作:Rui
シェルス教会
教会に併設されている孤児院の事務室に唯・ルイ・紅野・エレイシアの姿があった
「んで、結果は出たのかしら?」
「あぁ。今から一ヵ月半前に海外から移転してきた洋館が海岸沿いに一軒。」
「怪し過ぎ。」
「エレイシア、確かにそうかも知れないわね。紅野さん、情報はそれだけですか?」
「現状は。」
「ありがとう、何か解ったら連絡して頂戴。」
「解った。」
そう言うと部屋から出て行く紅野
「…洋館、機械人形、…まさかね。」
咲乃宮駅東口
1人煙草を吸いながら時間を潰す唯
その時ふと、唯の視界に入る女性
その女性は真っ直ぐ唯を見ている
その視線に気付き左手で「ついて来て」と示す唯
その直後にその場から離れる唯
それに付いて行く女性
路地裏
路地裏の先まで行くと止まり口を開く唯
「さて、駅前から私の事見てたけど、貴女は一体誰なのかしら?」
唯の言葉に口を開く女性
「人形師ネイ。ネーファ=イシュルス。」
「…人形師ネイ。久し振りね、魔界での大戦以来かしら?」
そう言うと髪の色が金に変わり腰まで伸びる
そして振り返る
「今この町で起きている事件の黒幕は、貴女ね?」
クリスの言葉に頷くネイ
「目的は何?答えなさい。」
そう言うと剣を抜きネイに向けるクリス
「…魔界から、とある人物が姿を消したの。その人物を探す為よ。」
「その人物の名前、教えて貰えるかしら?」
そう言いながら剣を収めるクリス
「その人物の名は、イヴ。歴史の図書館の過去を司る者よ。」
「…成る程。貴女が来るのも納得するわ。」
「リスフィードとフィーリアにも連絡はしてあるから、動いていると…。」
その言葉に髪の色が黒くなるクリス
「ルイ。」
「側に。」
その言葉と共に唯の斜め後ろに降り立つルイ
「ルイ、後お願いね。ちょっと彼女と探し人をしなきゃいけないから。」
「…解りました。」
そう言うとそこから去って行くルイ
「…良いの?」
「えぇ。ダークネスフェアリーフェイト、人形師ネイに協力するわ。」
シェルス教会
併設する孤児院でカヤキス・イリア・フィーナ・エレイシアに事情を説明するルイ
「成る程な。しばらく見ないうちに変わったな、あいつも。」
「カヤキス、そんな事言って、これからどうする気なの?」
カヤキスの言葉に口を挟むイリア
「唯のやる事に俺達が口を挟む訳には行かない。
イリア、これでもお前よりかは唯の事を解ってるつもりだ。」
そう言うと席を立ち部屋の外に出ようとするカヤキス
「カヤキス、何処に行くの?」
「便所だ。」
そう言うと部屋を出て行く
孤児院入口
孤児院を後にしようとするカヤキスに声を掛ける女性
「カヤキスさん。」
それに気付き振り返るカヤキス
「唯の所のメイドか。何の用だ?」
「行く気ですか?例の洋館に?」
「…あいつのする事に口を挟みたくは無いが、何をするかは知っときたくてな。」
「そう言う事でしたら、お供します。」
ルイの言葉に頭をポンと叩くカヤキス
「頼りにはするぜ、フィリア=イシュヴァール。…行くぞ。」
「…、は、はい。」
返事をするとカヤキスについて行くルイ
それを見ていたイリア・エレイシア・フィーナ
「母様、行かせて良かったんですか?」
「良いの。どうせ何言ったって行くんだから。…エレイシア、少し付き合って。」
「OK。」
「フィーナ、貴女はどうする?」
イリアの言葉に答えるフィーナ
「一旦羽咲に戻ってセフィリアさんから銀十字を受け取って来ます。」
「解ったわ。受け取ったらここに戻って来てね。」
「解りました、母様。」
そう言うとそこから去って行くフィーナ
咲乃宮市海岸沿いの洋館
洋館の中の一室
「驚き、未来を司る貴女が居るなんて。…まっ、妹の事が心配なら居てもおかしくないか。」
「フェイト。」
「ごめんごめん。」
「ネイ、彼女は一体?」
「リリス、彼女はフェイト。私達の探し人に協力してくれる人よ。」
「フェイトよ、よろしく。」
