Silver Fairy 第2章 最終節「始まりへ続く終わり〜銀装妖精〜」

作:Rui


「さぁ始めましょう、水月唯。」
「えぇ。フィーナ=ロプトウス。」
その言葉を皮切りに2人の戦いが始まった

「「ハァ―――――!!!」」
叫び声を上げ、
全力を出し、
ぶつかり合う唯とフィーナ
剣を交わしながら移動をする唯
それを追うフィーナ
「(…配置は、…完了している。頼むよ、皆。)」
しばらく移動すると、セフィリアが銀装を纏い、立っていた
「(どんぴしゃ!)」
セフィリアの正面に降りる唯
その直ぐ後ろに降りるフィーナ
「セフィリア、頼んだよ。」
唯の言葉に頷くセフィリア
それを確認すると、神装を解く唯
「水月唯。私を舐めているの?」
「いや、神装は単なる前菜。メインは、これからよ。」
そう言うと唯の髪の色が金髪になり、腰辺りまで伸びる
そして剣を地面に刺し、髪を結い、再び剣を手にする唯、嫌、クリス
「行くよ。」
そう言うとロプトウス目掛け突撃するクリス
その攻撃を受け止めるロプトウス
「掛かったね。セフィリア!」
クリスの言葉に頷くセフィリア
「至高なる光の五芒星よ。中に居る悪しき魂を銀と4元精霊の名の元に、封印せよ!」
そう言うと五芒星が引かれ光を放つ
「なっ!」
それに気付き逃れようとするロプトウス
しかし、それを逃さないとロプトウスを掴むクリス
「逃がさないよ、ロプトウス。私も一緒だよ。」
中央でロプトウスを掴むクリス
「1つ。炎の精霊妖精。」
その言葉の後炎の柱が上がる
「2つ。水の精霊妖精。」
次に水の柱
「3つ。風の精霊妖精。」
緑色をした柱が上がる
「4つ。地の精霊妖精。」
小石を巻き上げ、柱が昇る
「…5つ。…銀を纏いし妖精。」
そう言うと銀色の柱が、空へと伸びる
「今ココに、銀装の名において、ロプトウスを封印せん!」
「「「「「ディレイション!!!!!」」」」」
セフィリアと4人のエレメンタルフェアリーが同時に口を開くと、
五芒星の中央に柱が集まり、光を放つ
「唯!」
思わず声を上げるフェルミナ
そして、光が止んだ
そこには、唯を抱え立ちすくむ、フィーナの姿があった
「返事をして下さいよ。お願いですから。ねぇ。唯姉。」
涙を流すフィーナ
それを遠くで見ていた、ルイとフィリス
「フィリア、唯は一体?」
「自らの魂を犠牲に、フィーナさんを救ったんですよ、唯様は。」

数日後

水月邸の唯の部屋

魂の抜けた唯を看病するルイの姿が、そこにはあった
「…唯様。必ず、戻って来て下さいね。」
そう言うと立ち上がり部屋を出て行くルイ

ロビー

フェルミナを除くエレメンタルフェアリーとセフィリアがそこには居た
「皆様、どうしたのですか?」
ルイが口を開く
それに応えるように口を開くセフィリア
「ルイ、私達がやった事は、無意味なのかな?」
「…そんな事は、ありません。フィーナさんを、救えたのですから。」
ルイの言葉に口を開く悠
「なら、唯さんはその為に、自らの命を、投げ出したんですか?」
悠の言葉に黙り込むルイ
「唯は、そう言う人なのよ、悠。」
「フェルミナ。」
フェルミナが会話に入って来る
「唯は自分より、仲間を大事にする。だから、瀕死のルイを助けたし、
自らの命と引き換えに、フィーナを助けた。昔から、変らないよ、全然。」
フェルミナの言葉に黙り込むエレメンタルフェアリー達とセフィリア
「フェルミナ、唯様は、目覚めるんでしょうか?」
「…目を覚ますよ。…エルティスが、何とかするでしょう。」
「そう、ですか。」
そう言うとそこから去って行くルイ
「…さて、これから皆どうするの?」
口を開くフェルミナ
「出来る事なら、元の生活に戻りたい。私の事を覚えていなくても。」
一番に口を開く悠
「私はここに居る。エルフも同じでしょう?」
雫の言葉に頷くエルフ
「セフィリアは?」
「私?私は…イシュの所にでも、居ようかな?」
「エルミナドに?」
「えぇ。あぁ、そうそう。これ、フィーナに返しといて。彼女が、今の持ち主だから。」
そう言うとフェルミナに銀十字を渡すセフィリア
「そんじゃ。」
そして水月邸から出て行くセフィリア
「…悠、貴女の方はこちらで手配しときます。今日はこちらで…。」
フェルミナの言葉に頷く悠

その日の夜

羽咲中央公園

その中央広場

そこに立ち尽くすフィーナ
「…私のせい。私のせいで唯姉は…。」
「それは違うわ、フィーナ。」
嘆くフィーナに声を掛ける女性
声のした方を振り返るフィーナ
そこに居たのは…
「イシュタル母様。」
「フィーナ、唯の、いえ姉さんの選んだ行動は、間違ってはいない。
あれは、必然だったのよ。」
「必然?」
疑問に思うフィーナ
「あの五芒星の封印術は対象と一緒に封印される人物が必要なのよ。
姉さんはそれを解ってて、あの封印術を選んだ。ロプトウスを封印する最良の手段として。」
そう言うとフィーナの頭をポンと叩くイシュタル
「だから、フィーナ、貴女が落ち込む事は無いのよ。」
「母様。」
「それよりも備えなさい。新しい敵は、直ぐ来るわ。」
「…はい!」
そう言うとそこから駆け出すフィーナ
途中で止まり振りかえる
「イシュタル母様。ありがとう。」
そう言うと再び駆け出すフィーナ
「…姉さん、帰って来るって、信じてます。」

続く

次回予告
ロプトウスの封印から半年。
羽咲市に新たな敵が迫って来ていた
唯を欠いた今、フィーナ達は羽咲市を守れるのか?
そして唯は再び目を覚ますのか?
次回第3章第1節「新たなる敵」
戦いは、まだ終わらない。

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