作:幻影
自宅の屋根の上にユウキは座り込んでいた。彼はそこから遠くを見据えていた。
ゴルゴン・シャドウの力を得た彼には、石化の他に様々な能力を使うことができる。
その中の1つ、マインドアイは、標的の動きや遠くのものを正確に捉えることができる能力である。集中させれば、標的の心や情報まで盗み見ることも可能である。
その力を使い、ユウキは標的を、自分に快楽を与えてくれるだろう女性を捉えていた。
相庭(あいば)カレン。ピンクの髪をポニーテールにした女子高生である。
(なるほど、そういうことか。次のターゲットには丁度いい。)
カレンの詳細を知ったユウキが立ち上がり、不敵な笑みを浮かべる。
「この力、十分に使わせてもらうよ。」
口元に手を当ててさらに笑みを強める。自らの欲望に向けて、ユウキを行動を開始しようとしていた。
街の中央に設置されている警察本部。その捜査部の仕事場。
中は私物やゴミが散らかっていて、殺伐とした光景だった。
その日ものらりくらりとした仕事場の風景。それでも仕事はきちんとこなし、犯人逮捕や事件解決を遂行してきていた。
仕事場の電話の1つが鳴り響いた。
「また事件か?」
やる気のなさそうな振る舞いで、受話器に手を伸ばす1人の刑事。
「はい、もしもし。事件ですか?」
気の抜けた口調で応対する刑事。しかしその怠けた表情に緊張が浮かぶ。
「何っ!?予告状!?」
叫ぶ刑事の言葉に、室内にいた刑事たちも身構える。事情を聞き、刑事は電話を切って、警部に振り返る。
「どうした!?」
「予告状を送りつけられた女性からの通報です!彼女をさらいに来ると・・!」
「何だとっ!?・・・よし!全員、出るぞ!」
警部の号令に刑事たちが敬礼をし、そろって出動した。
“相庭カレン様、あなたのけがれなき体、いただきます。” Shadow
警察に通報した少女、カレンに送られてきた紙には、このような文面が書かれていた。
「なるほど、こんなものが・・・」
予告状を見た警部が真剣な面持ちで呟く。カレンは自分の身の危険に恐れを抱きながら、警部をじっと見つめていた。
「それにしても、予告状を送りつけてくるとは、実に大胆不敵だな。我々警察に対する挑戦とも見られる。」
犯人に対して苛立ちを見せる警部。
「あの、私は・・・」
心配になったカレンが警部にたずねてくる。
「あ、大丈夫ですよ、相庭さん。我々が責任を持ってあなたを保護いたします。」
作り笑顔を見せる警部。それでもカレンは安心感を持てたようだった。
彼女は学校の寮に住んでいて、同じ寮の生徒たちは警察の登場に、歓喜や困惑などいろいろな様子を見せていた。
それらを気にせずに、警察は警護をして予告の時間、午後8時になるのを待ち構えた。
「ところで、相庭さんは誰かに狙われたということはないですか?」
警部がカレンに聞き込みをする。カレンは戸惑いながら答える。
「いいえ。この近辺はあまり事件がなくて、ストーカーの話も聞かないです。」
「そうですか・・ううん・・・」
思い当たる節が見つからずうめく警部。こうして悩んでいる間にも、予告の時間は刻一刻と近づいていた。
そして日が落ち、時刻は7時半を迎えていた。野次馬になっていた人々は刑事に追い払われ、警戒はさらに強まっていた。
不安を募らせていくカレン。うつむいて怯えて体を震わせていた。そんな彼女を見かねて、警部は再び声をかけた。
「ご心配なく。たとえ誰が来ようと、我々があなたに指一本触れさせません。」
自信ありげに振舞う警部。しかし今度ばかりはカレンの不安を拭い去ることは難しかった。
同じ頃。
カレンを狙い、堂々と予告状まで出したユウキは、近くの建物から、マインドアイで彼女の様子をうかがっていた。
今の彼は普段の黒髪ではなく、闇の中で輝く光のように真っ白になっていた。
これもゴルゴンの力の1つである。自分の思い描いたとおりに自分の姿を変えられるのである。ただしこれは外見だけで、背丈、体格までは変えることができない。
「こんなに集まっちゃったか。予告状1枚でこうも慌しくなるなんてね。まぁ、このくらいじゃないと楽しめないのもいえてるけど。」
思わず笑みを浮かべるユウキ。黒をベースにした動きやすい衣服を身にまとった彼は、立ち上がり自分の右手を見つめる。
「さて、そろそろ時間だ。」
眼光を不気味に光らせ、ユウキがカレンを見据える。
全身に力を込め、標的に向けて跳躍を開始した。
「あっ!誰か飛んできたぞ!」
