身も凍るような怪談

作:素単怒


「ねぇねぇ、怪談聞きたくない?」

ワカナ ミエ 平凡な女子中学生である彼女は
人気の少ない公園で突然、小学生くらいの少年にそう話し掛けられた。
元より暇をもてあまして散歩をしていたので、少年の要求をあっさり聞き入れた


「ふふ、ありがと。じゃあ話すよ・・・

ある町にね、とっても評判のいい洋服店があったんだ。

でもね、その店には妙な噂もあって、入ったっきり出てこない客が何人か居るらしいんだ。
それに注目した子がいてね。彼女は近くの中学の新聞部で、しかも友達の一人が同じ様な経緯で行方不明
不審に思っても不思議じゃないよね。

それで、お客を装ってその店に入って
定員の目を盗んでこっそり店の奥に進入したんだ。

そこには・・・沢山のマネキンが置いてあっんだよ・・・
二十体はくらいあって、ほとんどは服をつけて無い裸だったんだ。

そして、その中で特に彼女の目を引いたのがあった。
行方不明の友達にそっくりなマネキンがあったんだよ、
髪型や体型は勿論、顔のほくろまでね。
彼女の中に恐ろしい想像が駆けめぐったよ、『これは行方不明の子自身じゃ無いか?』ってね。

その時、彼女の後ろから妙な匂いがした。
思わず嗅いでしまうと、すぐさま睡魔が襲ってきて失神してしまった

・・・倒れた彼女の後ろには妖艶な笑みを浮かべた定員が居たそうだよ

それから数日後、店先に二つのマネキンが新しく並べられてね
ひとつはさっきも言った行方不明の子そっくりのヤツ
そしてもう一つは・・・あの新聞部の子とそっくりだったそうだよ。」

話が終わって、ミエは少々身震いしてしまった。
時間もつぶせたし、もう帰ろうと足を動かそうとしたが
何故か動かなかった。足だけと言うよりむしろ全身硬直したみたいに

おまけに今は夏だというのになんだか寒い。

とまどう彼女を見て、少年は口を開く
「そうそう、こんな話もあるんだ。ついでに聞かせてあげるよ。

ある公園にね。たちの悪い妖怪が住み着いちゃったんだ。
そいつは雪女の妖気から生まれた、いわゆる『雪ん子』ってヤツなんだけど

そいつは怪談が好きでね。
聞いてくれた人が怖がったり身震いしたりすると、カッチコッチに凍らせちゃうんだ。

これが本当の『身も凍るような怪談』・・・なーんてね。」

既にエミは最後まで聞く前に、極度の恐怖と寒さでで意識を失っていた。

「なーんだ聞いてなかったのか、まぁいいや。
それより、この公園もそろそろ潮時かなぁ?昨日今日で捕まったのこれだけだし。」

少年が氷像と化したエミを小脇に抱えたかと思うと、一陣の風が彼らを覆い
その場から消えてしまった。

以来、彼をこの公園で見た者は皆無ですが、

そうなると今度はあなたの町の公園に現れるかもしれませんね・・・


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