王国の興廃 前編

作:牧師


二人の少女と一人の男が、月明かりが照らす薄暗い夜の森の中を走り抜けていた。
男は銀色に光る甲冑で全身をかため、二人の少女の服装は絹で出来た純白のドレスに
金糸を使い豪華な刺繍が施されていた。
「シャロン姫様、ラピス姫様、今しばらくの辛抱でございます。
 馬車を待機させてある場所は、もう目の前です」
甲冑を身に纏った騎士が、二人の姫を励ますよう、話しかける。
その遥か後方には、炎上する王城の姿が月明かりに照らされていた。
「ウッドランド、貴方だけが頼りです」
第二皇女のシャロン姫が、騎士のウッドランドに労いの言葉を掛ける。
「父様と母様、それにフィオーレ姉様達は大丈夫でしょうか?」
少し歳の離れたラピス姫が、城に残った父王や義姉妹の身を案じていた。
「王城には、まだ無傷の近衛騎士団がいます。彼らが必ずお守りいたしましょう」
内心で難しいと考えながらも、ラピス姫を不安にさせない様、ウッドランドは答えた。

「遠路の護衛、ご苦労だったな」
森を抜けた馬車の待たせている場所には、数人の男が待ち構えていた。
「出迎えご苦労、ラピスも良く頑張りましたね」
シャロン姫は無事に馬車にたどり着いた事を喜び、ラピス姫にも優しく話しかけた。
その時、二人の姫と男の間に、ウッドランドが剣を鞘走らせて立ちはだかる。
「貴様ら何者だ?それにこの血の臭い、本物の御者を切り殺したか!」
一人の男が感心した様に声を上げる。そして静かに話しかけてきた。
「流石はウッドランド。王国の宝剣と呼ばれるに相応しい洞察力よ」
「貴様はドルグ!!」
ウッドランドは目の前に居る男の名を、憎しみが篭った声で呼び棄てた。
ドルグはこの国に攻め込んで来た、隣国の軍の軍師だ。
「ラピス・・・、大丈夫、ウッドランドが守ってくれます」
「シャロン義姉様」
怯えるラピス姫を守る様に、シャロン姫も短剣を取り出し、体勢を整える。
「時間が余りありませんので、ウッドランド殿には此処で死んでいただこう。
 貴殿が強いのは十分に知ってはいるが、彼らに勝てるかな?」
男の陰から現われたのは、牛の頭に人の体を持つミノタウルスと言う怪物と
巨大な爪のついた腕を持つ、見たことも無い様な魔物だった。
「この外道が、魔物と手を結んだか!!姫様、お逃げ下さい此処は食い止めます」
ウッドランドはミノタウルスの巨大な斧の一撃を受け流すと、返す刀で横腹を薙いだ。
ミノタウルスは真っ赤な鮮血を腹部から噴出させ、膝から崩れ落ちる。
ウッドランドは、トドメの一撃をミノタウルスの頭部に見舞った。
「ミノタウルスをこうも簡単に・・・。貴殿が迎撃部隊の陣頭指揮を取っていれば
 わが軍勢は苦戦していたかもしれませんね」
此処に来てウッドランドは、自国の軍勢が、簡単に壊滅した理由を知った。
もう一匹の魔物は素早い動きで、ウッドランドに執拗な攻撃を繰り広げていた。
「この魔物、ミノタウルスとは格が違うな。姫様、急いで森にお逃げ下さい!!」
「させませんよ。すでに準備は整っている」
ドルグが軽く指を鳴らすと、森の中から煙が流れてくる。
「けほっ、けほっ。息が苦しい、あ・・・れ・・・」
「シャロン義姉さま・・・、なんだか、眠くな・・・」
煙に巻かれた姫達は急激な眠気に襲われ、力なく崩れていく。
「姫様!!」
ウッドランドが倒れた姫に気を取られた隙を、巨大な爪の魔物は見逃さなかった。
「ぐはっ!!ふ・・・不覚」
魔物の爪はウッドランドの腕を、甲冑ごと紙を切り落すかのように斬り飛ばした。
「此処までですね、いかにウッドランドと言えど片腕では戦えないでしょう」
ドルグはウッドランドに勝ち誇るように言い放った。
「まだだっ!!」
ウッドランドは爪の魔物に体を預け、脇腹から渾身の力を込め剣を突き刺した。
「グオォォォン」
魔物は断末魔の声を響かせると、黒い灰の様になり崩れていく。
「此処までか・・・」
そう呟くと、ウッドランドもその場に崩れ落ちた。
腹部に魔物の物と思われる三本の深い傷が開き、そこから夥しい量の血が流れていた。
「王国の宝剣か、確かにこの男に相応しい二つ名だ。姫達を馬車に乗せろ」
ウッドランドの死を確認し、ドルグは部下に命じ、シャロン姫達を馬車に運ばせた。

