石獣退魔聖戦 第七話 襲い来る石獣

作:牧師


時沢真由と川城梓が石に変えられた翌日の放課後。

社務所の一室に祓い衆の巫女、桜宮天音、桜宮清音、神島結衣、高清水優菜、
七霧美月が深刻な顔で集まっていた。
「昨日から真由と梓から連絡が来ないの。石獣に襲われたんだと予測は出来るけれど、
 そうなると、あの二人を抵抗もさせずに倒せる程の石獣が学院内に居る事になるわ」
石獣の気配に敏感で催淫効果の効き難い梓が抵抗の後も無く倒された事が、
天音には信じられなかった。
「天音、あまり考えたくは無いが、既に人型か棺型の石獣が
 学院内の何処かに潜んでるんじゃないのか?」
優菜が信憑性の高い仮説を唱えると天音と清音姉妹の表情が険しくなる、
美月も小さな体を震わせながら、怯えていた。
天音は表情を引き締め、清音や美月を見渡し、ゆっくりと語り始める。
「確かに、優菜の考えた事態は十分予測できるわ、でもいくつか疑問点があるの。
 人型石獣がその気になれば、学院の生徒と教師の魂を吸い尽くして石に変えるのに、
 そこまで時間は必要無いはず、でもまだ犠牲者の数は僅かしか出てないわ」
現時点で百人近い犠牲者が出てはいるが、魂を吸い尽くされた少女は半数以下である。
天音と清音姉妹は過去に起きた事件で、人型石獣の恐るべき力を深い傷として
心に刻み込まれている為、魂を吸い尽くされた犠牲者の数が信じられなかった。
「それと・・・、まさか、この気配は!!」
「石獣の結界です、場所と数は・・・」
天音がもう一点の疑問を言う前に、結衣が石獣の結界を感じ取った。
「結界の気配が、一・二・三・・・そんな四箇所も同時に・・・」
結衣が結界を感じたのは近い所から、初等美術室、中等音楽室、中等図書室の三箇所、
かなり距離のある高等の調理室だった。
「清音と結衣は中等音楽室をお願い、優菜と美月は中等図書室に向かって、
 私は初等美術室に行くわ」
高等の調理室は既に間にあわないと判断し、天音達祓い衆の巫女は、比較的近い場所の
三箇所に向かい散って行った。

高等調理室。

「いやっ、来ないで!!」
白いエプロンを身に着けた少女達に、イソギンチャク型石獣が触手を絡めて行く。
石獣に対して包丁で反撃する生徒もいたが、石獣の傷は即座に再生していき、
反撃した生徒から優先して、包丁を取り上げられた上、服を剥ぎ取られて裸にされ、
イソギンチャク型石獣の体内に飲み込まれていった。
「そんな!!体が石に変わって行く。どうしてこんな事が・・・、え?あああぁん」
手足をに石に変えられた少女の胎内に黄色い触手が差し込まれ、ピンクの霧が噴射し、
少女の魂を快楽の中で融かしていく。
そして透明な触手を口に差込み、キラキラと輝く魂を吸い尽くしていった。
「中村さん、朋子・・・。次は私の番なのね・・・」
少女の目の前で、友達が次々に魂を吸い尽くされて石に変えられ、吐き出されて行く。
最後に残った彼女は、ついに自分の番が来た事を覚悟した。
「ひっ、な・・・生暖かい・・・、うぷっ。いやぁぁっ、ぬるぬるして気持ち悪いっ」
少女は覚悟していたが、実際に石獣に飲み込まれて味わう内部の肉の感触に嫌悪した。
壁肉から無数の白い触手が現われ、少女の体に吸い付き、煙を上げて石に変えて行く。
「あああぁあっ、指の感覚が無くなって・・・、いやっ、い・・・石に変わったの?」
少女の手は肘の辺りまで煙を上げながら、硬い灰色の石に変わっていた。
石獣は黄色い触手を伸ばし、少女の胎内に潜り込ませると、ピンクの霧を噴射した。
「あ・・・、いいっ、気持ちいいのっ、ああぁん蕩けちゃうっ、ひやあぁぁぁんっ」
少女は魂を融かす快楽に身をゆだね、終る事の無い絶頂を存分に味わっていた。
やがて石獣は透明な触手を少女の口に差込み、キラキラと輝く魂を吸い尽くした。
石獣は体を震わせると、口から粘液に塗れた石像に変わった少女をごぼっと吐き出した。
その後、石獣は床にズブズブと消えていき、静寂が辺りを支配した。
純白の聖女の杏樹とクリスが高等調理室にたどり着いたのはその直後だった。
「はぁっ、はぁ・・・、そんな、間にあわなかったなんて・・・。ごめんなさいね」
杏樹は大きな瞳から涙を流し、タオルで少女達についた粘液を、丁寧に拭い始めた。

