作:G5
もしもこのとき、優曇華がてゐの不審な行動に気付き、永琳に報告していたら
被害はもっと押さえられただろう。
―― 3月2日 ――
それはほんの些細なことがきっかけだった。
「ホワイトデー?」
人間の里にお使いに来ていたてゐは店の主人からこんなことを聞いた。
なんでも先月あったバレンタインデーのお返しを送る日だという。
これを聞いたてゐは閃いた。
(そうだ、この前に借りを師匠に返す絶好の機会ではないか)
この日はお菓子などで貰った人にお返しをする。
だったらこの前チョコにされた仕返しに師匠にも……
それからが大変だった。
入念な計画を立てて、協力者を集めた。
この前のはただの事故であって故意ではなかった。
ろくに計画を立てずに行動を起こしたため、返り打ちにあった。
だから今回にミスは許されない。
そして……
―― 3月13日 ――
誰にも気づかれず、とうとう決行の日の前日まで来た。
「準備も最終段階、各自用意は出来たわね?」
てゐの隠れ家の一つにてゐとにとり、そして文の姿っがあった。
パチュリーは外を出歩くには体力がなく、魔法球による通信だった。
「こっちは大丈夫よ、あなたの計画通りの魔方式は完成しているわ」
「こっちも機械は順次生産してるとこだよ、それでこれがそのリモコンさ」
にとりの手からリモコンがてゐへと渡される。
「こっちも事前にホワイトデーのことを新聞に載せて発表したから浸透率は8割くらいかな」
文が新聞をヒラヒラさせながら報告する。
「フフフフ……みんな、よくやってくれたうさ。これで準備は整った。」
「後は出来上がったアンテナにパチュリーの作った魔方式を当てはめればこの装置は完成する」
「各自明日は自宅で待機しててくれうさ、これは私の復讐、みんなを巻き込むわけにはいかない、そのかわり、明日は必ずこのバッジをつけてなさい」
そう言ったてゐの手の中には小さなバッジが握られていた。
それを各自に渡してこの会合はお開きとなった。
「フフフ、明日が楽しみうさね……フフフ、アハハハハ」
木々の中をウサギの笑い声が木霊する。