同時刻 王城前

「防げ!!城内に敵を侵入させるな!!」
閉じた扉の前で、パークレン将軍が部下達に檄を飛ばしていた。
城門の方向から迫る敵影に、武装した兵の他に魔物も混ざっている。
「異形の者と手を結ぶとは、レジン軍は人としての尊厳も捨て去ったか!!
 弓兵、矢の続く限り射よ!!」
至近距離から放たれた無数の矢が、雲霞の如く敵に降り注ぐ。
矢による攻撃を受けても魔物は速度を落す事無く迫り来る。
「倒したのは人間だけか、魔物め!!槍を並べろ、敵を突き崩すんだ!!」
パークレン将軍は、槍兵を集め横列に並べ、近寄る魔物を次々に槍衾の餌食にする。
「此処を生きて抜けれると思うな。このパークレンの眼の黒いうちは此処から先には
 蟻一匹たりとも通しはしない!!」
魔物は次々にパークレンの指揮の元に打ち倒され、灰の様に崩れていく。
「あらあら、なかなか威勢のいい人間が居るじゃない」
魔物の中から、長い銀髪を腰まで伸ばした一人の女が姿を現す。
「貴様が魔物を率いる将軍か?我が剣の錆びにしてくれる!!」
周りの魔物の態度からそう予測したパークレンは、腰の剣を引き抜くと女に向けた。
「ずいぶんと手下を消滅させてくれたわね。貴方達の精気を代価としていただくわ」
女が呪文を唱える女の前の空間に、横一直線に1メートルほどのヒビが入る。
「何をする気だ?槍兵!!構わん、今のうちに突き殺せ!!」
パークレンが槍兵に突撃を命じた時、空間に出来たヒビが人の眼の様に開く。
そこから放たれた光は夜の闇を破り、扉の前に並んだ兵達を照らした。
「うがっ!!」
「力が・・・」
兵達は急激な脱力を覚えたが、体が崩れ落ちる事は無く、光を浴びた格好なまま
パキパキと音を立て、灰色の石像へと変化していった。
「何っ!!魔物はこんな事が出来るのか。くっ、力が抜ける」
パークレンも光を浴び、精気を抜かれ、体は徐々に灰色の石像へと変わっていた。
「あらあら、貴方、女だったのね。かわいそうに」
魔物の女はパークレンの兜を外し、髪を解き放った。
「私が・・・女でも、此処は・・・」
解き放った長い金髪はそのまま石に変わり、その瞳から精気と共に光も失われた。
「女の身でも、此処を死守するとでも言いたかったの?でも無理だったわね」
魔物の女は石像に変わったパークレンに優しくキスをし、残った精気も奪い尽した。
「さあ、急いで扉を破壊しなさい。時間が無いわ」
扉を破壊し、魔物は城内へと雪崩れ込んで行く。
「抵抗しなければ、殺す事はしないわ。投降しなさい」
魔物の女が城内で叫ぶと、投降する者も現われた。
「女と男は別々の部屋に監禁しなさい。後でワットラント陛下に処遇をゆだねるわ」
魔物の女は何匹かの魔物を従え城内の奥深く、謁見の間を目指し進んで行った。