中等図書室。

床に散乱する無数の本、倒れた本棚、中心で少女達を青い触手吊り上げていたのは、
巨大な蜘蛛型の石獣だった。
「ひっ、く・・・蜘蛛嫌い、いやいやっ!!」
蜘蛛が苦手な少女が、手に触れる本を片っ端から蜘蛛型石獣目掛けて投げつけるが、
石獣に傷を負わせる事もできず、緑色の腹から伸びる青い触手に絡め取られていった。
「イヤッ、助けて!!え?鈴木さんが・・・」
少女の目の前で、友達が透明な触手を口に差し込まれて、キラキラと魂を吸い上げられ
快楽の表情のまま、パキパキと音を立てて、灰色の石に変わっていた。
「なに?どうして?人が石になるなんて。こんな事が現実に起きてるの?あああっ」
パキパキと音を立てて石に変わっているのは、目の前の友達の体だけでは無く、
自らの手足も同じ様に冷たい灰色の石に変わっていた。
「私も石に変えられていくの?誰か助けてっ!!ふぁあああんっ、んっ、ああああん」
少女の胎内にも黄色い触手が進入し、ピンクの霧を噴射しはじめていた。
「はぁぁああんっ、こんなに気持ち良い事があるなんて、私、融けちゃいそう・・・」
魂を融かす快楽の波に押し流され、終らない絶頂の中、彼女の魂は吸い尽くされた。
魂の入って無い少女達の石像を、蜘蛛型石獣は次々に床にゴトゴトと落として行く。
「結界破壊!!」
優菜と美月が結界を破壊し、中に入った時には、五人の少女が魂の無い石像となり、
床に灰色の体を横たわらせていた。
「酷いな・・・、私はあの蜘蛛の石獣を絶対に許さない!!」
優菜は薙刀を構え、蜘蛛型石獣に対峙していた。
石獣は緑色の腹から無数の青い触手を出し、優菜と美月に襲い掛かった。
「はあっ!!」
優菜は二人に迫り来る無数の青い触手を、手にした薙刀で次々に切り払った。
薙刀に切り落とされた触手は、腹部の側も蒼い炎を上げ焼け落ちて行くが、
蒼い炎が本体に届く前に石獣は緑色の腹部から生える触手を根元から切り離し、
新たな青い触手を無数に伸ばし襲い掛かって来る。
「近づく事も出来ないのか、なんて再生速度だ!!いくら切り落としてもキリが無い、
 せめてこの場に光か梓が居てくれたら・・・」
今、優菜と組んでいる美月の得意とする術は、強力な結界の作成だった。
このまま二人で正面から蜘蛛型石獣に対抗するには、攻撃力が圧倒的に不足していた。
「ごめんね、優菜お姉ちゃん。美月、役に立てないから・・・」
「そんな事は無い、美月はこのまま石獣の攻撃を防ぐ事に専念してくれ」
美月は自分の出来る事と出来ない事を十分承知していた、石獣に攻撃されている以上、
結界を張り動きを封じる事が出来ない。
『まずい、いずれ私達の体力が尽きる。石獣に魂を吸い尽くされるのは時間の問題だ』
優菜の体から飛び散る汗が石獣の青い触手に触れると、石の粒に変わり床で跳ね返る。
『くっ、私達もああなるのか?せめて美月だけでも逃がさないと・・・』
優菜が自らを犠牲にしてでも、美月を逃がそうと石獣の隙を伺っていた。
「神の力でその身を焦がし、大罪を償いなさい、災厄の獣よ!!」
突然、入り口から放たれた眩い光が蜘蛛型石獣を貫いた。
蜘蛛型の石獣が蒼い炎で全身を焦がし、優菜達の前でその巨体を使い激しく暴れた。
「これは・・・、杏樹達が来てくれたのか?」
優菜の視線の先にいたのは、入り口で石獣に光を放った純白の聖女の樹里だった。
「この石獣は私達の力で消滅させるのは不可能です、貴方の力で封じて下さい」
樹里は優菜に向かって合図をすると、再び光を放ち石獣を更に激しく燃え上がらせた。
「美月!!」
優菜が美月に声をかけると、美月は小さな土色の封印の壷を優菜に手渡し、
その後、玄武の護符を使い石獣の動きを封じた。
「玄武結界陣」
「石獣よ小さな壷の中で永遠にその身を焦がすが良い。火炎封魔結界!!」
石獣の体を蒼い炎が飲み込み、燃える炎に包まれ封印の壷の中に吸い込まれて行った。
やがて燃え盛っていた炎が消えると、その中心には封印の壷だけが残されていた。
「はぁっ、はぁっ、ふ・・封印完了・・・」
石獣の戦闘と封印で体力を激しく消耗した優菜はそのまま床に倒れ込んだ。
樹里と美月は優菜を中等医務室まで連れて行き、美月が看病の為、傍に残った。

