作:Rui
咲乃宮貨物入口
そこにカヤキス・ルイ・羽純の姿があった
「そんじゃ、行きますか。」
そう言うと門を乗り越える3人
構内に入りしばらく歩くと人の気配を感じる3人
「…誰だ?出て来い。」
カヤキスの言葉に姿を表す人影
その人影を見て驚くカヤキス
「…久し振りだな。」
「…確かに、久し振りね。聖ハルイ陥落以来かしら?」
「そう、なるな。ラムダ=オーリ=ハルイ。」
そう言うと剣を抜くカヤキス
「ティアーズ=カヤキス、オールを、妹の事を思うなら、ここは退いて。」
ラムダの言葉に驚くルイと羽純
「…どう言う意味だ?イスペリア(宮廷魔術師)ラムダ。」
「そのままの意味よ、カヤキス。…退きなさい、彼女の事を思うのなら。」
「…解ったよ、ラムダ。」
そう言うと剣を収めるカヤキス
「ルイ・羽純、少し外してくれないか?二人っきりで話がしたい。」
「解りました。ですが、危険を感じたら、直ぐに駆けつけますから。」
そう言うと距離を取るルイと羽純
それを確認してラムダが口を開く
「…それで、話って何かしら?」
「ゆ…オールについてだ。今どんな状態え何処に居る?」
「…金属化させてドールマスターの所よ。そろそろ解除される筈。」
「…ならもう1つ聞こう。ドールマスターは何を考えている?」
「…世界を、自分の思い通りの世界にしようとしてるわ。イヴの力によってね。」
「…未来を司る者か。」
「えぇそうよ。」
ラムダの言葉に少し黙り込むカヤキス
「イスペリアラムダ、あんたは何がしたい?」
「…それは、言えないわ。けど、貴方達とは敵対する気は無い。それだけ言っておくわ。」
そう言うとそっぽを向くラムダ
「今回は引きなさい。彼女の事は、私がなんとかするから。」
「その心配は無いわよ、姉さん。」
突然聞こえた女性の声に驚くカヤキスとラムダ
「オール。」
「ラムダ姉さん・カヤキス、事態は思ったより大変よ。彼女、かなり本気よ。」
「なら未来は…。」
「このまま行けば、彼女の思う世界に…。」
オールの言葉に黙り込む2人
「ルイ。」
「お側に。」
「フィーナ及びその妹セリナを探しなさい。なるべく早く。」
「解りました。」
そう言うとそこから去るルイ
「オール、そんなにヤバイのか?」
「カヤキス、えぇ。歴史を司る者の力は、私達神ですら、手出しが出来ない。
だから、なるべく早い内になんとかしないといけないのよ。」
「…成る程。んでこれからどうするんだ?」
「私とラムダ姉さんで何とか阻止してみる。
カヤキスは羽純と一緒に戦力になる人を集めといて。」
「解った。…気をつけてな。」
「了解。」
そう言うとそこから去って行くオールとラムダ
「…羽純、羽咲からフェルミナを呼んできてくれないか?」
カヤキスの言葉に頷く羽純
咲乃宮市内青山家
「う、う〜ん。」
ふと眼を覚まし回りを見るフィーナ
「…ここは?」
「私の家の私の部屋。…久し振りね、フィーナ。」
「…悠。」
「フィーナ、何があったの?私で良かったら、話してみて。」
悠の言葉に口を開くフィーナ
「成る程ね。私で良かったら力になるわ。ディーネとしての力は残ってるし…。」
「でも悠、貴女は望んで日常へと戻って行った。そんな貴女がこちらに来たら、
もう、戻れないかもしれない。」
フィーナの言葉にフィーナの手を握り締める悠
「悠。」
「今の生活は楽しいわ。けど、私はフィーナ達と一緒に居た方が、良い。」
「…ありがとう、悠。」
そう言うとベランダに出て屋根の上に昇る2人
「フィーナさん!」
ふと突然フィーナを呼ぶ声が聞こえる
声のした方を向くフィーナと悠
そこに居たのは…
「ルイ。どうしたの?」
「今すぐ咲乃宮貨物に来て下さい。」
「…解った。悠、行くよ。」
「OK。」
そう言うと構えるフィーナと悠
「我は魔を討つ光と成る。」
「水の精霊の名の下に。」
「銀装!!!」
「水精装!!!」
そう言うとそれぞれ鎧を纏う2人
「ルイ、行こう。」
そう言うと咲乃宮貨物に向けて移動を始める3人
その頃羽咲市水月邸
ロビー
「フェルミナさん、起きていらしたんですか?」
「ケイル。えぇ、今夜は何か起きそうな気がするから。」
「そうですか。何かお持ちしますか?」
「良いよ。ケイルは寝て。」
「解りました。」
ケイルがそう言った直後ドアを開け入って来る羽純
「羽純、ヘヴンを纏って一体どうしたの?」
「フェルミナ、何も言わずに私に付いて来て。」
「…解った。ケイル、お茶、用意しといて。」
「解りました。」
その言葉を聞くと水月邸を飛び出す羽純とフェルミナ
咲乃宮貨物内某所
「ラムダ・フェイト、どう言うつもりかしら?」
「どうもこうも、最初からこうするつもりでしたから。」
ドールマスターの声に答えるラムダ
「フフッ、面白いわ。出でよ我が人形達。」
そう言うと周りから鎧を纏った女性が多数出て来る
「ラムダ姉さん、殺さずに何体行けますか?」