数時間後 謁見の間

「ついに此処まで来たか」
ブリガント国王は謁見の間入り口に居る、魔物の女を見て呟いた。
謁見の間に避難させていた、メディーナ王后、第一皇女フィオーレ、第三皇女セレネ
第五皇女ミスティーナ、他にメイド達が壁際で怯えていた。
「見つけたわ、もう貴方を守る兵は誰も居ないわ」
一つ下の階で近衛騎士団を石像に変えた魔物の女は、ブリガント国王に言い放った。
「もっとも、貴方達の処遇を決めるのはこの方ですけど」
魔物の女の後ろから、一人の男が姿を現した。
「久しぶりだな、ブリガント。ゴーナの護衛で、此処まで易々と進入させて貰った」
「貴様はワットラント。魔物に魂を売り渡したか!」
ブリガントはワットラントを睨み付けて罵倒した。
「何とでも言えばいい、この国の命運は尽きた。後は私と魔族で愉しませて貰う」
「愉しむ?」
ブリガントがそう呟くと、ワットラントはゴーナに眼で合図を送る。
ゴーナは壁際のメイドの一人に近づくと、その瞳を見つめた。
「何をするつもりだ?やめろ!」
ブリガントはゴーナに向かって叫んだが、構う事無く不幸なメイドを石像に変えた。
『力が抜けて行く・・・。ああっ、体が動かない。何?私に何が起きてるの?』
精気を抜き取ると、ゴーナはワザと意識を残してメイドを石化させる。
「こういった事だ、理解して貰えたか?積年の恨みだ、王家とその身辺の者は俺が。
 この国の民は魔物が石像にして、永遠にその罪を償わせてやる」
「積年の恨み、何の事だ?王家に恨みがあれど、国民には何の罪も無かろう。
 貴様に誇りがあるなら民草には手を出すな!」
ブリガントはワットラントに向かって言い放つ。
「我がレジン初代国王が元魔族の混血だと言う理由で、先年の凶作の折に書状を送れど、
 小麦の一粒も寄越さなかったではないか。その上この国の商人が凶作につけこみ
 作物の買占めを行い、不当に値を吊り上げ、暴利を貪ったであろうが!!」 
数年前、レジン国は酷い凶作に襲われた、元々痩せていた土地であったが
その年は殆どの作物が枯れ果て、多くの餓死者が荒野を埋め尽くした。
「あの時、商人が不当に値を吊り上げなければ、多くの国民が命を失うことは無かった
 今年もあの年と同じく凶作だ。あの時の償いとして、この国の国民は一人残らず
 石となって貰う。その後にレジン国の全国民をこの国に移民させて貰おう」
ワットラントは瞳に怒りの炎を燃やし、ブリガントを睨み付けた。
「その前に貴様の首を刎ねて置こう」
ワットラントは剣を腰から抜くと、ブリガントに歩み寄っていった。

