Silver Fairy 第2章 第6節「銀装の過去」

作:Rui


唯の部屋で静かに話しを聞く構えと取るフィーナ
「フィーナ。」
ふいに唯が口を開く
「何ですか?唯姉。」
「これから言う事は、血塗られた銀装の過去。この話を聞いた後でも、
今迄と同じように扱えると、約束をして。」
唯の言葉に間を置くフィーナ
「…解りました。」
「なら語るわ。」

(今から何年前だったかしら。とある一族で武装具の元になる物が作られた。)
(一族の人々は喜びに包まれた。しかし、その武装具は、一族に災いをもたらした。)

1人の女性が部族の村の中を走り回る
「おじさん、今日の収穫は?」
「バッチリだ!」
「おめでとう。」
そう会話を駆けると更に駆けていく女性
(唯姉、その女性って、誰ですか?)
(貴女も良く知っているわ。彼女は、セフィリアよ。)
(セフィ姉が…。)
女性、セフィリアが走りたどり着いた場所は族長が居るテント
「族長、セフィリアです。入ります。」
そう言うとテントの中へ入るセフィリア
「族長、何の用でしょうか?」
「良く来た。用件とはこれを見てもらえれば解る。」
そう言って巻物らしき物を渡す族長
そしてそれを見るセフィリア
「…これは、武装具ですか?」
「そうだ。セフィリア、お前にその巻物に記されている以上の武装具を作って欲しい。」
族長の言葉に驚きを隠せないセフィリア
「私が、ですか?」
「そうだ。作ってくれるな?」
「…考えて、おきます。失礼しました。」
そう言うとテントから出て行くセフィリア



「(族長は一体何を考えているの?私には解らない。)」
1人悩むセフィリア
「セフィ?」
そこに声を掛ける女性
声のした方を向くセフィリア
「シェリー姉さん。」
「どうしたの?何か考えてるようだけど?」
セフィリアに対し、口を開くシェリー
「いえ、別に何でもありません。」
「本当に?」
セフィリアの言葉に念を押して問い掛けるシェリー
「はい。」
そう言うとその場から去って行くセフィリア
「…悩みは、他人に打ち明けた方が良いものよ。」

(それから1ヶ月の間、セフィリアは巻物に記されていた武装具を、作っていた。)
(その武装具って、もしかして?)
(察しが良いわね、フィーナ。そぅ、銀装よ。)

1ヶ月後

族長のテント

「失礼します。」
そう言ってテントの中に入って来るセフィリア
「どうした?もしかして巻物の武装具が出来たのか?」
その言葉にただ頷くセフィリア
「なら今ここで見せてみろ。」
「解りました。見せましょう。ですが、見物料は、族長、貴方の命ですよ。」
そう言うとセフィリアを光が包む
そしてその光が止むと、銀色の鎧を装備しているセフィリアの姿がそこにはあった
ゆっくりと族長に近づき、剣を抜くセフィリア
「セフィリア、冗談は止めてくれ。何故私を殺す!」
「…私は、この力で、全てを滅ぼす!」
そう言うと族長を切り殺したセフィリア
返り血で少し赤くなった鎧を纏いテントから出ると
1人残らず殺害し、火を放った



丘の上から、村があった場所を見下ろすセフィリア
「これで、これで良いのよ。この力なんて、復活させなきゃ良かったのよ。」
そう呟いていると1人の女性が近づいて来た
「あら?どうしたの?貴女。」
「…別に。同族を埋葬しているだけよ。それより貴女は何しに来たの?」
「私?私は只火の手が上がってたから。」
(この時セフィリアさんが出会った人って、唯姉?)
(えぇ、そうよ。)
「(…この人なら、この力を正しく使ってくれそう。)貴女、名前は?」
「私?クリス=オーリ=ハルイ。貴女は?」
「セフィリア=ラムス。クリス、貴女にこの力を授ける。」
「これ、何?」
「古代武装具の1つ、銀装具。貴女なら、きっと正しく使ってくれる。お願い、受け取って。」
セフィリアの言葉に答えるクリス
「…解った。貰っておくね。」
そう言うと銀十字のネックレスを付け、その場から去って行くクリス
ふと何かに気付き振り返る
「セフィリア、また会おうね。」
そう言うとその場から去っていったクリス
「…面白い人だ。」

水月邸

「そして、銀装具は私からフィーナ、貴女に浮け継がれている。」
そう言うと真剣な目をして、フィーナを見る唯
「フィーナ、銀装具は一歩間違えれば破滅へと繋がる。それでも、使う?」
唯の言葉に、ただ頷くフィーナ
「使います。その力、魔を断つ為に。」
「そぅ、解ったわ。行きましょう。もうすぐ御飯の時間だし。」
「はい。」

エルミナド教会

教会の中で1人佇むセフィリア
ふとドアを開け中に入って来るイリア
「セフィリア、何してるの?」
「イリア。別に、ちょっと考え事。」
「そぅ。」
ふと、天井を見上げるセフィリア
「(…災いは来る。もう直ぐ。)」

続く

次回予告
銀装の過去を知り、それでもその力を使うと言ったフィーナ
しかし今だ残り2人のエレメンタルフェアリーは見つかっていない
そんな中羽咲町は異常事態へと巻き込まれる
次回第7節「アースエレメンタル・ティータ」
全ては、光のために。

つづく


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