作:Rui
中央都市南部朱雀門
門をくぐる唯と秋華
「…まさかこんな形でこの門を再びくぐるなんてね。」
「…懐かしいの?」
「…そうね。行きましょう。」
秋華の言葉に頷く唯
西部白虎門
門の前に立つフィーナとルイ
「来たね、ルイ。」
「えぇ。」
「行こう、遅れる。」
そう言うと門をくぐる2人
東部蒼龍門
門の下で一服しているカヤキス
「余裕なの?一服するなんて。」
「…気にするな、なんでもない。」
そう言うと煙草の火を消すカヤキス
「行くぞ、フィーリア。」
「えぇ。」
中央広場
南の門から入った唯と秋華は広場へと出て居た
「…誰も居ない。何かしらあると思ったのに。」
ふと口を開く秋華
「…確かに、誰も居ないわね。こう言う事ってあるの?」
「いや、初めてだけど…。」
秋華の言葉に考え込む唯
「…秋華、ここで悩んでいても始まらないわ。突入するわよ。」
そう言うと剣を抜く唯
それと同時に髪の色が金に変わり腰迄伸びる
「OK、唯。」
そう言うとヴォルケスを手にする秋華
そして2人は城へと突入していった
それを遠くから見守る人影が3つ
「本当に良いのか?リース。」
「…はい。夜叉様には、やはりこちらの世界の方にいらっしゃる時の方が、良いのです。」
リースの言葉にリースの頭をポンと叩く男性
「カ、カヤキスさん、何をするんですか?」
「まっ、確かに秋華に取ってはこっちに居る方が良いだろう。」
「けど、それを決めるのはあくまで秋華自身って事、忘れないでね。」
「カヤキスさん、フィーリアさん。…解って、います。」
城主の間
扉を蹴破り中に入るクリスと秋華
そこで2人の視界に入ったのは、
血を流し横たわる男性と、
その男性を切り捨てた女性の姿だった
不意に女性が振り返る
「…お待ちしておりました、夜叉様。」
「…リース。どう言う事?説明しなさい。」
そう言うとヴォルケスを向ける秋華
「…私の望みはただ1つです。夜叉様が、この地に居てくれるだけで良い。それだけです。」
「リース。」
「もしも、もしも夜叉様がこの地に留まってくれないと言うなら、私は貴女様を討ちます!」
そう言うと構えるリース
その姿を見てヴォルケスを降ろす秋華
「何故、何故ヴォルケスを降ろすのですか?」
「…私は、貴女とは戦えないよ、リース。」
「なら、斬るのみ!」
そう言うと秋華に切りかかるリース
カキーン
独特の金属音が響く
「リース、貴女は仕える者として間違ってはいない。
けど、自分の仕えるべき者の気持ち、考えた事あるかしら?真剣に。」
「夜叉様の、気持ち。」
そう言うと剣を降ろすリース
「代弁ありがとう、クリス。」
「秋華。」
「リース、良く聞きなさい。私は今この状況になるまで、真剣に考えていなかった。
ただ、魔界の秩序を守る為と思っていた。けど、間違いね、そんな考え。」
そう言うとリースに近づく秋華
「今ここで誓うわ。私は夜叉。魔界の、王になるわ。」
「…その言葉、待ち望んでいました。」
それを見ながら王の間から出て行くクリス
中央広場
「クリス!」
ふと後ろからした声に振り向くクリス
「秋華。何か用?」
「私の即位式、出て、くれるよね?」
「…断る理由が何処にあるって言うの?」
「…確かにね。それと、1つ契りを交わして良い?」
「…良いわよ。」
数日後
即位式式典会場
「…心では解ってても、イザってなると、緊張するな〜。」
「リラックスしよ、秋華。」
「フィーリア、解ってるけど〜。」
「良いんじゃないの。秋華は秋華らしくしてれば。」
「リスフィード。」
フィーの言葉に反応するフィーリア
「…確かにそうだね。それじゃ、行ってきます。」
そう言うと住民の前に姿を表す秋華
それと同時に歓声が沸きあがる
「…魔界に住む住民達よ。私は夜叉。魔獣一族の長。
この度は魔界全土で起きた内乱を収める為、魔界の王の座に就く。
そこで、私から魔界の民全員に対し頼みがある。
…人間に、危害を出さないで欲しい。」
秋華の言葉にざわめく場内
「この事についてはこれより1週間以内に委員会を発足。
その後一週間以内に具体例を出す。これは、私からのお願いです。
もし、このお願いを破るようであれば、私自ら、殺します。」
そう言い終わると中へ戻って行く秋華
「秋華、いつのまにあんな事を?」
疑問に思ったフィーリアが口を開く
「…今の事は、彼女との契りだから。」
秋華のその言葉の後、誰もその事に関して、聞く者は居なかった
秋華が魔界の王に付いてから3日後
唯達は、羽咲市に戻って来ていた
水月邸
ロビー
「ルイメイド長。」
ロビーで休んでいるルイに声を掛けるアインス
「アインス、何か用かしら?」
「…フェルミナは、戻って来ないんですか?」
「…えぇ。彼女は本来居るべき場所へ、戻ったわ。」
「そうですか、解りました。」
そう言うとロビーから去って行くアインス
それを見送ると外へと出かけるルイ