Silver Fairy 第2章 第10節「銀と4元精霊」

作:Rui


羽咲中央公園

水月唯とフィリス=イシュヴァ―ルの戦いが始まって、既に10分が経っていた
公園の中央の半径15Mは何も無い状態になっていた
唯とフィリスの魔法力の衝突による為だ
そんな中でフィーナはルイを抱えながら巻き込まれない場所へ避難していた
そして、唯とフィリスの動きが止まる
それぞれの正面に立ち、それぞれを見る2人
「(…仕掛けて来る。ここで倒すのみ。)」
心の中で勝負の時と感じる唯
それを察したかのように唯へ突撃してくるフィリス
「散れ!フィリス=イシュヴァ―ルゥゥゥ―――!!!」
そう言いながら気を極限迄溜めた気孔掌を繰り出す唯
その攻撃を避け、フィーナの元へ突撃するフィリス
「フィーナ!!!」
その声に気付くフィーナ
顔を上げた時、そこに居たのは…
フィリスだった
そのままフィーナの首筋を掴み直ぐ側の木に叩きつけるフィリス
「ぐっ!」
苦しい声を出すフィーナ
「フフッ、闇に染まれ。貴女はその素質を持っているわ。」
フィリスの声に苦しいながらも驚いた顔をするフィーナ
「フィリス―――!!!」
そう言いながらフィリスに向かい突撃しながら突きをかます唯
「邪魔をするな水月唯!」
そう言うと気を込めた手刀で唯を切り払うフィリス
その衝撃で後方の木に激突する唯
「そこで見てなさい、水月唯。暗黒神ロプトウスの復活を!」
そう言うと一気に負の気をフィーナに向けて一気に送り込むフィリス
「うわぁ―――!!!」
フィーナの叫び声の後に光がその場を支配する

光が止むとそこには髪の色が黒く変り長髪になったフィーナと
尻餅を突いているフィリスが居た
「貴女、名前は?」
闇の力に覚醒したフィーナがフィリスに向かい声を掛ける
その声に直ぐに体制を直し膝まつくフィリス
「私はフィリス=イシュヴァ―ル。貴女様を解放させた者です。」
「そう。…私はフィーナ=ロプトウス。フィーナで良いわよ、フィリス。」
そう言うと唯の方を向くフィーナ
「フィリス、彼女は?」
「はい、水月唯と言う女で、貴女様を封印した者です。」
「そう。ならば、殺すわ。」
そう言うと一歩ずつ唯へ近づくフィーナ
その様子を見て立ち上がる水月唯
そして剣を抜く唯
「来なさい、ロプトウス。私は、貴女を封印した者よ。」
そう言いながらロプトウスを挑発する唯
「フフッ、私がそんな挑発に乗ると思ってるのかしら?」
そう言うと手をかざし気の刃を放出するフィーナ
その攻撃を魔法術障壁で弾く唯
「へぇ、中々やるわね。でも、これはどうかしら?
暗黒の龍よ、その炎で全てを焼き尽くせ。」
その詠唱に驚く唯
何故ならその詠唱は…
「散れ、水月唯。ロプトウス。」
そう言うと具現化された暗黒龍が唯に向けて黒き炎を吐く
その炎の真ん中に居て、炎に飲み込まれる唯
その光景を見て高笑いをするフィーナ
「フフッ、水月唯を、光の者を倒したわ。フィリス、行くわよ。この世界を闇に染める為に。」
「はい。」
そう言うとその場から消えるフィーナとフィリス
フィーナとフィリスが消え去った直後
ロプトウスの黒い炎が消え、その中から唯が出て来た
「…、ユリウスの時よりパワーアップしてるわね、ロプト。」
そう言うとその場に倒れ込む唯

それから3日後

水月邸の中にある医務室
そこで唯は目を覚ます
そこには医療班のティーエを始め、
雫・エルフ・フィーアの姿があった
「お目覚めですか?唯様。」
「ティーエ、私は?」
ふと口を開き質問をする唯
「壮大な戦闘があったのでしょう、羽咲中央公園に倒れていました。」
「そぅ。」
そう呟く唯
ふと何かを思い出す唯
「ティーエ、ルイは?ルイはどうしたの?」
「現在セフィリアさんが延命装置の変わりをしていますが、そう長くは…。」
その言葉を聞くと起き上がる唯
「ゆ、唯様何処へ?」
「ルイの所。案内しなさい!」
「しかし、ルイメイド長の容体は良くは無いんです!」
「それでも、それでも会いたいの、ルイに!」
そう言いながらも押さえつけたメイドを払おうとする唯
「良いじゃないティーエ。彼女をルイの所へお連れしても。そうすれば、納得する筈だから。」
突然の言葉に声のした方を向く一同
「ルイの所へ、案内します。姉さん。」
声の主は…イリアだった

「こちらの部屋です。」
そう言うとドアをノックするイリア
「セフィリア、私。姉さんを、連れて来たわ。」
そう言うとドアの奥から返事が返って来る
「…唯、動揺しないでね。」
その言葉の後、ドアを開けるイリア
部屋の中に入る唯
そこに居たのは
「フェルミナ、貴女迄居たの?」
「まぁ、一応ね。」
その言葉を聞くとセフィリアへ近づく唯
そこには、静かに横たわるルイの姿があった
ふと口を開くセフィリア
「唯、唯とルイが運ばれてくる30分程前に、私の元にこの銀十字が現れたんですが、
今回起こっている事と何か関係は、ありますか?」
セフィリアの言葉に、静かに口を開く唯

