Silver Fairy 第1章 第3節「Darknes Fairy Fate」

作:Rui


フェルミナがイシュタルを連れて帰って来てから1時間
ルイはフィーア・アインスを集め接客室でイシュタルの話を聞いていた
勿論そこにフィーナとフェルミナの姿もあった

接客室

「セイナは解らない。けど、姉さんは確実に向こうに…。」
イシュタルの言葉に黙り込む一同
「下手をすれば、いや、確実に敵として唯と戦う事になるわね。」
「フェルミナ、今迄もあったの?」
「えぇ、何度もありましたよ、ルイ。」
ルイの質問に答えるフェルミナ
「フェルミナ、唯姉が居ない以上SKに戻るべきです。」
その中で口を開くフィーナ
「…確かにそうだろうね。けど、ギリギリまでフェルミナで居させて。お願い。」
「…解りました。」
そう言うと椅子に座るフィーナ
「とりあえず、こちらの戦力がどんくらいか、知りたい。」
フィーナの言葉に口を開くルイ
「残っている能力者はフェルミナぐらいです。後は…警備部の人間が…。」
「警備部?アインスとフィーアはともかく、後は戦力にならない。結構しんどいわね。」
そう言うと溜息を付くフィーナ
「仕方無い。羽咲署に救援を求めに行くか。アインス、付いて来てくれる?」
「はい。」
「ルイ、戻って来るまでお願いね。」
「解りました。」
その返事を聞くと出かけるフィーナとアインス

羽咲署

「あれ?ニ科さん。」
署内に入って声を掛けるフィーナ
「おっ、フィーナじゃないか。何か用か?」
「羽純さん居ます?」
「居たかな〜?まぁ待ってろや、確認して来る。居たらここに来るように言っとく。」
「すみません。」
その言葉を聞くと奥へと消えるニ科
「フィーナ、羽純って?」
ふと疑問の声を出すアインス
「仲間ですよ。情報戦・実戦共に役に立つ頼りがいのあるね。」
「そうなんですか。」
「うん。」

それから5分後

「お待たせ〜。」
その声と共に現れる女性
「突然すみません、羽純さん。」
「良いのよ。それで、何かあったの?」
羽純の言葉に答えるフィーナ
「成る程、唯がね〜。んで私の力を借りに来たのね。OK、ちょっと待ってて。」
「はい。」
その返事を聞くと奥へと消えていく羽純
「フィーナ、今のが羽純さん?」
「うん。見た目はあぁだけど、戦闘の時は役に立つよ。」
その言葉に感心するアインス
「でも、なんか普通の能力者とは違う気質を感じたんですけど…。気のせいですか?」
「気のせいじゃないよ。だって羽純さんは天使族だから。」
「天使…族、ですか。」
呆然とするアインス
「羽純さんはあぁ見えても織天使ミカエルよ。」
「そう、なんですか…。」
「…話について来れないみたいね。まっ、忘れて良いわ。今の話は。」
そう言って少し離れるフィーナ
「…天使族。…織天使ミカエル。」
「あっ、羽純さん、どうでした?」
悩むアインスを他所に戻ってきた羽純に声を掛けるフィーナ
「うん、大丈夫だって。それじゃあ唯の家に行きますか?」
「うん。アインス、帰るよ。」

水月邸ロビー

「さて、現状はフィーナから聞いてるけど…、結構やばい状態ね。」
「えぇ。唯にリスフィード、それにフィーリアが敵になってますから。」
羽純の言葉に口を開くフェルミナ
「んでこっちは私にフィーナ、それにしゅ…フェルミナ。」
「後は私にアインスとフィーアが居ます。」
ルイの一言にどよめく一同
「ルイ、戦えるの?貴女?」
「一応唯様の元で学んでましたから。それに何回か実戦も経験してます。」
フィーナの疑問に答えるルイ
ルイの言葉に黙り込む一同
その中で口を開く羽純
「まぁ貴女が戦える事は解った。けど、武装具は持ってるの?」
“武装具“
能力者・非能力者を問わず広く流通している
「バトルフィールド」用装備。
バトルフィールドの基本は5人1組で1チーム
それぞれ近接用のアタッカーが2人
遠距離用のガンナーが2人
補助用のサポーターが1人の計5人である
尚この構成は基本形であり色々な構成にするチームも居る

「武装具と言うか、武神具リュノンを持っています。」
武神具と言う言葉に黙り込む羽純
「…ならOK。戦力として認めよう。んでそっちの2人は防衛に専念してね。」
「「はい。」」
羽純の言葉に従うアインスとフィーア
「さ〜てと、私は夜の街でも見回りに行って来ますか。
フェルミナ、フィーナをお願いね。」
「OK。」
その返事を聞くと出かけていく羽純
「アインス・フィーア、警備部に夜間の警備はいつもより厳重にするよう言っておいて。」
「はい、解りました。」
そう言うとその場から去って行くアインスとフィーア
「私はここで作戦でも練ってようかな?」
「手伝います、フィーナ様。」
「ありがとう、ルイ。フェルミナは?」
「私は…自分の部屋へ戻ります。」
「そっ。」
その言葉を聞くと部屋へ戻っていくフェルミナ