近くの建物から飛翔してきた人影に、警官の1人が叫ぶ。周囲の警官もその方向に集中する。
人影は警官たちの眼前の壁の上で着地した。そして不敵な笑みを見せて再び跳躍する。
「な、何というジャンプ力だ!」
「行ったぞ!追え!」
戸惑いの言葉と追跡の叫びが飛び交いながら、警官たちがその人影を追った。しかし、人影の機敏な動きと跳躍力は警官たちを上回っていた。
寮に入り込んだ侵入者。その知らせは即座に警部にも伝えられていた。
「このまま追跡を続けろ!見逃すなよ!」
怒鳴るように命令を下し、警部は無線機を切る。そして震えているカレンに向き直る。
「あなたは私が守ります。今すぐここを離れましょう。」
カレンは警部の手を取り、連れられて自室を飛び出した。階段を下り、裏口から外に出る。
そこで警部が足を止め、カレンが駆ける勢いのまま彼の背中にぶつかる。数歩後ろに下がって前を見ると、そこには1人の人物が立ちはだかっていた。
警部と同様、カレンは驚愕を覚える。
「お、お前は・・・」
警部が動揺を見せながら、眼前の青年、ユウキに声をかける。
「オレはシャドウ。美しい美女を奪う者さ。」
不敵に笑うユウキ。白髪が風に揺られ、紅い眼光が不気味にきらめく。
「ふざけるな!貴様には指一本触れさせんぞ!」
怒号を上げて、警部が銃を構える。それでもユウキは笑みを消さず、警部の後ろにいるカレンに眼を向けていた。
「オレは、狙った獲物は決して逃がさない。」
その言葉が引き金となった。
警部は威嚇のつもりで銃を撃った。弾丸はユウキの前方に着弾したが、それと同時にユウキが飛び上がっていた。
「何っ!?」
見上げた警部を飛び越え、ユウキがカレンの背後に回りこんだ。
「もらったよ。」
「しまっ・・!」
振り向き様に銃を構える警部。ユウキはその手を足で蹴り、銃を叩き落とす。
「うぐっ!」
そして警部の腹部に足を叩き込み、突き飛ばす。昏倒し、腹を押さえてうめく。
「は、放して!」
ユウキに体をつかまれ、カレンが嫌がって振りほどこうとする。しかしユウキの手から逃れることができず、ユウキの笑みがさらに強まる。
「逃がさないよ。」
ユウキはカレンに向けて口から黒い霧を吹き付ける。闇の吐息をかけられたカレンは、次第に意識が遠のいていく。
痛みに耐えながら警部が立ち上がる。その眼の前で、カレンは気を失って腕をだらりとさせ、ユウキが哄笑を上げて彼女の顔を見つめていた。
「これでこの子はオレものだ。」
「そ、そうはさせるか・・!」
うめきながら警部が銃を拾い、再びユウキに銃口を向ける。
そのとき、ユウキの体から黒い霧が立ち込める
「くっ!煙幕か・・!?」
警部は思わず眼を細め、口を腕で塞ぐ。しかしそれは煙幕ではなかった。
これもユウキの持つゴルゴンの能力である。全身から黒い催眠ガスを発生させることができるのだ。これを吸った他者は、眠気に襲われて気絶してしまうのである。
警部は間一髪、煙を吸い込むことを免れた。だが、その黒い煙に紛れて、ユウキはカレンとともに姿を消してしまっていた。
治まっていく黒い霧。その場には苛立ちを隠せずにいた警部が腹部の痛みにうなだれるだけだった。
ユウキが作り出した空間。カレンを連れ去ることに成功したユウキは、妖しい笑みを浮かべて横たわる彼女の頬を撫でた。カレンは小さくうめくだけで、意識は戻っていなかった。
ユウキは寮に乗り込んでいたときの白髪ではなく、元の黒髪に戻っていた。
しばらく待っていると、カレンはようやく眼を覚ました。
「ここは・・・どこ・・・!?」
おぼろげな意識の中、カレンが辺りを見回す。そしてその視線が黒髪の青年で止まる。
「あ、あなたは・・・?」
呟くように声をかけるカレン。するとユウキは妖しく微笑む。
「君を新しい世界へと導く者。そして君もオレを心地よくさせてくれる存在なんだ。」
「な、何を言ってるの・・・!?」
カレンの顔に再び不安の色が浮かぶ。
そして彼女は悟った。眼前の黒髪の青年が、自分を連れ去った白髪の人さらいと重なったのである。
ユウキが右手を差し出し、カレンを誘う。
「さぁ、こっちへおいで。」
「イヤッ!」
カレンがその手を拒み、立ち上がって後方に数歩下がる。
「ここから出して!私を家に帰して!」
叫ぶカレン。ユウキはそんな彼女を見つめてさらに笑みを浮かべる。
「ダメだよ。せっかくここに連れてきたのに、帰してしまったらもったいないじゃないか。」
怖がるカレンを、ユウキはじっと見つめて力を込める。
カッ!