「やっぱり、あの方の血も、ひいていたのね、娘は。」
「唯の状況説明から言うと、フィリスがロプトを目覚めさせたのは確実ね。
それは私の方でも感じたから。」
イリアの後に口を開いたフェルミナ
「姉さん、フィーナを元に戻す事は可能ですか?」
イリアの言葉に黙り込む唯
「何とか言ってよ!ねぇ!」
唯に苛立ちをぶつけるイリア
そんな中で、呟くように口を開く唯
「方法が、無い訳じゃない。」
その言葉に唯の襟を掴んでいた手を離すイリア
「けど、その方法はあまりに危険で成功率が低いわ。」
「教えて!私に出来る事ならするから!」
イリアの言葉に耐え切れず、口を開くセフィリア
「貴女には無理よ。」
その言葉にセフィリアを睨むイリア
「何故ならその方法は、銀の妖精と、
4人のエレメンタルフェアリーにしか出来ないからよ。」
冷たく言い放つセフィリア
「今のレイピアであるフィーナは堕落、けど、銀十字はここにある。」
「なら姉さんがレイピアになれば。」
イリアのその言葉に答える唯
「私じゃ、無理よ。私は既に次の代へと継承をした。私は、レイピアになれないのよ。」
唯の言葉にショックを受けるイリア
「けど、1人だけ、レイピアになれる人物が居るわ。」
唯の言葉に一同が驚く
「…セフィリア、銀装を作った貴女なら、レイピアになれるわよね?」
唯の質問に頷くセフィリア
「けどね唯。私が扱えば、どうなるかは解らないわ。それでも良いなら。」
「その時は、私が全力で抑える。」
唯の言葉に口を開くセフィリア
「解ったわ、銀装の力、使うわ。それより、彼女をどうするの?」
セフィリアの言葉に黙り込む一同
「私に任せて。」
そう言う唯

水月邸地下

そこにはルイを抱えた唯に、フェルミナとイリアの姿があった
「姉さん、ルイをどうするつもりなんですか?」
イリアの問いかけに、全く答えない唯
ふと、とある部屋の前で止まる唯
そしてその部屋の中に入って行く唯
一緒に入って行くイリアとフェルミナ
「唯、ここは?」
「私用のちょっとした秘密の場所。
…アンドロイドやサイボーグについて、研究してる場所。」
アンドロイド・サイボーグ
その言葉に驚きを隠せない2人
「まさかルイを?」
「えぇ、本人の許可は取ってあるわ。“もしも姉に敗れた時は、機械の体にして”と。」
そう言うとルイをベッドに寝かせる唯
「フェルミナ、セフィリアの力に、なってあげて。」
「…うん。」
そう答えると部屋を出て行くフェルミナ
「…イシュ、お願いね。」
「…はい、姉さん。」

水月邸ロビー

「誰ですか?貴女は?」
アインスが突如入って来た女性に向けて剣を向け口を開く
「…私はフィリス=イシュヴァ―ル。水月唯に伝言よ。
明日の夜10時に羽咲中央公園で待つ。そう、伝えておきなさい。」
そう言うとその場から消えるフィリス
「アインス、大丈夫?」
「フィーア。うん、一応は。それより、今の伝言を唯様へ。」

地下室

コンコン
ドアをノックする音がする
「誰?」
部屋の中から返事をする唯
「…アインスです。用事があって来ました。」
「言いなさい。」
その言葉に答えるアインス
「はい。先程フィリス=イシュヴァ―ルと言う女性が現れ、
唯様に伝言を残していきました。」
「…内容は?」
「はい。明日の夜10時に羽咲中央公園で待つそうです。」
「…解ったわ、ありがとう。下がって良いわ。」
「では、失礼します。」
そう言うとそこから去って行くアインス

フェルミナの部屋

そこにはセフィリアを始め、フェルミナ・悠・雫・エルフの計5人が集まっていた
「それじゃあ、封印結界の方法を今から話すわ。」
そう言うと説明を始めるセフィリア
2分後
説明が終わる
「良い?失敗は許されないし、本番一発勝負よ。皆、頑張ってね。」
セフィリアの言葉に頷く一同

そして、時間は過ぎて行く

翌日の夜9時

水月邸

ロビー

そこには改造手術を終えたルイ
それにセフィリアを始めとするエレメンタルフェアリーの4人が居た
「ルイ、大丈夫なの?」
ルイを心配するフェルミナ
「大丈夫よフェルミナ。機械化はしたけど、今迄の能力は残っているから。」
「そう。」
そう言うと俯くフェルミナ
「それじゃ、行きますか。」
そう言うと出かけていく6人

羽咲中央公園

深夜の中央広場

その中央に静かに立ち、人を待つフィーナとフィリス
そして何かに気付き、口を開くフィーナ
「…来たわね、水月唯。Rui。」
そう言ったフィーナの後方には神装をした唯と、
バトルモードになり、メタリックシルバーの装甲を輝かせるルイの姿があった
「…フィリス、貴女はルイの相手をしなさい。最後のチャンスよ。」
「…はい。」
そう言うとその場から飛び立つルイとフィリス
それを確認し、右手をかざすフィーナ
そこに紅刃の剣が出て来る
その剣を手に取ると振り返るフィーナ
その身に、漆黒の甲冑を纏いて
「来い。」
「えぇ。」

続く

次回予告
遂に始まった最終決戦
実の姉妹で戦わなければならないルイとフィリス
彼女達の結末は?
次回11節「姉妹」
フィリス姉さん、私は、貴女を、殺せない

つづく


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