Silver Fairy 第1章 第2節「魔族リスフィード=フェルディナント」

作:Rui


「やっぱり、貴女だったのね。」
ローブを被っていた女性に向けて口を開く唯
「連続女性失踪事件。紫聖町や夢乃宮でも起しといてここでも起すなんてね。
さて、何か反論はあるかしら?リスフィード=フェルディナント。」
その女性、リスフィードへ向けて口を開く唯
「フフッ。流石ね水月唯。けど、私はまだ捕まる訳には行かないのよ。Byebye♪」
そう言い終わるとその場から消えたリスフィード
「転移術ですね。」
「解ってるじゃん、フィーナ。」
等と会話を交わす2人
するとその時…
「や、嫌。体が、体が石に…。」
“石になる”
その女性はそう言いたかっただろうが、言い終える前に胸の部分が石化し喋れなくなった。
その後女性は完全な石像と化した
「……解石。」
“ラティアン”
そう言うと女性の石化が解ける
そしてその女性の額に指を当てる唯
「今宵の出来事、全て忘れなさい。」
そう言うと額から指を離す
すると起き上がりフラフラと歩きながら帰路へ着く女性
「唯姉、今のは?」
「操術の一種よ。さて、私達も帰るわよ。」
そう言うとその場から消え去る唯とフィーナ

翌日

コンコン
唯の部屋のドアを叩く音がする
「失礼します。」
そう言いながら部屋へ入るルイ
「唯様、朝です。起きて下さい。」
ルイの言葉に起き上がる唯
「う〜ん…おはよう、ルイ。」
眠そうな声を出す唯
「フィーナ達は?」
「ロビーでお待ちです。それと、羽咲署の方がお見えになっています。」
「何処に居るの〜?」
「同じくロビーです。」
「解った。」
そう言い終わると着替え始める唯

着替えが終わりロビーへと降りて来る
「あれ?仁科さんだけ?」
「あぁ、奴は用事があってな。」
「ふ〜ん。」
そう言うと階段を降りロビーの椅子に座る唯
「それで仁科さん、用件は?」
唯にそう言われ資料を机に放る仁科
「言われてたモン、出来たぜ。」
「ありがとう。それと、一杯飲んで行かない?」
「いや、また今度にしとく。」
「そっ。」
そう言うと資料を持って席を立つ唯
「ルイ、私は自分の部屋に居るわ。」
「解りました。」
唯の言葉に返事をしお辞儀をするルイ
「唯姉、待ってよ〜。」
そう言いながら唯を追うフィーナ
「あぁ、気にしないで下さいね。いつもあぁだから。」
そう言うと唯を追うセイナ
1人ロビーに取り残される仁科
「お送りします。」
そう言うルイ

唯の部屋

先ほど貰った資料に目を通す唯
「成る程。フィーナ・セイナ、場所は解ったわ。後は、どれだけ十二神具が揃うかね。」
そう言うと資料を机に置く唯
「ルイ!」
「はい、お側に。」
唯の一言で突然現れるルイ
「警備部フィーアにエルミナド教会に行ってもらって。
“唯が呼んでる”って言えば解ると思うから。」
「解りました。」
そう言うと一瞬で消えるルイ
「さて、気長に待ちますか。」

昼過ぎ

羽咲氏北東部の小高い丘の上
この丘の上にエルミナド教会がある
「あった。ここね。」
そう言って教会に近づくフィーア
そして恐る恐るドアを開ける
ドアを開けると中には1人のシスターが居た
「あの〜、水月財閥のフィーアと申す者ですけど、
こちらにシスターイリアって方は居ますか?」
フィーアの言葉に振り返るシスター
「シスターイリアは私です。どのような御用でしょうか?」
そう言われドアを閉めてシスターイリアに近づくフィーア
「言付けがあります。我が主水月唯様より。」
「……唯、から?」
「はい。」
水月唯
その名前に若干戸惑いを見せるイリア
「それで、言付けって?」
「はい。只“唯様が呼んでる”とだけで…。」
その言葉を聞いて修道衣を脱ぐイリア
その下には戦闘用と見られる法衣を着ていた
「行きましょう、水月唯の所へ。」
「はい。」

水月邸

唯の部屋

コンコン
ドアをノックする音がする
「誰?」
「警備部のフィーアです。エルミナド教会よりシスターイリアをお連れしました。」
「入りなさい。」
「はい。失礼します。」
そう言うとドアを開けイリアと一緒に入って来るフィーア
「久し振り、で良いのかしら?唯。」
「まぁそうなるね。フィーア・ルイ、下がって良いわ。」
「はい。失礼しました。」」
そう言うと部屋から出て行くルイとフィーア
そして部屋の中には唯とイリアが残った
「…さて、そちらではどうなのかしら?シスターイリア。言え、イシュタル。」
唯の言葉に顔にかかる布を上げるイシュタル
「教会はまだ動いていませんよ。むしろ動く気がありません。」
「まぁそうでしょうね。上の連中がこんな所の騒動に動く筈無いし。」
「姉さん、本気で言ってるんですか?」
「事実を言った迄よ、イシュタル。」
一触即発の雰囲気が流れる唯の部屋
「けど、そろそろ動きはじめるでしょうね。」
そう言うと椅子に座る唯
「イシュタル、リスフィードには気を付けてね。」
「はい。」
「ルイ、シスターイリアをお送りしなさい。」
「はい。」
唯の言葉に突然現れるルイ
ルイがイシュタルを連れて部屋を出て行きドアが閉まる
「……今夜、かな?」
そう呟きながら煙草に火を付ける唯