ふと口を開くオール
「難しいわね。」
「…なら、援護して下さい。神装!」
そう言うと神装を纏う唯
「神装騎ヴァルキリー。行くよ。」
そう言うと一振りで5〜7人の女性を浄化し、元に戻す唯
「まだまだぁ―――!!!」
そう言いながら次々と鎧を纏った女性達を浄化して行く唯
「…(昔より強くなってる。成長しているのね、オール。)」
そう言うと構えるラムダ
「聖なる龍の名の下に我が前に集まりて我が敵を討て。」
詠唱を終え再度構えるラムダ
「フェルステンスペリ(魔を討つ37の光の射手)」
そう言うとラムダを中心に拡散する37本の矢
その1本を弾くドールマスター
「やっぱり弾くか。」
「充分。」
そう言うとラムダの横をすり抜けてドールマスターに突っ込む唯
唯の攻撃を受け止めるドールマスター
「防護障壁。…本質はドールマスターじゃ無いわね。」
「…良く解ったわね、流石聖神。」
「…取りあえず私の質問に答えて貰おうか。」
「何なりとどうぞ。」
ドールマスターの言葉に口を開く唯
「何故、何故こんな事をする?…いや、何故した?」
「した?…不思議な言い方をするのね、聖神クリス。」
「…不思議?そうかしら?」
そう言うと剣を引き左手で魔法の矢を側に居る女性、イヴに向けて討つクリス
その矢が当ると同時に、倒れ込むイヴ
「オール、貴女一体何を?」
「やっぱりね。」
そう言うと剣を収め神装を解く唯
「オール、一体どう言う事なの?説明して。」
「このイヴは偽者。…正確に言えば人形。だとすると本物のイヴは何処に居るか?」
ふと現れ説明するフィーナ
「答えは簡単ですよ。」
次いでルイも口を開く
「化かし合いはここ迄よ。ドールマスター、いえ、未来を司る者イヴ。」
そう言われると口を開くドールマスター
「…正解よ。何処で解ったの?それだけ教えて。」
「…防護障壁よ。一介のドールマスターにあの規模のを作れる筈が無いから。」
「…成る程。」
「さて、今度はこっちから質問。何しにこっちに来たの?リリスが心配してたわよ。」
唯の質問にしばらく黙った後口を開くイヴ
「…争いを、避けて来たの。」
「争いを?」
唯がそう言った時、後ろに羽純とフェルミナが来ていた
「イヴ、魔界で何が起きてるの?詳しく教えて。」
「…かつてない程の、戦い。規模は既に、魔界全土に…。」
「それ、本当なの?」
後ろからフェルミナが口を開く
「貴女は?」
「フェルミナ。魔界の者なら秋華と言えば解るかしら?」
「…はい。」
「歴史の図書館の未来を司る者イヴ。詳しく、教えて。」
フェルミナの言葉に静かに頷くイヴ
「…以上が魔界の現状です。」
「収めるべき主が居ない。…。」
そう言ったきり黙り込むフェルミナ
「フェルミナ、いえ朱悠秋華。じっくり考えなさい。今後の事に、影響するから。」
そう言うとそこから去って行く唯
それに付いて行くルイ
「秋華・フィーナ、今夜は私の家で。」
「解った。フェルミナ、行こう。」
悠に付いて行くフィーナとフェルミナ
「…大変なんですね、魔界も。」
「…そうかもな、羽純。」
深夜
青山家屋根の上
1人星空を眺めるフェルミナ
「…(このまま唯の下でメイドとして居るか。
それとも、魔界に戻り夜叉として統治するか?…私はどうすれば良いのかしら?)
「眠れないの?秋華。」
ふと声が聞こえる
声のした方を見る秋華
「ディーネ、えぇ、ちょっと考え事を…。」
「…そっち行っても良い?」
「良いわよ。」
秋華の言葉に屋根に登って来る悠
「それで、考え事って、魔界の事?」
「うん。このまま唯の下に居るか?それとも、魔界に戻るか。」
「…秋華。」
「何?」
「何で私が戦いの無い日常を選んだと思う?」
「えっ?…それは、解らないわ。」
「…守られる者の立場になりたかったから。それだけ。」
「…それが、何の関係があるの?」
「誰か助けてくれる人を待つ。力を持たない魔界の人が、
今そんな感じだと、私は思うの。だから、行った方が良いわ。
それが、秋華に取って、一番良いと思う。」
「悠。」
「後悔は、したくないでしょ?秋華。」
「…ありがとう、悠。」
2階ベランダ
密かに話を聞いていたフィーナ
「…(これも、決められた運命、なのかな?)」
心の中でそう言うと部屋の中に戻って行くフィーナ
翌日
羽咲中央公園
中央広場
そこには唯・ルイ・カヤキス・フィーナ・イヴ・リリス・ネイ、
そして、フェルミナの姿があった
「後悔は無いわね?フェルミナ。」
「えぇ、行きましょう、魔界へ。私の、故郷へ。」
「OK。」
そう言うと魔界への門(ゲート)を開く唯
「帰って来れる保証は無い。けど、秋華の為。行くよ!」
そう言うと一斉にゲートに入って行く一同
続く
次回予告
秋華の故郷魔界
その魔界で起きている全土を巻き込んだ内戦を止める為、魔界に来た唯達
そこで魔界の現状を知る
次回第7節「降り立つは懐かしい地」