尽きない想い

作:ヴリトラ


誰にも知られぬとある施設、その地下深くで、
「ううん・・・あれ・・・ここはどこ・・・?」
咲耶は重たい瞼をそっと開いた。
そこは今まで見た事も無い風景だった。
「どうしてこんな所に・・・・・・って、ちょっ、ちょっと!何で私、裸なの?!」
咲耶は今更ながら、自分が生まれたままの姿である事に気付いた。
よく見ると、自分が円柱状のガラスのカプセルに閉じ込められてることも解った。
「どうしてこんな事に・・・たしか、お兄様へのプレゼントを買いに行ってて・・・それで急に意識が・・・そうだ!お兄様へのプレゼント!」
(早く戻らないと・・・きっとお兄様も心配しているわ・・・)
咲耶は懸命にガラスを叩くが、ビクともしなかった。
「無駄だよ。そう簡単に割れちゃあ、困るからね」
そう言いながら咲耶の前に一人の男が歩いてきた。
咲耶はガラス越しに男に怒鳴った。
「誰よあんた!こんな事したのはあんたね!早く出しなさいよ!それにこっち見ないでよ!私の裸を見ていい男はお兄様以外ありえないんだから!」
「そんなに怒らないでくれよ。終わったらすぐ出すから」
そう言うと男は持っていたリモコンのスイッチを押した。

フシュウウウウウ

突如、カプセルの天井の機械から白い煙が噴出し、カプセルの中を白く染め、すぐに煙は晴れた。
「ゴホッ、ゴホッ・・・な、何するのよ!」
「すぐに効能は出るよ。じゃ、本番行ってみようか」
男は再び手に持ったリモコンで別のスイッチを押した。

ブシャアアアアアアアッ

すると今度は天井から液体がシャワーの様に咲耶の頭上に降り注いだ。
「キャッ!つ、冷たい!な、何これ?!」
「なに、特殊な液体窒素さ。大丈夫、死ぬわけじゃない。ただ、一度凍ると二度と溶けないけどね」
「いやあっ!やめてよ!やめて・・・さ、寒い・・・寒いよお・・・」
浴びられながら咲耶は両腕を抑え、震えていた。
(助けて・・・お兄様・・・)
自分の愛する兄を想った瞬間、自分の右手が意もせずに勝手に乙女の秘所へと延びた。
クチュ、クチュと音を立てながら、自分の秘所を愛撫していく。
「あんっ!な、何?!て、手が勝手に・・・あ、あっ!あっ!」
身体を駆け巡る快楽に咲耶は戸惑い、感じていた。
「随分感じてるね。それはさっき吸った煙の作用さ。君の心の奥底のやりたいことを身体がやっているのさ」
(わ、私の・・・したい・・・こと・・・?)
そう考えていると、いつの間にか左手も胸を掴んで、揉んでいた。「んっ!んんっ!あ、あんっ!あんっ!あっ!あっ!あんっ!」
(今までにない感じ・・・き、気持ちいい・・・)
押し寄せる快楽に咲耶は溺れていた。
愛する兄の事を考えれば考えるほど、それはより激しくなっていた。
そんな咲耶に液体窒素が容赦無く降り注ぎ、咲耶の体温を奪っていく。
しかし、もはや咲耶はそんなものは感じていなかった。
男に痴態を見られている事も、男の存在すら咲耶の頭には残っていなかった。
頭にあるのはただ愛しい兄のことだけ。
(き、気持ちいい!お兄様の事を想うだけで・・・こ、こんなにいいいい!お兄様がわ、私に与えてくれてる、のね!お、お兄様ぁ!わ、私もぉ!あ、あげさせてぇ!お、お兄様に私のぉ!全てをを!こ、心も!か、身体もぉ!ぜ、全部ぅ!さ、捧げさせてぇぇぇぇぇぇ!わ、私にぃぃぃ!お、お兄様ををを!あ、愛させてえぇぇぇぇ!私をを!お兄様のモノにさせてぇぇぇぇぇぇ!!)
快楽に身を委ねながら、咲耶の肌の色が徐々に変わっていく。
恍惚の表情で咲耶は液体窒素を浴び続けた。
(わ、私はぁ!お兄様のモノぉ!全てをを!捧げさせてもらったからぁ!お兄様のモノにぃ!ならせてぇ!も、もらったのぉぉぉぉ!わ、私のぉ!こ、心もぉ!身体もぉ!全てぇ!お兄様のモノぉ!私のぉ!存在はぁ!お兄様の為にある、のぉ!今ぁ!お兄様がぁ!私をを!幸せにしてくれてるのぉ!)
ついに想いは声で出た。
「お兄様ぁ!お兄様がぁ!わ、私を満たしてくれているぅぅぅぅぅ!ああ、ありがとおぉぉ!お兄様ぁぁぁ!お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「そんなにお兄さんが好きなのか・・・今後の費用の為に売ろうと思ったけど・・・しょうがない、分かったよ。後日、君をお兄さんに返してあげるよ・・・」