初等美術室。

美術室では芋虫型石獣が、無数の触手から白い霧を教室中に撒き散らし、
幼い少女達を快楽の世界に引きずり込んでいた。
「あんっ、ヘンになっちゃったのかな?お股を触ると、とっても気持ちが良いよぉっ」
「ぴちゅっ、ぴちゃっ、はぁあんっ、クチュリ、チャプッ」
幼い体に突然襲い来る、蕩ける程の甘い感覚に、ある少女は戸惑いながら指を動かし、
ある少女は本能に身を任し貪欲に快楽を求め、身を包む快楽の波におぼれていった。
「あああんっ、硬くて熱くておっきいのっ、すごいよぉぅ、とってもきもちいいのっ」
石獣は三叉の触手を伸ばし、小さく柔らかい体を左の二本の触手で優しく巻きつき、
真ん中の一本を、幼い少女達の小さな膣に捻じ込ませて、ジュプジュプと音を立てて
少女の破瓜の血と粘液の混合物を辺りに飛び散らしながら、触手を激しく動かした。
美術室に少女達の喘ぎ声が熱を帯びていく毎に、幼く小さな体がパキパキと音を立て、
白い艶々とした大理石に変わっていった。
「ああぁんっ、何か来る、こわいよぅ、あああっ、なにかきちゃうっ、ひゃあああん」
少女は初めて訪れる絶頂の感覚に戸惑っていたが、
やがて頭を真っ白く染めるような凄まじい快楽の波が押し上げる絶頂の中で、
その幼くぷにぷにしていた柔らかな体を、白く艶々とした大理石像へと変えていった。
美術室に並ぶ石膏の彫刻に、絶頂の表情をした少女達の大理石像が加えられていった。
「結界破壊!!」
天音は石獣の張った結界を破壊し、その手に弓を構え初等美術室に駆け込んだ。
「ひやぁあぁあああん」
天音の前で、最後の少女が絶頂と共に艶々とした真っ白な大理石像に変わって行った。
「大理石に・・・、光と千鶴を襲ったのはこの石獣なのね、仇を討たせて貰うわ!!」
天音は獣に朱雀が刻まれた破魔矢の狙いを定め、霊力を込めて解放った。
破魔矢は石獣に突き刺さると、蒼く燃える炎で石獣を包み込み、動きを封じた。
「流石にこのクラスの石獣はしぶといわね、でもこれで終わりにしてあげるわ!!」
次に天音が手にした破魔矢の先に刻まれていたのは、四聖獣最強の青龍の姿だった。
石獣に突き刺さった破魔矢から巨大な青龍が現われ、石獣に体を巻きつけて締め付け
芋虫型の石獣を鋭い牙の生えた口で粉々に噛み砕いていく。
やがて石獣の一欠片も残さず粉々に噛み砕くと、かき消す様に龍は消えていった。
「はぁ、はぁ・・・、青龍の破魔矢・・・、ここまで霊力を消耗するなんて・・・」
破魔矢から現われた青龍の制御に、膨大な霊力を使用した天音は肩で息をしていた。
「今までより石獣も力が上がって来てる。清音達は無事かしら?」
この時、中等音楽室内で清音と結衣の身に何が起きているか知っていたとしたら、
天音は霊力の尽きかけた体を引きずってでも清音の元に向かっただろう。
石獣に姿を変えた凛香の巧妙な罠に、祓い衆と純白の聖女の少女達は嵌められていた。

つづく


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