Silver Fairy 第2章 第7節「アースエレメンタル・ティータ」

作:Rui


唯から銀装の過去を聞き
それでも銀装の力を使うと誓ったフィーナ
そして、羽咲町には、異変が起き始めていた

水月邸ロビー

正面のドアを開けて飛び込んで来る男性
「ニ科さん、どうしたの?」
その場に居たフェルミナが対応する
「水月唯を。」
「解りました。少々お待ち下さい。」
そう言うと奥へ消えて行くフェルミナ
「あれ?ニ科さん。何の用ですか?」
フェルミナが去ると同時に声を掛けるフィーナ
「あぁ、ちょっとな。」
「そっ。」
そう言うとそこから去ろうとするフィーナ
「待て。フィーナ、お前も居てくれ。」
「…解った。」
「お待たせ〜。」
丁度良く来た唯

「んで、話って何?」
「あぁ、実は3日前から羽咲市内で不可解な事件が起きているんだ。」
「突然人が居なくなると言う事件ですか?」
ニ科の言葉に口を挟むルイ
「ご名答。」
「…成る程、それで私の所に来た訳と?」
唯の言葉に素直にうなづくニ科
「頼む唯。警察ではこの不可解な事件を解決する事が出来ない!頼む、解決してくれ。」
そう言うと土下座をするニ科
そのニ科の頭にそっと手を乗せる唯
「ニ科さん、顔を上げて下さい。」
「受けて、くれるのか?」
そう言いながら顔を上げるニ科
「勿論。ニ科ちゃんが来てるんだから、断れる訳ないじゃん。
第一私が断ったら、解決しないし。この事件。」
「すまない、唯。」
「任せといて。」
そう言うと羽咲署へと帰ったニ科
「さて、ルイ。アインス・フィーア・フェルミナ・エルフ・ノインを呼んできて。」
「解りました。」
そう言うと奥へと消えるルイ
「唯姉。」
「上等じゃない。」

5分後

「全員揃ったわね。取り合えず班分け。」
その言葉に驚く一同
「私とルイ。アインスとフィーア、それにフェルミナ。
んで最後がフィーナ・エルフ・ノインで。
それぞれこの不可解な事件の犯人を探して頂戴。以上解散!」
そう言うと羽咲市内に散って行く唯達

羽咲海浜公園

「しっかし、本当に見つかるのかな〜?ねぇ?」
1人不満をたれるフィーナ
エルフとノインに話を振るが二人共無視
「…少しは反応してよ。」
「…私はともかく、エルフは口が利けないんですよ。」
「そうなんだ?まぁ理由は聞かないでおくわ。取り合えず散らばって公園内を散策。
30分経ったらここに集合で。」
その言葉に頷くエルフとノイン

散らばってから5分
公園内を散策するエルフ
物陰からエルフを見る女性が1人
「…次の獲物は彼女ね。」
そう言うと静かにエルフに近づく女性
次の瞬間
意図も容易くエルフを捕まえる女性
「さぁ、貴女も私の元へ。」
そう言った瞬間
銃弾が女性の顔を霞める
「なっ!誰?」
その言葉の後、言葉が聞こえて来る
「さぁ、誰でしょう?」
まるで挑発するかのように口を開く姿の見えない女性
「くっ!姿を見せろ!」
その言葉に姿を見せるもう一人の女性
「シルバーフェアリー、只今登場。さぁ、その人を離しなさい。」
そう言って拳銃、ライトニングシルバーを向けるフィーナ
「離さなければ?」
「撃つ!」
その言葉を境に静かになる
そして、先に動いたのは女性の方だった
「…フフッ、なら彼女は今ここで私の人形にしてあげる!」
その言葉を言い終わると同時に女性の額に銃を突きつけるフィーナ
あまりの速さに驚く女性
そのまま近くの木にぶつけるとエルフを抱きかかえるフィーナ
そしてエルフを抱きかかえたまま女性から離れるフィーナ
「エルフ、大丈夫?」
フィーナの言葉に頷くエルフ
「そぅ、良かった。」
ある程度離れるとエルフを離し銃を向け口を開くフィーナ
「貴女、名前は?何者なの?」
フィーナの言葉にゆっくりと口を開く女性
「…私はフィリス=イシュヴァ―ル。女神アリス様を信仰する者。」
そう言い終わると突如人が現れる
「行け、マーダードールよ。」
そう言うとフィーナに向かって来る多数の人形
「くっ!」
銃を構え迎撃態勢を取るフィーナ
するとその時
フィーナの銀十字が光を発した
「えっ?」
「なっ!」
驚くフィーナとフィリス
その直後
「アースランサー!!!」
その声と共に土で出来た槍に貫かれる人形
声のした方を向くフィーナ
そこにはエルフしか居ない
「…まさかエルフ。貴女が、ティータなの?」
フィーナの言葉に頷くエルフ
「くっ、分が悪いようね。また会いましょう。」
「まて!!!」
フィーナがそう言った時には既にその場から姿を消していたフィリス
「フィリス=イシュヴァ―ルか。」
「フィーナ!」
「ノイン。」
ふと近寄って来るノイン
「エルフ・ノイン、一旦帰りましょう。」
その言葉に頷く2人

水月邸

唯の部屋

部屋の中には唯とフィーナ、そしてルイの3人が居る
「それで、海浜公園で出会った奴の名前は何て言うの?」
唯の言葉に口を開くフィーナ
「フィリス。フィリス=イシュヴァ―ルです。」
その名前を言った直後
パリーン
と言うカップが割れる音がした
「ルイ、どうしたの?」
尋ねるフィーナ
「いえ、何でもありません。直ぐにお片づけ致します。」
そう言うと箒と塵取りと取りに行ったルイ
「…動揺してたね、ルイ。」
「そうね。」
フィーナの言葉に言葉を返す唯
「後で問いただしてみるか。」
そう言った直後、箒と塵取りを持って帰って来たルイ
そして何事も無かったかのように、掃除を始めた

その日の夜

ルイの部屋

コンコン
ドアをノックする音
「どうぞ。」
そう言うとドアを開けて入って来る女性
「唯様。夜分遅くに何の用でしょうか?」
入って来た女性は、唯だった
「ちょっと聞きたい事があってね。それで。」
唯の言葉に黙り込むルイ
「喋りたく無いのなら、喋らなくても良いわよ。」
「…フィリア=イシュヴァ―ル。それが、私の本当の名前です。」
ふと口を開いたルイ
「…唯様、イスルハと言う一族を、ご存知ですか?」
「魔に堕ちた女神アリスを信仰する一族でしょ?
確かその種族の神官位の一族の名前が…。」
「はい、イシュヴァ―ルです。私と姉フィリスは唯一の生き残り。
今も、残党狩りに怯えて暮らしています。」
「まだ居るのね、イスルハの残党狩り。…安心しなさいルイ。
私の下に居るのなら、身の安全は保障するわ。それが、私に出来る罪滅ぼしだから。」
「罪滅ぼし?」
その言葉に疑問に思うルイ
「…その内、話すわ。用件はそれだけ、おやすみ。」
そう言うと部屋を出て行く唯
「…フィリス姉さん。」

続く

次回予告
迫り来るイスルハの生き残り。
それに対抗する唯達
そして、4人のエレメンタルフェアリーが揃う
次回第8節「フレアエレメンタル秋華〜炎槍ヴォルケス〜」
私が、最後の1人なのよ、フィーナ。

つづく


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