作:Rui
ゲートを越え魔界に降り立つ唯達
「ここは?」
「フェルスレの丘。あそこに見えるのはフェルス城の城下町。」
そう言うと視線を少し上げる秋華
「そしてあれがフェルス城。魔界の南部を統治する城。」
「取り合えずカヤキスとルイで現状を把握して来て貰うわ。異存は?」
唯の言葉に「無い」と答えるカヤキスとルイ
「じゃあ、お願いね。」
フェルス城下町
「…取り合えず酒場に行きましょう。情報が最も集まる場所ですから。」
「だな。」
そう言うと酒場に入って行くカヤキスとルイ
酒場
「いらっしゃい。」
マスターの言葉の後カウンターに座るカヤキスとルイ
「何にします?」
「今ここで起きている情報が欲しい。」
「…近々中央の役人共がここに来るらしい。噂じゃ逃げて来るとか…。」
「中央が落ちたって事か?」
「正解。」
カヤキスの問いに答えるマスター
「はぁ、夜叉王さえ戻ってくれば…。」
「ありがとう、マスター。」
ルイがそう言うと酒場から出て行く2人
フェルスレの丘
「戻りました。」
「どうだった?」
「中央が落ちたようです。近い内に行き残った中央の人がここに来るそうです。」
「ありがとう。」
そう言うと考える唯
「それと、街の人達は皆夜叉の帰還を待ち望んでいました。」
「…中央から逃げて来た集団と接触しよう。」
ルイの言葉に答えるかのように口を開く秋華
「カヤキス・フィーナ・ネイ、付き添い。」
唯の言葉に頷く3人
「良かったんですか、行かせて。」
「良いの。私は私で策があるから。」
そう言うとそこから去って行く唯
フェルス城下町
宿屋
唯・イヴ、ルイ・リリスで別れた
唯・イヴ組の部屋
「…一体何を考えてるの?」
「…秋華の望む通りの事。それだけよ。」
そう言うと部屋を出て行く唯
「…不思議な人。」
そう呟くイヴ
フェルスから北に10kmの地点
南下する集団の前に行き先を拒むかのように立つ秋華・カヤキス・フィーナ・ネイ
「誰ですか?貴女達は?」
ふとリーダー格の女性が口を開く
それに対し口を開く秋華
「久し振りね、側近近衛兵、リース=フィラード。」
その声と呼ばれた名前に驚く女性
「…お帰りなさいませ、夜叉様。」
「頭を上げてリース。事情は聞いたわ。そっちも、大変なのね。」
「…はい。」
「けど、もう大丈夫。私が戻って来たんだから。」
「それでは?」
リースの言葉に頷く秋華
「夜叉様、私達一同、命を掛けて、貴女様にお仕えします。」
「…ありがとう、リース。」
フェルス城下町
酒場
酒場に入るとマスターに近寄るリース
そして何か口元で囁くと奥へと通された
酒場の奥
奥へ入って視界に入った人物に驚く秋華
「唯?…違う、フィーリア。何故ここに?」
「単なる暇つぶし。それより本当に良いの?」
「何が?」
「今回の事件、解決させるって事は、貴女がこの魔界の王になるって事よ。」
「…解ってるわ。」
「後悔は?」
「してない。」
秋華のその言葉に微笑むフィーリア
「ならOKね。魔族フィーリア、魔獣王夜叉の力になるわ。」
「…ありがとう、フィーリア。」
「とりあえずはゆ…フェイト達と話をしたいんだけど…、大丈夫かな?」
「今は宿屋に居ると思う。」
秋華の言葉に口を開くフィーリア
「宿屋に?早く行かなくちゃ!」
「何処に?」
「だから宿屋に…、フェイト。」
そこにはフェイト・ルイ・イヴ・リリスの4人の姿があった
「やっぱり来てたんだ、フィーリア。」
「お互い様ですよ、フェイト。」
「そうかもね。それより、現状を教えて。」
「解りました。」
フェイトの言葉に中央に地図を広げるリース
「先ず私達が居るこの南地区。ここもつい最近反乱が有り、
反政府の部隊が支配している状態です。
次に東地区。ここはまだ戦乱の手が届いていません。
3番目に北地区。前政権の者達は大抵ここに逃げています。」
「環境の関係上、兵を出すのは得策では無いから?」
「正解です。最後に西地区。周りの地区の中で一番の被害が出ています。
貧困や孤児が大量に発生しています。」
「リース、西地区はそんな事になっているの?」
「はい。現在地区長も居ない状態ですから…。」
リースの言葉に考え込む秋華
「イヴ・リリス・フィーナ・ルイで食料を西地区に運べないかしら?」
「ここからですか?危険です。途中には盗賊が出ると言う噂もありますし…。」
「大丈夫よね?フィーナ・ルイ。」
フェイトの言葉に頷く2人
「決定ね。西地区への物資運搬の指示はフィーナ、貴女が取りなさい。」
「解りました。」
「そして西地区についたらフィーナとルイはそのまま中央へ。私達と合流後攻め込むわよ。」
フェイトの言葉に頷く2人
「リース、中央の詳しい地図有る?」
そう言われて中央の地図を広げるリース
「…成る程。フィーナとルイは西の白虎門から。カヤキスとフィーリアは東の蒼龍門から。
んで私と秋華は南の朱雀門から、それぞれ中央に侵入するよ。」
「フェイト、リース達は?」
「バックアップに専念して。お願いね。」
フェイトの言葉に頷く一同
「フィーナ達の事を考えれば、3週間後が妥当かしら?」
「そんなもんですね。」
「それじゃ、始めるわよ。」
フェイトの言葉に頷く一同
続く
次回予告
魔界全土を巻き込んだ内戦
この内戦を治めるため、
私は王となる
けど、後悔は無い
元々魔界の生まれだから
次回第8節「受け継ぎし想い」