魔法少女まじかるルピナ 第三話 快楽の宝石箱

作:牧師


短い甘栗色の髪をした少女が床に仰向けになり、陰唇に指を這わせている。
「ああん、んっ・・・、くぅ、はぁん」
その横では長い美しい黒髪の女性が、細く長い白い指で胸を弄んでいる。
「んふっ、ひゃうん、いやっ、ひうっ・・・」
男の目の前で他にも数人の女の子が、クチュクチュと淫靡な音を奏でている。
目の焦点は合わず、襲い来る快楽に身を任せ、リズミカルに指を動かす。
そのたびに溢れ出る銀色の雫が、床にポタポタとこぼれ落ちていく。
「ああっ、止まらない、こんな事したく無いのに・・・」
黒い髪の女性は目に涙を浮かべていたが、指は胸から離れはしない。
「止めたいなら止めたらいいだろう。強い精神力があれば可能なはずだ」
少女達の動きが止まらない事を確信して、男は満足そうに言い放つ。
「喜ぶが良い、お前達は私の力になれるのだ」
男の声など届いて無い様に、少女達は思い思いの方法で自らを慰めていた。
「いい・・・、ああぁん、はぅ、んぁ、・・・ひゃん」
部屋には女の子特有のにおいが充満している。男が見つめる中、
少女達の行為は更にエスカレートして行く。
「ああ・・・、来る、来ちゃう」
クチュクチュと聞こえていた音も、ジュブジュブと湿った音に変わっていた。
「ひゃうん、ああぁぁっ、頭の中が真っ白になって行く」
少女達は快楽の限界に近づいていた。
「あああああぁぁぁっ!!」
「ひゃあぁぁぁん!!」
一人の少女が絶頂に達すると、他の女性達も次々に絶頂に達していった。
その時、少女達の胸から、コブシ大の色とりどりの宝石がこぼれ落ちる。
その中に絶頂に達した時と同じ格好で少女達の魂が閉じ込められていた。
彼女達の体は魂が閉じ込められた宝石と、同じ宝石に服も一緒に変わっていた。
「これだ、この魂を閉じ込めた宝石が私の力を高めていくのだ、
 クリスタルバロンめ見ておれ、いつか必ずこの手で倒してくれる」
何かに復讐を誓う魔族は、憎しみを持ってその名を口にしていた。

ルピナたちの学校も夏休みに入る。
最初の土曜日に近くの神社で縁日が開かれていた。
ルピナは友達の由美、真帆子と一緒に出店を楽しんでいた。
「おいしい」
ルピナたちの居る神社にはりんご飴、綿菓子、焼きトウモロコシなど
定番の出店が軒を連ねていた。
「ルピナちゃんさっきから食べ物ばかり買ってる、お小遣いなくなっちゃうよ」
真帆子の視線の先には、ルピナの手にはカラフルなチョコバナナとりんご飴が
握られており、既に綿菓子、イチゴ飴などがお腹に収められていた。
「あははっ、おいしいよね」
購入した物の中で、イチゴ飴、綿菓子は実はプリムが食べたのだが
他の人には見えないため、ルピナが食べてるように見えるのも原因だった。
「ルピナ綿菓子っておいしいよね、チョコバナナも甘くて最高だよ」
その小さな体の何処に入るのか、プリムはチョコバナナも食べ始める。
「お小遣いなら大丈夫、おとうさんがお祭りだからって渡してくれたから」
周りでは浴衣の女性も多く、縁日の神社は大いににぎわっていた。
「あっ、小物屋さんだ、くじで色々当たるんだって」
出店のくじの一等にはきれいな指輪も飾ってあった。
「いっかい五百円か・・・。一・ニ・・・うん、何とかなりそう」
由美が財布の中身を確認する。何とか一回はくじが引けそうだ。
「はい、どれでも好きなのを引いてね」
店員のお姉さんがくじの入った箱を差し出す。
「これっ」
由美は勢い良く一枚のくじを取り出し、店員のお姉さんに渡す。
「えっと・・・おめでとう、2等よ」
店員のお姉さんはカランカランと鐘を鳴らし、真帆子に幾つかの商品を見せる。
「この中から好きな指輪を選んでね」
一等ほど本格的ではなかったが、出店クラスとは思えない指輪だった。
「どれにしようかな・・・。あっ、これが良い」
それはルビーの付いた指輪だった。
「はい、お待たせ、大事にしてね」
店員のお姉さんは丁寧に梱包し、由美に手渡す。
「良かったね由美ちゃん」
ルピナは喜ぶ由美達と家路に付く事にした。