「リリスよ、歴史の図書館の未来を司っているわ。」
そう言うと握手を交わすリリスとフェイト
その時何かを感じるフェイト
「マスターネイ、すこしよろしいでしょうか?」
「良いわよ、行ってらっしゃい。」
「はい。」
そう言うと部屋から出て行くフェイト
館の近くの海浜公園
公園の中央広場で佇むルイとカヤキス
「なぁ。」
「何ですか?」
「1つ、聞いて良いか?」
「どうぞ。」
「ここに居て、何の意味があるんだ?」
「意味、ですか。」
そう言うと考え込むルイ
その様子に若干凹むカヤキス
「人の行動には何かしら意味がある。唯様が言っていました。」
ルイの言葉に疑問に思うカヤキス
「確かに、一人一人の行動に意味はあるわ。因果律の関係上ね。」
突然した言葉に声の聞こえた方を向くカヤキスとルイ
「…ダークネスフェアリーフェイト。」
「唯で良いわよ、ルイ。」
ルイの言葉に答えるフェイト
「解りました。」
「唯、何故黒衣に身を包んでいるんだ?答えてくれないか?」
カヤキスの言葉に答えるフェイト
「ゴメンカヤキス。貴方でも、答える事は出来ないわ。」
「…そうか。だが、助けが必要になったら、呼んでくれ。」
「解った。」
そう言った瞬間、何かに気付く3人
「ルイ!」
「解っています。」
その言葉後剣を抜くフェイトとカヤキス
それと同時にメタリックシルバーの装甲を展開し、剣を構えるルイ
「さて、何が出て来る事やら。」
フェイトがそう呟くと周りの地面が光る
「転移魔方陣、何かが来ます!」
ルイの言葉により一層構えるカヤキスとフェイト
そして転移魔方陣からは鎧を纏った女性が多数出て来た
「…目が普通じゃない。操られてる!…フェイトじゃ分が悪いな〜。一旦退くよ。」
フェイトの言葉に頷く2人
「フェルスレイド(地を走る炎の槍)」
炎が女性達とフェイト達の間に入った瞬間、転移術でそこから撤退するフェイト達
咲乃宮中央公園
転移術で撤退して来たフェイト達
「唯、今のは一体何なんだ?説明してくれ。」
「…解った。事の発端は歴史の図書館の過去を司る人物、イヴが行方不明になった事よ。」
「歴史の図書館、そんな物が魔界にあるのか?」
カヤキスの言葉に頷く唯
「そしてそのイヴを追って人形師ネイと未来を司る者リリスがこっちにやって来た。
最近起きていた異質人の事件はネイがイヴを探す為の事。
けど、ちょっと面倒になって来ちゃったみたいね。」
「先程の女性達ですね。」
「えぇ。ネイとリリス以外にも、イヴを探している者が居るって事。」
「解った、こっちの方は俺達で何とかしよう。唯はイヴを探すのに専念してくれ。」
「良いの?カヤキス。」
「もう慣れた。こう言う事は。」
「…ありがとう。」
シェルス教会礼拝堂
そこにはカヤキスとルイ、それにイリア・エレイシアに七夜の姿があった
「姉さんがそんな事を。」
「シスターイリア、これからどうしますか?」
「取り合えずはもう1つの方を何とかしないといけないわね。」
「それなら、大体見当はついている。」
イリアの言葉に答えるかのように口を開く七夜
「七夜、教えて。」
「あぁ。そいつの名前はドールマスターと言われている。
潜んでいる場所は、咲乃宮貨物に密かに潜んでいるとの事だ。」
「咲乃宮貨物ね〜。」
考え込むイリア
「イリア、どうするんだ?」
「…私と七夜で咲乃宮貨物に。エレイシアとカヤキスはここに。」
「シスターイリア、私はどうすれば?」
ルイの言葉に口を開くイリア
「ルイは独自に動いてネイ・ドールマスター・そしてイヴの事を調べて。」
「解りました。」
「善は急げ。行くわよ、七夜。」
イリアの言葉に頷く七夜
咲乃宮貨物入口
そこには法衣に身を包んだイリアと七夜の姿があった
「行くよ、七夜。」
続く
次回予告
ドールマスター
そう呼ばれる者が咲乃宮貨物に潜んでいると言う情報を頼りに
咲乃宮貨物に来たイリアと七夜
一方イヴを探しているフェイトも、咲乃宮貨物に来ていた
次回第3節「ドールマスター」