その日の夜

羽咲市内西部

羽乃宮海浜公園

「……。」
静かに1人で公園内を歩く唯
その向かう先には魔族リスフィードが潜伏している場所
人形館がある
しばらく歩き公園の出口に近づくとそこに人影があった
その人影に気付く唯
「…イシュタル。それにセイナ。」
唯の言葉に答えるイシュタル
「姉さんの事だから今夜辺り行くと思ってね。」
「私は純粋に後をつけて予測したらイシュに出会った。」
2人の言葉に滅入る唯
「…何かあっても、私は知らないからね。」
「それは私達の間では何時もの事でしょ?姉さん。」
唯の言葉に答えるイシュタル
「そう言う事。」
そう言いながら唯を軽く叩くセイナ
「そうだね。そんじゃ、行こうか。」
そう言うと人形館へ向けて歩き始める3人

人形館館内某所

「彼女達が、来たの?」
リスフィードに問い掛ける一人の女性
「…えぇ。1人、相手をして上げてよろしいかしら?ダインの血を継ぐ者よ。」
「構わないわ。それじゃ。」
そう言うとその部屋から去って行く女性

館内

館内を武装具を展開して歩く3人
唯は神装具
イシュタルは教会式戦闘法衣
セイナは十ニ神具をそれぞれ装着している
「…相変わらず、嫌な所ね、ここは。」
ふと唯が口を開く
「確かに。でも今はここで立ち止まる訳には行かないでしょう?唯さん。」
「…そうね、行きましょう。」
そう言うと移動を始める3人
ふとその時何かを感じるセイナ
「セイナ、どうしたの?」
声を掛ける唯
「唯、先に行ってて下さい。」
「セイナ、何言って…。」
セイナの言葉に口を開くイシュタル
そしてそれを止める唯
「姉さん。」
「セイナ、死なないでね。」
「勿論。」
「イシュ、行くよ。」
セイナと会話を交わすと奥へ移動し始める唯とイシュ
それを見送ると口を開くセイナ
「居るんでしょ?出て来ないの?リヴァ。」
“リヴァ”
そう言うとセイナの後ろから姿を表すリヴァ
「良く解ったわね、セイナ。」
「グングニルと共鳴してるからね。」
そう言うと振り返るセイナ
「やっぱり、戦わなきゃいけないの?」
「えぇ。それが、ノヴァとダインの血を引く者の宿命だもん。」
そう言うとグングニルを構えるリヴァ
「……私は、貴女と戦いたくない。でも、戦わなきゃいけないのなら、全力で行く。」
そう言うとゲイボルグを構えるセイナ
「行くよ!」
そう言うと2人揃って突撃する

館内特別展示場

「姉さん、ここに何かあるんですか?」
口を開くイシュタル
「……誰だい?隠れてないで出て来なさい!!!」
怒鳴りつけるような口調で口を開く唯
その言葉の後展示物の陰から人影が出て来た
「やっぱり、バレたのね。唯。」
「解るわよ。貴女の独特の気流を覚えていればね。」
そう言い終わると剣を抜く唯とリスフィード
「リスフィード、どうしても戦う気なの?」
「えぇ、私の邪魔をするのなら。」
リスフィードの言葉に黙り込む唯
「…なら仕方無い。私は、貴女を討つ!!!」
そう言った直後
唯の後頭部を鈍器のような物で殴る女性が居た
「フィーリア…嘘でしょ?」
そう言うと気を失い倒れる唯
その中で只呆然と立ちすくむイシュタル
立ちすくむイシュタルに近づくフィーリア
「!!」
それに気付き構えるイシュタル
「イシュタル、この事を他の皆に伝えなさい。面白いわよ。」
「えっ?」
「バイバイ♪」
そう言うと気を失うイシュタル
「フィーリア、何をしてたの?」
「別に、何でも無いよ。…リヴァの所に行って来る。」
「お願いね。」
そう言うとイシュタルを抱え入口の方へ歩いて行くフィーリア

入口付近

「リヴァ。」
入口近くで立っているリヴァに声を掛けるフィーリア
「フィーリア、こっちは片付いたよ。」
「そう。」
そう言うとリヴァに近づくフィーリア
「そっちはどうなの?イシュタルを抱えてるようだけど…。」
「貴女がセイナをどうするかは知らないけど、私は彼女を返すつもりよ。」
「…唯を捕らえたのね。」
「そう言う事。」
そう言うと外へ出て行くフィーリア

外へ出るとメイド服を着た女性が1人で立っていた
「…フェルミナ、何か用?」
「別に。敵状視察って所。」
「あっそう。…まぁとりあえず彼女は返すわ。」
そう言うとイシュタルを降ろすフィーリア
「フェルミナ、こっちに来る気は無い?」
ふと口を開くフィーリア
「…無いね。」
そう言うとイシュタルを抱え去って行くフェルミナ
「残念。」
そう言うと館内へ戻っていくフィーリア

水月邸ロビー

「フェルミナ。」
邸内へ入り一番最初にフェルミナに声を掛ける女性
「ルイ…。」
「唯様は?」
「解らない。詳しい事は彼女が起きてから。」
「解りました。」
その言葉を聞くと奥へと消えるフェルミナ

続く

次回予告
イシュタルの口から衝撃の事実を聞くルイ・フェルミナ・フィーナ
そしてリスフィードの企みは?
そしてその夜から出没する黒い鎧に身を包んだ人
全ての謎は何処で繋がるのか?

次回Silver Fairy
第3節「Darknes Fairy Fate」
お楽しみに♪

つづく


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