作:HIRO
>20XX年――
世界は変わった
具体的に言っちゃえば狂った科学者といかれた魔術師によって人間界と魔界と呼ばれている――まあ人外だらけの世界が何かの拍子で繋がり
その結果、人外8割、人間2割な素敵な世界に変わってしまった
右を見ればネコ耳少女、左を見れば犬耳少年
まともな人間なんて一人もいないそんな状態
世界も変われば当然物の見方や考え方――そして犯罪も変わってくるモノで
人間(?)固めてエロイ事をしちゃったりするハーピーや
女性を固めて美術品にしちゃう悪い魔法使いやら
ともかく上げていったらきりがない位多かったりする
そんな犯罪者(変態と言わない)を撲滅するために作られた組織
人それを――「固めデカ」と呼ぶ
「あつぃ……」
私、猫神 石華(ねこがみ せっか)はアゴを机に当て、寝るか寝ないかはっきりとしない意識の中ついぼやいた
その短髪の黒髪は汗でベトベト、制服はびっしょりしており、猫人(ワーキャット)の特徴であるその耳は熱さのためだれきっていた
ピタァ
私の頬に突然冷たい感覚が襲う
慌てて私が振り向くと
「そんな事言わない〜、ほら冷たいジュースよ」
と稲穂を思わせる綺麗な金髪の長髪に狐耳なお姉様と言うべきな妖狐がそこにいた
彼女の名は狐固(ここ)
私の同僚で相棒でそして――変態一号
どの位かというと
「いらん! どうせ石化薬入りなんだろ?」
と相棒の私に言わせるくらい石化好きな変態である
「も〜、そんな事言わないで、相棒でしょ?」
「貴様の相棒だから言うんだ!」
この女の相棒になったのは私が固めデカに入り最初に絶望した出来事である
ともかくこの女はことある事に私を固めようとする――しかも石化という手段で
早朝、挨拶替わりに私を石化
昼間、弁当に石化薬混入で石化
深夜、寝るときにわざわざマンションに入りお札で石化
とほぼ二十四時間石化を楽しむどうしようもない変態
それがこの女である
「だって〜、石化は美しいんだもん……」
そんな困った顔で言うな、ある意味、殺意がわく
「そうだぞ、あなたという人は相棒を石化して観賞するしか楽しむ事が無いの? もっとその力を仕事に活かせばいいのに……」
と私と狐固の二人の間をわるように一人の女性(人外だけど)がいった
流れるような青い長髪に、真っ白い肌をしており、薄い青色の着物を着ている、第一印象は冷たいそんな女性
……というか体から冷気を出していたらそりゃ寒いって
彼女の名は凍華(とうか)察しが付くと思うが種族は雪女である
「居たのかよ……」
「さっきから居たわよ……全く失礼ですわ」
性格は冷静であり一見まともそうだが……
「ああ、すまんかった、だが早く相棒のところにいけよあいつどこか抜けてるかな」
「……その事何でけどね」
彼女もまた変態であり、堂々の変態二号と断言できる
どの位かというと
「せっかくフィオナちゃんを凍結させたに、この暑さですぐ溶けちゃうのよ」
と真顔で言い切っちゃうところに彼女の人間性(?)が随所に現れている
ちなみにフィオナとは彼女の相棒の狼人(ワーウルフ)であり、真症のMである
大体固められる事が大好きとこいつも人(?)として終わっている
「……でわたしにどうしろと?」
「かわりに(ry」
「……シャワー浴びに行く」
これ以上ここにいたら何されるかわからん……ここは逃げるが勝ちというモノである
今思えばここで私は失敗を犯していたのかもしれない
〜更衣室〜
「全く何が楽しいのやら……」
私は汗でべとついた制服を脱ぎ捨てながら愚痴った
ここ「固体化捕縛警官」通称「固めデカ」は固め能力、もしくはそれに準ずる能力を持つ集団の集まりである
発足理由はその固め能力を有効に利用して相手を傷つけることなく捕縛可能にする画期的な組織
――表向きは
実態は固め好きな変態どもを集めて管理しやすいようにする、ある意味変態どもの巣窟といった方が正しい
実際、8割方こういった変態ども集団であり残り2割は私みたいなまともな感性をもった哀れな羊である
すなわちは体の良い生け贄である
「こっちのみになれと……」
ちょうど私がブラを取り、パンツを脱ごうとしたとき異変が起きた
(体が動かない……?)
私は幾分か驚き、ロッカーの中に入っていた鏡を見た
……足が灰色の物体に変わっていた
それは普段が見慣れている、「石」と言う物体
(まっ、予測はしていたけどね……)
恐らくはロッカーに仕掛けていたのであろう、完全に不意をつかれた形である
ピキピキと石が割れるような音と共に灰色の侵略が私に襲いかかる
ご丁寧に下着はその侵略から外れていたのが悔しい
(この分だと後数十秒ね……)
もうすでに首の下まで石化したその姿を見て恐ろしく冷静に判断する
すでに慣れた現象とは言えこんな恥ずかしい姿のまま固められるのは――あまり好きなモノでは無かった
(ま、今回は私の負け……と言うことで……)
だんだんと意識がとぎれていく
息苦しくないのはある意味では優しさと言うべきか……?
もはや……そんな事を……考える……余地も……余裕……無く……
私の……体は……石に……変……わ……て……い……
……
翌日、私は自分の部屋で目を覚ました
なぜか裸で、しかも
「何をしている!?」
隣にこれまた裸で変態一号が寝ていた
「むにゃ、ごちそうさま〜」
「何・が・だ!?」
そんな感じで私の忙しくて悲惨な一日が幕を開けるのである