過去は繰り返すモノ

作:G5


 大都市からは離れた小さな村、カルネラ。
 放牧で成り立っているこの村では村人同士のコミニケーションが盛んでほとんどの村人は顔見知りだ。
 少し離れたところには森が二つあり、どちらも入ってはならない森として村の子供たちには言い聞かされている。それがどうしてなのかは子供たちには知らされていなかった。
 そして村の中心から外れた家から飛び出してくる少女達。
 「行ってきまーす!」
 「行ってまいります」
 村中に響く大きな声で挨拶をしたのはこの家にで暮らしているイヌイ族の姉妹ルーとルカ。
 「気をつけて行ってくるのよ、森には入っちゃだめよ?」
 「はーい!」
 「分かっています」
 元気にあいさつをする方は姉のルー。
 元気が取り絵で頭はからっきしの少女である。
 ショートカットに赤いバンダナと見かけどおりのやんちゃでよく男の子たちとケンカをしては怪我をして帰ってくるので母親としては心配の種が尽きないのである。
 もう一人の落ちついた子は妹のルカ。
 長く伸ばした髪と青いリボンが特徴的で性格は冷静で頭もいい方。
 ただ妹のわがままに付き合うなど押しが弱いところがある。
 彼女達の頭から生えた犬耳としっぽはイヌイ族の証のようなもので彼女達がヒューマンたちとは違う生き物だということは見て分かる。
 「今日は早めに帰るからあまり寄り道しちゃだめだからね?」
 「分かってる分かってる! さぁ、行こうか!」
 前をドンドンあるいて行くルーをやれやれと言った感じで追いかけるルカ。
 彼女達が向かうのは隣町のおばあちゃんの家に採れたての牛乳とチーズを届けに行くという簡単なお使いだった。
 隣町に行くには間にある二つの森を迂回して行くしかなく、遠回りになる。
 ルーは行こうと聞かなかったが今回ばかりはルカの方が強かった。
 そして無事おばあちゃんに牛乳等を届けた後、すでに夜は更けて辺りは暗くなっていた。
 「いけない、早く帰らないと・・・」
 ルカがそういうとルーが悪いことを思いついたような笑みでルカを見る。
 「ねぇ、だったらこの森を突っ切ろうよ? その方が早いって!」
 「えーだめだよ、危ないよ」
 いやいや言いながらルーに引っ張られるように森の方に歩いて行く二人。
 
 さて、どっちの森を突っ切ろうか?


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