縁日から半月ほど経ち、そろそろ夏休みも中間を過ぎようとしていた。
「ルピナ大変、最近プールや海で女の人が誘拐されてるみたい」
プリムの言う通り、夏休み前後から川や海、プールなどで
行方不明者が続出していた。
「この前、男の子の時は突然見つかったよね?」
一週間ほど前、男の子ばかりが居なくなる誘拐事件?が起き、
数日前に全員が発見されていた。
「うん、でも話から考えて今回は魔族に間違い無さそうだよ、
 ルピナ、変身して声を探してみようよ」
女性や女の子ばかり狙われ、目撃者も証拠も残さない誘拐なんて
魔族としか考えられなかった。
「神の衣、聖なる力、魔を断つ剣をこの手に!!」
呪文を唱えると、指輪から放たれた眩い光がルピナを包んだ。
「変身完了、声は・・・、あ、聞こえてきた」
ルピナは声のする方向に意識を集中させ、その方向に飛んでいく。
「あそこからだ」
そこは廃校となった学校のプール跡だった。

「いや・・・、何をするんですか?」
「助けて下さい」
怯える女性達の前で、魔族の男は構わず呪文の詠唱をはじめる。
「遠慮なく浴びるが良い」
男が手を振ると、そこからバケツの水を浴びせるかのような大量の水が現われ
女性達の全身を濡らした。
「何をするんですか?・・・あっ」
女性達は濡れた服を肌に張り付け。男に向かって声を上げたが
直ぐに体の異変に気が付いた。
「なっ・・・。どうして・・・」
「そんな、くっ」
女性達は体をモジモジさせながら、顔をほんのりと紅潮させていた。
「どうした?我慢する事は無い。自然な行為だ、本能のまま赴くが良い」
それは男に透けた下着が見えないように、胸を隠そうと手を当てた瞬間だった。
「ひゃうん!!どうして・・・、んっ」
胸に指が少し触れただけで、体に電気が流されたような快感が走りぬける。
女性は押し寄せる快楽に耐えられず、そのまま胸を揉み解す。
「ああぁん、っく」
「ふわぁっ、ああぁ」
それを皮切りに、次々と女性が胸や股間に指を這わせ始める。
「思い思いに快楽を求め、そして私の力になるが良い」
周りでは、女性達がクチュクチュと音を立て銀の雫のにおいを振り撒いていた。

