナ
「あっ。」
首に掛かっている銀十字を確認するフィーナ
「始める時は、なるべくなら言ってね。」
「…はい。それではシアを呼んで来ますね。」
そう言うとシアの去った方へ歩いて行くフィーナ
「(結構演技上手ね。)」
そう心の中で呟くとシアを連れて戻って来たフィーナ
「クリスさん、このまま帰るんですか?」
「う〜ん、バニシアがどんな町なのかもう少し知りたいから、
1週間ぐらいはここに居るつもりよ。」
「一緒に居た方はどうなされますか?」
シアが口を開く
「私から事情を言っておくわ。」
「解りました。」
「シア、クリスさんにお部屋を用意して上げて。」
「はい。それでは失礼します。」
そう言うとそこから去って行くシア
「さて、取り合えず事情説明して来る。」
「はい。」

バニシア入口

「唯様。」
「やっほう。ちょっち話す事あるけど、良い?」
「大丈夫だ。ルイ・羽純、帰るぞ。」
「カヤキス。」
「お前の言いたい事は大体解る。安心しろ。直ぐに駆けつける。」
そう言うとエレベーターに乗り込むカヤキス・ルイ・羽純
それを見送ると中心部に戻る唯

バニシア中心部

「クリス様。お部屋の用意が整いました。こちらへどうぞ。」
別の女性に連れられるクリス

「それではこちらのお部屋になります。」
「…良い部屋ね。」
「はい。最上級のお持て成しをしろと言われましたので。」
「そっ。」
「何かありましたらそちらの鈴をお鳴らし下さいませ。」
「解ったわ。ありがとう。」
「それでは、失礼します。」
そう言うとそこから去って行く女性
「…さて、今日の所は寝よ。」
そう言うと床につくクリス

研究所外

「カヤキス、どう言うつもり?」
「羽純、食料とテントの調達、良いか?」
「えっ?えぇ良いけど。何で?」
疑問に思う羽純
「それは秘密だ。だが、唯が関係してる事だけは、言っておこう。」
「…解った。」
そう言うとそこから去って行く羽純
「…一緒に帰っても良かったんだぞ。」
「いいえ、唯様があそこに居る以上、私も残らないと。」
「…そうか。持久戦になるぞ。」
「覚悟しています。」
「…良く言った。」
そう言うと研究所の方を見るカヤキス
「(…無事で居てくれよ、クリス。)」

続く

次回予告
唯がバニシアに入ってから1週間
バニシアの事を理解した唯は行動に移る
そしてそこで、以外な人物と再会する
次回第4節「再会は戦場で」

つづく


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