カタメルハイスクール第2話「山登り」

作:七月


「は-い、今回は課外授業で山登りしま-す。」
笑顔で紫が話している。
そんな紫に対して霊夢はいう。
「山登りはいいわ・・・でもねえ」
霊夢は大声で叫んだ。
「何で雪山なのよおおおおおおおおお」



今、私立ASFR学園1年A組は課外授業として雪山に来ている。
本日の天候は吹雪。
はっきり言ってコンディションは最悪だ。
「さむい・・・」
しかもなぜか霊夢たちの格好は防寒着ではなくいつもどおりの制服だ。
こんなの死ねと言っているようなものではないか。
「実際周りになんかたくさんの氷像が見えるんだけど・・・・」
いま、霊夢たちの周りには明らかに人の形をした氷像がいくつもたっている。
これはもしかしなくても・・・
「先に来たB組の皆ね。
ちなみにB組は全滅だったから。」
「まじかあああああ!」
よく見ればなんだか見覚えのある少女達の氷像が見えた。
「さて、じゃあ皆頑張って頂上を目指してね-。
私は山小屋で待ってるわ。」
無責任にそう言って紫はスキマに消えていこうとする。
「ま・・待って紫。」
それを霊夢が呼び止めた。
「なに?霊夢?」
霊夢は上着をはだけさせ、少ししなを作って言う。
「紫一人じゃ寒いだろうから・・・私と温めあわない・・・」
「いいですとも!(鼻血ぶ-)」
「よっしゃ!課外授業回避!」
霊夢もスキマに潜っていく。
「ず・・ずるいよ霊夢!」
「そうよ、あんたにプライドはないの!」
皆から霊夢にたくさんの野次がとんだ。
そんな皆に向かって霊夢が言う。
「プライドなんかのせいで固まってたまるか-!!!」
パタン
とスキマが閉じた。
ビュオオオウ
吹雪の音が増したような気がした。



「霊夢の奴・・・後でアイアンクロ-ね・・・」
悪態をつきながら環たちは雪の中を進んでいた。
先ほどから10分ほど経過してすでに残っているのは
向坂環、九浄リア、高嶺愛花、シャロン、朝倉音姫の5人だけだった。
だが・・
「ゴメン・・もう駄目・・・」
「わ・・わたくし・・も・・・」
ひゅ〜
パキパキパキィ
一瞬で凍り付いてしまう、音姫とシャロン。
新たに二つの氷像が出来上がってしまった。
「ああもう・・音姫とシャロンまで・・・。
リア、愛花。私たちはがんばるわよ。」
環がそう言ったそばから。
「ごめんなさい・・・わたしも・・・もう・・・」
「愛花ちゃん!?」
「あ・・・」
パキィン
愛花の体が一瞬で氷に包まれた。
愛花は氷像になってしまった。
「あ・・・愛花ちゃんまで・・・」
「これで私とリアの二人だけ・・か・・・」
私たちだけでもゴ-ルしてあのふざけた教師をぶっ飛ばす!
そんなことを思いながら進む環はあることに気がついた。
「ジ-ッ・・・」
「え-っと、どうしたの?環ちゃん。」
環に胸を凝視されてリアが困惑しながら言う。
「・・・なるほど。」
「?」
「今生残っている私たちの共通点・・・それはずばり・・・」
「ずばり・・?」
「胸が大きい!」
「ええ-っ!?」
リアが素っ頓狂な声を挙げた。
「胸ってのは脂肪の塊だからね。それだけ寒さに強いのよ!
つまり私たちは今日!胸の大きさが決定的戦力差であることを証明したのよ!」
「な・・なんだって-!」
なんだって-
なんたって-
なんだって-
・・・・・・
リアの声が山に木霊する。
「・・・さて、ゴ-ルを目指そうか。」
「うん・・そうしようか。」
何事も無かったかの用に再び歩き始める二人。
しかし
ゴゴゴゴゴゴ
「ん?何かしらこの音?」
「・・・もしかして・・。」
リアが青ざめた顔で言う。
「さっきの私たちの会話の声が大きすぎて雪崩が・・・」
「な・・なんだって-!?」
なんだって-
なんだって-
なんだって-
・・・・・・
環とリアは山の上のほうを見た。
すると、案の定巨大な雪崩が押し寄せてきていた。
「ええ-っ!」
「いやあああっ!」
なすすべなく雪崩に飲み込まれる二人。
そして・・・



後日談(今回の落ち)
朝のホ-ムル-ムで紫が出席をとっていた。
「霊夢-。」
「は-い。」
「環-。」
「・・・・」
「凍結・・・と。リア-。」
「・・・・」
「凍結・・・と。愛花-。」
「・・・・」
「凍結・・・と。シャロン-。」
「・・・・」
「凍結・・・と。音姫-。」
「・・・・」
「ねえ紫・・・」
「凍結・・・と。ん?どうしたの、霊夢?」
「私以外みんな凍っちゃってるじゃない・・」
今この教室には霊夢以外全員の氷像が立ち並んでいた。
それぞれ雪山で凍ったまんまの形でここに運ばれていたのだ。
最後まで残っていた環とリアも、結局雪崩にまきこまれ、凍結してしまっていた。
だから、今ここに残っているのは、ズルをして生き延びた霊夢一人だった。
「まさに学級凍結・・・ね?」
「なにがじゃ-!?」
「あなた一人凍ってないのも寂しいだろうから、霊夢も凍っておく?」
「嫌に決まってるでしょ-!」
霊夢の叫びが教室に木霊する。
今日も学園は平和だ。

つづく


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