数日後・・・
「差出人が不定か・・・ここに来いって書いてあるけど・・・」
兄は咲耶がいた施設の前にいた。
恐る恐る入り、手紙に記された通りに進むと、一つの部屋の自動ドアの前に着いた。
「ここで合ってるんだよな・・・」
するとドアが引き戸の様に真ん中から開いた。
瞬間、おびただしい量の冷気が溢れてきた。
「ううっ!寒い・・・何だ?この部屋・・・うわ・・・濡れてる・・・?」
入ってみると、足元が水・・・否、シャーベットの様な物が部屋全体に広がり、足首が浸かるほどのかさで、水溜りの様になって、床を丸々水浸しにしていた。
冷気が未だ霧の様に濃く広がり、前方がはっきりしない。
正方形の部屋にいるのだけが解った。
「前が良く見えないなぁ・・・ん?あれは・・・?」
冷気が徐々に晴れてくると、部屋の中央にあるものが確認できた。
「あれは・・・・・・っ?!咲耶ちゃん?!」
部屋の中央には全身が凍りついた咲耶が、全裸で大の字の姿勢で仰向けになっていた。
肌は元気だった頃の人の色を一切残さず、水色、と言っていいほど青白くなり、栗色のツインテールの髪の毛も真っ青に染まり、
大きく丸い瞳は光を無くし、生気と理性を一片も感じさせない恍惚の表情でそこにいた。
大きく開いた股から見える秘所からは、愛液がシャーベットになって、止まる事なく溢れ続けている。
「咲耶ちゃん!」
パシャパシャと床に溜まっていく愛液を飛び散らせながら、兄は駆け寄った。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァハァハァ」
近づいてみると、ゆっくりと、時に荒く呼吸しているのが、口から吐き出される冷気で解った。
「咲耶ちゃん!しっかり!」
兄は咲耶を抱き起こし、手を強く握った。
「どうしたの?!こんなに氷みたいに冷たくなって・・・とにかくすぐに・・・」
言いかけた兄の頬に凍りついた咲耶が兄が握った方の手で撫でた。
頬、喉元、髪の毛と兄の顔を撫でて、生気のない瞳で見つめながら、静かに呟いた。
「・・・お兄、様・・・」
「そうだよ咲耶ちゃん。僕はここだよ」
「・・・お兄様ぁ・・・・・・あっ、あっ、ああっ!あああっ!」

ブシャアアアアアアアアッ!!

突如、咲耶が秘所から流していた愛液が、更に洪水の様に強く溢れ出した。
「さ、咲耶ちゃん?!どうしたの?!」
「お、お兄様がぁ・・・お兄様が私を触ってくれているぅ・・・私に声をかけてくれてるぅぅぅ・・・捧げないと・・・私を・・・・・・私の、全てを・・・お兄様、にぃ・・・私はぁぁぁ・・・お兄様のモノなんだからぁ・・・捧げなきゃぁぁ・・・いけないのぉぉぉ・・・・・・お兄様の為に捧げられる事がぁ・・・私の喜びぃ・・・幸せ、なのぉ・・・んっ、んあああっ、あっ、ああああああああああっ」
恍惚の表情がさらに強くなり、背中を仰け反らせながら、咲耶は愛液のシャーベットを普通では有り得ない程噴き出し続けた。
そして、握っていた兄の手をそのまま愛液の溢れる秘所に入れ、指を動かした。
「ああああっ、あああああああっ、お兄様がぁ・・・私を、いつまでも、昇らせて、くれているぅぅ・・・うれ、しい・・・・・・いけないぃ・・・もっとぉ・・・もっ、とぉ・・・捧げ、なきゃぁ・・・もっとぉ・・・尽くさな、きゃぁ・・・お兄様の、為、にぃ・・・・・・お兄様をを・・・満たして、差し上げ、ない、とぉぉ・・・だからぁ・・・もっとぉ・・・もっと捧げなきゃぁ・・・あっあっああっ、あっ、あああっ、ああああああああっ」
愛液のシャーベットは止まる事無く、更に噴き出し続ける。
(私はお兄様のモノ。お兄様の氷人形。私の全てはお兄様のためのもの。お兄様が想ってくれている事は私にとって至上の幸せ。私にはもったいないもの。お兄様が私に愛させてくれている。だから、お兄様が私にこの快楽を与えてくださっている。いくら感謝しても足りないほどに。お兄様は私の全て。いいえ、私が持っている事は許されない。私はお兄様のモノ。私には何もなくていい、私は何も持ってはいけない。温もりすら持つ事は許されない。そのおかげで今の私がある。お兄様へ私がご奉仕させてもらっている。全てはお兄様のおかげ。私はお兄様に全てを捧げなきゃいけない。お兄様になら私は尽くし続けることができる。お兄様が望むなら私は道具にも、玩具にもなれる。永遠にお兄様に捧げ続けられることが私の喜び。お兄様が私に捧げさせてくださっている。心、身体、私の全てはお兄様のモノ。私はお兄様の事しか考えてはいけない。お兄様しか考えられない。これもお兄様が私に恵んでくださったもの。だからもっとお兄様の為に捧げなきゃ。私はお兄様のモノ。お兄様。お兄様。お兄様。お兄様。お兄様。お兄様。お兄様)
「ちょっ、ちょっと?!さ、咲耶ちゃん?!どうしちゃったの?!咲耶ちゃん!」
「あああ・・・ああっ・・・お兄様がぁ・・・私を満たしてくれているぅぅ・・・私にぃ・・・捧げさせて、くださるのねぇ・・・あっ、あああっ、あっ、ああっ!ありが、とうぅぅ・・・お兄様ぁ・・・お兄様にぃ・・・永遠の・・・
感謝をを・・・あっ、ああっ!んあああっ!ああっ、ああああああああっ!私はぁ!お兄様のぉ!モノぉ!私の!心もぉ!か、身体もぉ!お兄様のモノなのぉぉぉぉ!お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様、お兄様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
最早、咲耶には誰の声も届かない。届くのは、全てを捧げた愛しい兄の声だけ。それすらも、咲耶にはこの上ない快楽だった。
決して終わる事の無い絶頂、それも全て兄が自分に与えてくれたもの、そういうふうにしかもう咲耶は考えられなかった。
全てを捧げた今、彼女の思考にはもう兄の事以外、考えることはできない。
永遠の乙女となった咲耶はただひたすら愛しき兄の事だけを想い続ける・・・永遠に・・・


戻る