そしてその眼光がカレンに照らされる。
ドクンッ
その光を受けたカレンは、激しい胸の高鳴りに眼を見開いた。今まで感じたことのない、まさに胸を打つような感覚だった。
「なん、なの・・・今の・・・?」
カレンは不安になって、自分の胸に手を当てていた。悩ましい笑みを続けるユウキがじっと彼女を見つめている。
「これで君はオレのものだよ。」
「えっ!?」
ピキキッ パキッ
驚きの声を上げたと同時に、カレンのスカートが引き裂かれた。さらけ出された彼女の下半身は白く固まり、ところどころにヒビが入っていた。
「な、何なの・・コレ!?」
カレンの驚愕の声は今までにない恐怖が込められていた。衣服を剥がされ、お尻と秘所を見られて恥じらいもしていた。
「オレは君に石化の力をかけた。君はだんだんと体が石になっていくんだよ。」
「えっ!?」
ユウキの言葉にカレンは顔を赤らめる。このまま石化が進行すれば、着てるもの全て破れ、裸にされてしまう。そう思ったのである。
「やめて!助けて!」
カレンが眼に涙を浮かべて叫ぶ。裸の石像にされるのが辛く、助けを求めていた。
「君もいい体してるんだね。まだ下半身だけど、それだけでも分かるよ。」
ユウキが困惑して動けずにいるカレンの秘所に手を伸ばした。
「や、やめて・・・!」
カレンが顔を歪めてあえぐ。完全に恥じらいを浮かべ、秘所を触ってくるユウキに抵抗を感じていた。
ピキッ ピキッ
ユウキが意識を向けると、カレンの石化は上半身に及び始めた。着ていたセーラー服はボロボロになり、胸や体があらわになった。
「やっぱり思ってたとおりだ。その胸、その腰、その手足。まさに美しい花だ。オレがさらにその美しさを引き立たせてあげるよ。」
ユウキが腰を挙げ今度はカレンの胸を撫で始めた。快感とも不快感とも知れない気分に、カレンは混乱していた。
「お願い、助けて!何でもするから!このまま石になんてなりたくないよ!」
「何でも?」
ユウキが聞き返すと、カレンは希望をつかんだような表情を見せる。彼に従えば、石化を解いて自由になれるはずだと彼女は思っていた。
「だったら・・・」
ユウキはじらすように悩んで見せた。そして、
「オレの心を満たしてくれ。」
「えっ・・・?」
ユウキの答えの意味をカレンは一瞬理解できなかった。
ユウキは突然着ているものを脱ぎ出し、彼も全裸をさらけ出した。そして石化して動けずにいるカレンを優しく抱きしめた。
「な、何を・・・!?」
肌と肌を密着され、赤面するカレン。そんな彼女に気にも留めず、ユウキは抱きしめたまま彼女の胸を再び撫で始めた。
「やめて!やめてよ!・・・アハァ・・・」
抗おうとするカレンの意思が、ユウキの抱擁によって薄らいでいく。
願っても決して抗うことのできない石化の抱擁。まだ意識も感覚も残っている彼女の心は、次第に快楽の海に沈んでいった。
ユウキは身をかがめ、カレンの右胸に口を当てた。石の胸を滑らかに舐め回し、カレンと自分にさらなる快感を与える。
「や、やめて・・・・あ・・ぁぁ・・・」
カレンの抗いの声はもはや言葉になっていなかった。ユウキはそんな彼女の乳房を吸い付くように舐めていく。
「これがオレの快楽だ。女の子の体のつくりを実感し、触れることで快感を覚える。このひと時が、今のオレの最高の時間だよ。」
ユウキがふと見上げるが、カレンは押し寄せる感情を押し留めることに必死で、彼の話を聞いている様子ではなかった。
ユウキは微笑み、さらに体を低くする。今度はカレンの秘所に舌を入れてきた。
カレンはこみ上げてくる刺激に眼を見開いた。その快感にあえぎ声を上げるが、石化した彼女の秘所からは愛液があふれることはなく、ユウキの唾液だけが秘所を濡らしていた。
「こうしていると、君の全てを知る気分になってくるよ。その人の全ては、何も身に付けていない状態で初めて分かるものなんだね。」
ピキッ ピキキッ
カレンが快楽を感じていると思い、ユウキが喜びに浸る。石化は彼女の脱力した体を完全に包み込み、唇と頬を侵食していた。
「さぁ、そのきれいな姿で永遠をすごすんだ。君はオレの戦利品だよ。」
体を離したユウキが、カレンの姿を見つめる。石に包まれながらも、彼女の瞳は助けてもらいたいと言わんばかりに揺れ動いていた。
フッ
そしてその瞳さえもヒビが入った。カレンもユウキの石化に支配されたのだった。
「今日もいい気分だったよ。」
口元に手を当てて笑うユウキ。
「オレの持つゴルゴンの石化の光を受けた美女たちは、抵抗することさえできず、全てをさらけ出す。オレの思い通りになってしまうわけだ。」
新しく美少女、カレンを手に入れたユウキ。この日も彼は欲望を満たすことに成功した。
この日、美女を連れ去る闇の使者、シャドウが街に降り立ったのだった。そして彼は、新たな美女と快楽を追い求めて闇夜に飛び出す。