「ルピナ、さっきの水が男の魔法みたいだね」
プリムが少し気まずそうにルピナに話しかける。
「うん・・・、ねえプリム、あの女の人たち、逃げないで何をしてるの?」
魔族の男の目の前で自慰をしている女性達を、ルピナは不思議そうに見つめる。
「ルピナにもそのうちわかるよ、早く女の人を助けないと」
プリムはルピナの質問をはぐらかす様に言った。
「そうだね」
ルピナは飛び出すと魔族を指差し、いつもの台詞を言い放つ。
「そこまでです、女の子達にかけた術を解いて開放しなさい」
「あぁあああぁぁぁっ、イク、イッちゃうっ!!」
「イヤッ、もうダメ、イクぅっ!!ひゃああぁぁぁあっ」
ちょうどその瞬間、一人の女性が絶頂に達したかと思うと。
次々に女性が絶頂に達し、その胸から魂を閉じ込めた宝石をこぼれ落す。
体も絶頂に達した時の格好のまま、服ごとダイヤやエメラルドなどの宝石に変わる。
「これでまた力が増える。・・・何だお前は?」
魂の閉じ込められた宝石を回収しながら、魔族の男はルピナに視線を向ける。
「私の名前は、まじかるルピナ。貴方達魔族を倒す、正義の戦士です」
ルピナが名乗ると、魔族の男は興味深そうにルピナの体に視線を走らせる。
「なるほど、ミューレ、イレーヌ、フリオ、ヴォルスを倒した者が居ると聞いたが
 貴様のような小娘とはな」
ルピナは魔族の出した名前に、聞き覚えの無い名前が混ざってる事が気になった。
「私の名はテイラー、ここでは戦いにくいだろう、こちらに来い」
男は近くのドアを開けると、広い空間にルピナを誘う。
「戦う時は正々堂々と行く。こちらなら安心して戦えるだろう?
 それともこいつらを巻き込むか?」
宝石になった女性達に視線を向けテイラーはルピナに語りかける。
ルピナは男の後に続きドアをくぐった。
「魔族なのに正々堂々ですか?それならどうしてあんな事をするんですか?」
あんな事とは女性達に掛けた術の事だ。テイラーはゆっくり答えた。
「力を得る為だ、食料に好き嫌いがあっても食べないといけない事と同じだ」
テイラーにとっては、子供のピーマンやニンジンの好き嫌いと同じレベルの問題だ。
「それでは行きます、マジカルアロー!!」
ルピナが魔法の矢を放った事が合図になり、戦いは始まった。
「こんなものか・・・」
魔法の矢にわざと一本だけあたりテイラーは呟いた。
「ではこちらからも行かせて貰おう。荒れ狂う水の竜!!」
テイラーの目の前に数本の水しぶきが上がったかと思うと空中に巻き上がる、
そして日本の言い伝えの竜のような姿になりルピナに襲い掛かる。
「きゃあ!!」
ルピナの周りの地面に次々に突き刺さる。そして水煙がはれた時、目の前に
テイラーの姿が現われる。
「隙だらけだな」
テイラーはルピナの腹部に手を当てると、高圧の水を叩きつける。
ルピナはそのまま吹き飛ばされ、数メートルほど流されて止まった。
「こんなに強いなんて・・・」
今までの戦闘は、お互いに犠牲になった女性達を傷つけられない為、
全力とは程遠い戦いだった事もあり、その差にルピナは愕然とする。
「フリオ達が倒されたのが信じられんな。それとも俺が強くなりすぎたのか?」
テイラーはルピナを見下す様にあざ笑う。そこに隙が生まれた。
「マジカルサンダー!!」
指輪からルピナに魔法がイメージで伝えられ、ルピナはそれを唱えた。
「くっ」
魔法の雷は水を伝い、テイラーの体をまともに捕らえた。
「いまです、マジカルジャベリン!!」
ルピナは続けて魔法の槍を出現させテイラーに放った。
「かはっ!!」
テイラーの体を深々と槍が貫く。テイラーは膝から崩れ落ちた。
「く、驕った俺の負けか。あの男を倒せず終わるのか・・・」
ルピナはテイラーの状態に戸惑い、マジカルブレードを放てずに居た。
「ルピナ・・・とか言ったな。これを・・・」
テイラーは一つの宝石を取り出すと、ルピナに差し出した。
「これは?」
ルピナが宝石を受け取るとテイラーは言葉を続けた。
「上の部屋に魂の閉じ込めた宝石がある、部屋の中心の杖にそれをはめ込むと
 彼女達も解放される、ゆがみの崩壊に・・・巻き込まずに済む」
このままだとゆがみの崩壊と共に、彼女達の魂も封じられたまま崩壊するようだ。
「どうして・・・」
ルピナが問うとテイラーは僅かに微笑み呟いた。
「あの男に勝つために力を欲していただけだ。時間が無い・・早く行け!!」
ルピナはテイラーに背を向けると、そのまま走り去った。
「くっ、あの男はルピナとやらにそのうち倒されるだろう。マリア、いま私も逝く」
女性の名を呟いてテイラーは崩れ落ちていった。
魂を宝石から開放すると体の方も宝石化が解け、女性達は元の場所に帰っていった。

「なんだか不思議な魔族だったよね・・・」
プリムはテイラーの行動が不思議で堪らなかった。普通の魔族では考えられない。
「それに私の知らない倒された魔族の名前。わからない事だらけだったね」
イレーヌとヴォルス。ルピナの知らない倒された魔族。
「それに・・・、ううん、プリム帰ろう」
ルピナ達は疑問を抱えながらも家路に着いた。

「んっ、ふぁあっ」
ルピナはその夜、気になっていた事を実行に移していた。
「覚えちゃったか・・・。後で記憶を消しておこうかな・・・」
その後、プリムが何度記憶を消してもルピナの行為は止まる事が無かった。


次回予告

「人形・・・、しかもこんなに色々な人形か」
「お人形さんか、私もたくさん持ってるよ」
「ここには怪しい人形も混ざってるけどね。あ、ルピナ危ない!!」

次回 魔法少女まじかるルピナ 妖艶な人形師
「わたくしがお相手いたしますわ」
「貴方・・・誰?」

つづく


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