「これでこの国は俺の物だ、ゴーナ、約束通りこの国の民を魔族の好きにしろ
 ただし、無益な殺戮と魂の搾取は、契約に基づき止めて貰おう」
ワットラントはゴーナに釘を刺しておくことを忘れなかった。
「承知しました、期日は明日の夜明けから七日間ですね」
その後、レジン国の国民の移民団の第一陣が来る事になっていた。
「その間、俺はこいつらで愉しもう」
ワットラントはメディーナ王后達に視線を走らせた。
「それでしたら愉しみ易い物を差し上げましょう」
ゴーナは何本かの薬の入った瓶、それに勾玉の束と腕輪を手渡した。
「それは・・・」
ゴーナが薬と勾玉の使い方の説明をすると、ワットラントは満足そうに頷いた。
「誰も逃げられない様、部屋に結界を張って置きます。存分にお楽しみ下さい」
ゴーナは部屋に結界を張ると、魔物を引きつれ部屋を後にした。
「さて、愉しませて貰うとしよう」
ワットラントは辺りを見回し、第三皇女セレネで視線を止めた。
「いや・・・」
セレネ姫は思わず拒絶の声を出す。
「嫌われたものだな。ではこの腕輪を使うか」
腕輪に金色の勾玉をはめ込むと、ワットラントは一呼吸置いて叫んだ。
「セレネ姫こちらに来て貰おうか、他の者はその場で見ておれ」
ワットラントが叫ぶとセレネ姫の体は、意思に反してゆっくりと歩き始めた。
「なに?どうして体が勝手に動くの!」
セレネ姫はワットラントの前まで歩み寄り、ようやく足を止める事が出来た。
「ではセレネ姫、着ている服を全て脱げ」
ワットラントが命じると、セレネ姫の体は再び自由を失い、意思に反して
次々に服を脱ぎ捨てていく。
「イヤッ。止まって。どうして体が勝手に動くの?」
一糸纏わぬ格好になり、白く美しい裸体をさらしていた。
「この薬を飲み、玉座の右に移動して、両手で髪を梳くポーズをしろ」
ワットラントが命じるまま、セレネ姫は薬を飲み、美しく長い金色の髪を
両手で梳くポーズで動きを止めた。
「なるほど、良く効く薬だ」
セレネ姫の体がキラキラと輝き始め、白く美しい体を輝くダイヤに変えていく。
両手で梳かれた髪の一本一本が、まるで細いガラス細工の様に透明になっていた。
「嫌!お義母様、姉さま。誰か助けて」
セレネ姫は大きな瞳から大粒の涙を流しながら助けを求めたが、誰も動けなかった。
「泣いている顔も良いが、笑って貰おうか。セレネ姫、優しく微笑むのだ!!」
セレネ姫は優しく微笑むと、その表情のまま、完全に輝くダイヤの石像に変わった。
「次はメディーナ王后にミスティーナ姫。二人にはこの薬を飲んで貰う、来い!!」
自分の意思に反し、メディーナ王后とミスティーナ姫はワットラントに向かっていく。
「着ている物を脱いで、この薬を飲むのだ」
顔の表情ではこの上なく拒絶しているが、体は意に反して次々に命令を実行していく。
「ミスティーナは王座の左に立て、そしてセレネと同じポーズをしろ。
 メディーナはセレネの横に立ち、両手をそろえて上に伸ばすのだ」
メディーナ王后とミスティーナ姫は玉座の横に移動し言われた通りのポーズをしても
何も起きない事を不思議に思っていた。
『声は出せないけど、姉様みたいに体がダイヤに変わったりしない。助かったの?』
『私の愛娘のミスティーナは無事なの?前王后の娘のセレネはどうなっても構わない
 ミスティーナとラピスを宝石に変えなければ、他の者は好きにすれば良い』
心の中で思いを呟きながら、二人は眼に見える風景を眺めていた。
「今の薬は体を黄色に輝くトパーズに変える。次第に足元からゆっくり変わって行く
 存分にトパーズに変わり行く時間を愉しむが良い」
ワットラントは楽しそうに二人に話しかけると、残るフィオーレ姫に近づいていった。
「そう怖い顔をするな、まずこの薬を飲んで貰おう」
手にしていたのは血の様に紅い薬だった。それをフィオーレ姫は喉に流し込まれる。
「少し眼を閉じろ」
フィオーレ姫は瞳を閉じる。初めは険しかった表情が徐々に解け、優しい表情に変わる
瞳を閉じた状態でも解るほどに、穏やかになって行った。
「そろそろか、フィオーレ、眼を開けろ、声も出す事を許してやる」
ワットラントが命じるとフィオーレ姫は瞳を開いた。
その表情は、まるで長く離れていた恋人に再会した様に喜びに満ちていた。
「あぁ、ワットラント様酷いです。体が動かないので、抱擁もままなりませんわ」
メイドとメディーナ王后達が驚きの表情で、二人の会話を聞いていた。
「すまない、フィオーレ自由に動いても良い」
ワットラントが許可すると、フィオーレ姫は優しく抱きつき、軽くキスをする。
そしてワットラントがキスで答えると、二人は激しいキスを交わして行く。
