Silver Fairy 第2章 第1節「エレメンタルフェアリー」

作:Rui


リスフィードによる事件から1ヶ月
半月前から不思議な夢を見るようになったフィーナ
そして今夜も――――――

「レイピア、4人のエレメンタルフェアリーを集めて。そうしないと世界が…。」

この言葉を残し夢から覚めるフィーナ
「……また、あの夢。一体何を?」
そう思いながら、朝になってる事に気付き起床するフィーナ

着替えを済ませロビーへ降りて来るフィーナ
そこではルイが誰かを待ってる様子だった
「ルイ、おはよう。誰か待ってるの?」
「あっ、おはようございます。はい、唯様をお待ちしております。」
「何処か出かけるの?」
「はい。羽咲署の方へ。」
その言葉に疑問を持つフィーナ
「羽咲署?また何か起きたの?」
フィーナの質問にルイが答えようとした時
部屋から出て来た唯が口を挟む
「ちょっと、羽咲高の女子生徒が多数行方不明になってるってニ科ちゃんから連絡来たから。」
「そう。……唯姉、私も一緒に行って良い?」
「良いわよ。」

移動中の車の中

「…唯姉。」
ふと口を開くフィーナ
「何?」
返事を返す唯
「エレメンタルフェアリーって、知ってる?」
フィーナの言葉に答える唯
「四元属性を守護に持つ武装妖精の事だけど、それが何か?」
「…半月前から、夢の中で4人のエレメンタルフェアリーを集めろって、言われてるんです。」
フィーナの言葉に黙り込む唯
「…唯姉?」
「…早急に集めないといけないわね。」
「……。」

羽咲署第2会議室

「やっほ―ニ科ちゃん。今回は何の用?」
会議室に入り陽気な挨拶をする唯
「来たか。ってな〜、解ってるくせに何の用って聞くなよな〜、唯。」
「いーじゃん。気にしないの〜。んで、詳しく教えて。」
急に真剣な顔になる唯
「OK。羽咲高校の校長から、一昨日電話が来た。
そこで1ヶ月前から女子生徒が少しずつ消息を断っている事を聞いた。」
ニ科の話を真剣に聞く唯・フィーナ・ルイ
「こっちとしても内密に調べたいんだが……。」
「どうしたの?なんか問題でもあるの?」
唯がそう言うと横から口を開くルイ
「羽咲高って、元は女子校だった場所ですよね?」
「良く知ってるじゃないか。」
「いえ、そんな事は…。」
微妙に照れるルイ
「元が女子校、んで未だに女子の数が多いから、ニ科ちゃんみたいな男性が行くと、
怪しまれるから、私に依頼してきたって事?」
唯の言葉に頷くニ科
「…解ったわ。んで、送れる人数は?」
「教師が1、生徒が1、保健室の教員が1、合わせて3人だ。」
その言葉に悩む唯
「ねぇニ科ちゃん、生徒役もう1人送れない?」
「それは…、羽咲高の校長に言ってみないと…。」
ニ科の言葉に呆れた様子を見せ、立ち上がる唯
「仕方ないか。今から現場に行ってくる。」
「直談判って奴か。」
「そっ。ルイ、貴女はフィーナと一緒に先に帰ってなさい。」
唯の言葉に静かに頷くルイ

羽咲高

職員室

「校長、来客用者玄関にお客様が見られてます。」
「解った。今行く。」
若い女性教員に言われ、来客者用玄関に向かう校長

来客者用玄関

玄関迄来ると女性がそこに立っていた
「羽咲高校校長大野祐二さんでありますね?」
女性に自分の立場と名前を呼ばれ思わず口を開く大野
「あ、あぁそうだが。貴女は?」
「水月財閥当主水月唯と申します。依頼を受けたので下見と言う事で来ました。」
「で、ではこちらへ。」
そう言うと来客者用の部屋へと案内する大野

来客者用の部屋

お茶を出し椅子に座り口を開く大野
「それで、今回は下見と言ってましたが…。」
「あぁ、気にしないで下さい。下見なんて名前だけですから。本題は、別にあります。」
その言葉に真剣な話があると思った大野
「潜入させる生徒の数を、1人増やして貰えませんか?」
「……えっ?」
思わず疑問の言葉を漏らす大野
「こちらのちょっとした都合上、潜入させる生徒の数は2人の方が良いんですけど…。」
困ったような表情をする唯
「何とかなりませんか?」
「何とかと言っても…生徒が不足してるクラスは他には…。」
「そこをなんとか出来ませんか?」
追い討ちを掛ける唯
「…1年生のクラスに、空きが一応あります。そちらで良ければ。」
「ありがとうございます、大野さん。それでは週明けからと言う事で。」
「あぁ、お願いします。」
「それでは失礼します。」
そう言うと席を立ちドアを開け去って行く唯

水月邸ロビー

「集まったみたいね。」
唯が口を開く
「はい。ですが、私とフィーナ様はともかく、何故ティーエが?」
疑問を口にするルイ
「ん?今回の潜入で保健の先生が必要なんだって。それでティーエを選んだの。」
「確かに、ティーエは医療班の班長を務める程、その技術は一番ですが…。」
まだ疑問が残るらしいルイ
「大丈夫よ。うちの医療班はティーエはともかく、他も優秀だから。」
「は、はぁ。」
ルイの返事を聞くとティーエの方を見る唯
「それで良いわね?ティーエ。」
「はい。」
返事をするティーエ
「さて、内訳発表。私は教員として。ティーエは保健医。
ルイとフィーナは生徒として。反論はある?」
唯の言葉に答えない3人
「それじゃ、来週から潜入するわよ。朝早いわよ〜。覚悟してね。」
そう言ってロビーから去って行く唯
唯が去ったのを確認して口を開くフィーナ
「唯姉は言わなかったけど、主人と侍従って言う関係、ばらしちゃダメだからね。」
「「はい。」」
フィーナの言葉に同時に答えるルイとティーエ
そして、日は進む

翌週の月曜日

「学校の制服着るなんて、初めて。」
口を開くフィーナ
「メイド服以外の制服など、私は少し恥ずかしいです。」
「文句言わないの、ルイ。ほら、遅れるよ。」
「あっ、はい。」
そう言うと屋敷を出て行くフィーナとルイ
果たしてどうなる事やら…

続く

次回予告
不安だらけだが、いよいよ始まった潜入調査
果たして犯人を見つける事が出来るのか?
そしてエレメンタルフェアリーも…

次回SF第2節「アクアフェアリーディーネ」
水よ、我が力と成りて魔を断つ槍と成れ

つづく


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