羽咲市内

深夜の路地を1人の女性が歩いている
年は23歳前後である
不思議な点と言えば先程から後ろを気にしている事だろう
彼女がこの路地に入ってから5分
彼女をしつこく追う影が1つ
嫌な予感を感じ少し足を急ごうと踏み出した時
ボスッ
人に当たる感触を感じた女性
そこに立っていたのは…
リスフィードだった
「逃がさないよ、貴女は私のコレクションになるのだから。」
その言葉に逃げ出そうとする女性
「フェイト!!!」
リスフィードがそう言うと逃げようとする女性の前に黒い鎧に身を包んだ人が現れた
暗くて良く解らないが胸の所を見る限り女性である
「殺しちゃ駄目よ。私のコレクションにするんだから。」
リスフィードの言葉に頷くと女性へと近づく黒い鎧の女性
「や、嫌。来ないで。来ないで―――!!!」
そう叫び声を上げた瞬間
黒い鎧に身を包む女性の一撃によって気を失う女性
そのままその場から消えようとした瞬間
羽がリスフィード目掛け飛んできた
「羽!誰?」
リスフィードが口を開く
「貴女も良〜く知っている筈よ、リスフィード。」
「この声、白井羽純か!!!」
「ピンポーン、大正解。」
そう言うと姿を表す羽純
その姿は天武具「ヘヴン」を装着した状態だった
「その女性、離してもらおうか、リスフィード。」
「そう簡単に応じると思ってるの?ヘヴン。」
リスフィードの言葉に口を開く羽純
「そう思ってはいないよ。それなら、力づくで奪う!!!」
そう言い終わるのと同時に背中のウイングが展開する
「あら、いきなり本気で来るの?フェイト、相手をしてあげなさい。」
リスフィードがそう言うと黒い鎧の女性、フェイトは静かに頷いた
家の塀から降りる羽純
道路へ降りると羽純・フェイト共に戦闘態勢を取る
「フェイト、殺さないでおきなさい。大事な伝言役だから。」
リスフィードの言葉に頷くフェイト
その直後フェイトと羽純の戦闘が始まる
その様子を横目に腰が抜けている女性に近づくリスフィード
「待たせたわね。さぁ、淫靡な世界へ誘ってあげる。」
そう言って手を差し出すリスフィード
その直後
“パーン”
という銃声と共にリスフィードの目の前を銃弾が掠めた
「誰?」
咄嗟に立ち上がり辺りを見回す
フェイトと羽純も突然の事で戦いの手を止めている
そして銃弾のい飛んで来た方向を見るリスフィード
そこに立っていたのは…
「天より来たりて闇を討つ。我は魔を断つ剣と成る!!!Silver Fairyレイピア、参上!!!」
そう言い終わると一気にリスフィードとの距離を詰めるレイピア
そして側に居た女性を抱きかかえると口を開く
「ヘヴン、退くよ!!!」
「しかし…。」
「退く勇気も必要よ。退くよ!!!」
そう言い終わるとその場から去って行くレイピアとヘヴン
「マスター。」
そう一言だけ呟くフェイト
「帰るわよ。」
「…はい。」
リスフィードの言葉にもう一回、小さく呟いたフェイト

その様子を物陰から見ていたレイピアとヘヴン
リスフィードが去ったのを確認すると銀装を解くレイピア
その下から出て来た顔はフィーナだった
「フィーナ、貴女だったんだ、今のレイピア。」
「はい、レイピアの名と共に受け継ぎましたから、羽純さん。」
フィーナに羽純と言われヘヴンの装備を解除する羽純
その瞬間何かを感じ取るフィーナ
「羽純さん、その女性連れて先に帰ってて下さい。」
「えっ?あっ、うん。解った。」
そう言うとその場から去って行く羽純
去ったのを確認して口を開くフィーナ
「居るんでしょ?出て来て下さいよ、フィーリアさん。」
そう言うと柱の影から出て来るフィーリア
「良く、解ったわね。」
「殺気が感じられましたから。」
「…冷静な判断ね。」
そう言い終わると剣を抜くフィーリア
「やっぱり、戦わなきゃいけないんですか?」
「えぇ。」
フィーナの問いに簡単に答えるフィーリア
「なら、全力で行かせて貰います。」
そう言うと力を解放するフィーナ
「雷神の血を引く者の力、見せてあげます。」
そう言い終わるとフィーリアに向け突進していくフィーナ
この戦いに、意味はあるのか?

続く

次回予告
この戦いに意味はあるのか?
そう考えながらもフィーナはフィーリアと戦う
そして、どんなに無意味でも、決着は来る
次回Silver Fairy
第4節「その戦いの意味」
イカヅチよ。我が剣と成りて敵を討て。

つづく


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