「はあぁん、ワットラント様、心からお慕いしておりました。まるで夢の様です」
唇を離し、フィオーレ姫は、情熱的な瞳でワットラントをみつめながら言った。
「うむ、そうであろう。ではどうして欲しい」
ワットラントの言葉を聞いて、フィオーレ姫は迷う事無く答えた。
「此処で結ばれたいと思っております。ワットラント様、抱いて下さい」
自ら着衣を脱ぎ捨て、シミ一つ無い白く美しい裸体をワットラントに晒した。
「希望を叶えてやろう」
ワットラントはフィオーレ姫に再びキスをすると、首筋、胸へとキスをしていった。
「んぁあ、くぅんっ。あぁん、ワットラント様ぁ」
『何?何が起きてるの?まさかフィオーレがレジン国に通じていたの?』
『お義姉様、一体どうして?』
二人の行為を観ている者には、昔からの恋人同士としか思えなかった。
その間にメディーナ王后とミスティーナ姫の体はゆっくりと宝石化は進んでいた。
ミスティーナ姫達のふくらはぎの辺りまで、黄色く輝くトパーズへ変わって行く。
「フィオーレ、これはどうかな?」
フィオーレ姫の下の繁みに手を伸ばし、指の間で摘むと軽く引っ張った。
そのまま摩り、手をフトモモに移動させ愛撫を続ける。
「ワットラント様、意地悪をしないで下さい、切なくて堪りません、ああっん」
焦らすワットランドの愛撫に、堪らずフィオーレ姫は声を漏らした。
「フィオーレ、何が欲しいか言ってみろ」
ワットラントがフィオーレ姫に言うと、恥かしがりながらも言葉にした。
「ワットラント様の逞しい宝物を、フィオーレに下さい」
ワットラントは満足そうに頷くと、張り裂けんばかりに大きくなった肉茎で
フィオーレの胎内を一気に奥まで貫いた。
「ああああぁあぁっ。んっ、少し痛いけれど、フィオーレは幸せです」
純潔を捧げ、フィオーレ姫は眼に涙を浮かべながらも幸せそうに微笑みかけた。
「中々の具合だ。この締め付けが程よい。フィオーレ動くぞ」
ワットラントはフィオーレ姫の膣内を荒々しく肉茎で何度も貫いた。
「あんっ、ひゃん、んっ・・・、ああぁっ、ワットラントさまぁぁつ」
ワットラントの動きに合わせて、フィオーレ姫は熱い喘ぎ声を漏らしている。
フィオーレ姫は胎内の肉茎の異変に気が付き、ワットラントに懇願した。
「奥に出して下さい、ワットラント様の世継ぎをフィオーレに産ませて下さい!」
ワットラントはフィオーレ姫の意思に関わらず、胎内に熱い白濁液を流し込んだ。
「あああぁぁっ、熱い!」
子宮に精液を叩きつけられ、フィオーレ姫は絶頂に達した。
「フィオーレは幸せにございます」
ハァハァと肩で息をした後、ワットラントに口付けをし、微笑みながら告げた。
「一緒に王座まで付いて来い、そのままでだ」
ワットラントは王座に歩み寄り、そのまま腰掛けると、水色の薬の入った瓶を
フィオーレ姫に差し出した。
「ワットラント様はフィオーレを宝石にする事をお望みなのですね」
フィオーレ姫は表情に少し陰りを見せた後、優しく微笑み、水色の薬の入った瓶を
迷う事無く口に運んだ。
「ワットラント様、どのようなポーズがお望みですか?」
薬を飲み干し、フィオーレ姫はワットラントに尋ねた。
「王座の側に座り、私に微笑みかけていろ。永遠に側に置いてやる」
台詞を聞くと、体の曲線が美しく見える様、気を使いながら体制を整え、
ワットラントに優しく微笑んだ。しばらくすると体が淡く青色に輝き、
全身が水色に輝くアクアマリンに変化して行く。
豊かに膨らんだ胸も、長い髪の毛も、柔らかさを失い硬いアクアマリンに変わった。
全身をアクアマリンに変えたフィオーレ姫を、ワットラントは満足そうに見つめた。
「薬の効果とはいえ、中々かわいい反応だ。怒りや憎しみを恋慕の感情に変える薬、
 その効果は絶大だったな」
ワットラントは高らかに笑うと、メディーナ王后達は先ほどの態度を理解した。
『フィオーレの心まで奪うなんて、この男には人の情けがないのか?』
メディーナ王后は心でワットラントを罵った。
「そろそろ貴様らも完全に宝石になれ。仲良く微笑むが良い」
メディーナ王后達が微笑むと胸までだった宝石化は、一気に首筋まで進行した。
ミスティーナ姫の幼くぷっくらした体は、丸みを帯びたまま永遠に成長を止めた。 
『何にも感じなくなって・・・』
『ああ、ミスティーナ・・・』
顔にまで進行した宝石化は瞳を黄色く輝くトパーズに変え、光を奪っていった。
こうして城に残った王族は一人残らず宝石に変わり、美しい輝きを放っていた。
「七日間あるのだ、お前達の体もゆっくりと愉しんでやる」
二十人余り居るメイドに視線を流し、笑いながら言い放った。

後編へ


戻る