とある学校の屋上で

作:Shadow Man


「はぁ…、どうしよう。」
誰も居なくなった教室で一人悩む少年がいた。そしてその少年に近づく少女…
「あらあら、アスベル君、どうしたのかしら?」
「あ、サラさん。実は…いや、やっぱりなんでもないよ。」
そういってその少年、アスベルは席を立とうとしたが、サラはそれを遮った。
「フフフ…誰にも言わないから。全部話してよ、ね。」
サラの醸し出す雰囲気にアスベルは完全に飲み込まれていた。そして彼は仕方なく話し始めた。
「実は…ホワイトデーのお返しのことなんだ。」
アスベル君、何気に校内ではリーフに次ぐ人気者で大量のチョコを貰っており、そのお返しに悩んでいた。
「リーフ君にも相談したら『好きな人に返せばいいじゃん』って言うけど、僕にはそんなこと出来ないし。」
ましてや他の男子は、『あの日』以降アスベルに対して非常に冷たかった。
「だったら、私が手助けしてあげる。」
「え?」
サラはどこからともなくハンカチを取り出すと、適当に端を結んでアスベルに渡した。
「ワン、ツー、スリー!」
すると結び目が解け、何もなかったはずのハンカチの中からリボン付きの箱が現れた。
「わっ!サラさん、凄い手品知っているんだね。」
「ありがとう、アスベル君。じゃあ、これ譲ってあげる。」
「こんなにいいもの本当にくれるの?!でもタネを教えてくれないと、どうしたらいいか判らないよ…」
「簡単よ。さっき私がしたように結び目をつけてワン・ツー・スリーって声をかけるだけ。
そうしたら何もしなくても勝手にプレゼントが出てくるわ。」
それを聞いてもにわかに信じられないアスベルだったが、ためしにやってみたらうまく出来たので、
サラに礼を言うとさっきまでの落ち込みようが嘘のように活き活きとした表情で帰宅していった。

独り教室に残ったサラは不気味な笑顔を浮かべていた…


そしてホワイトデー当日の放課後 ―

「バレンタインデーのときはありがとう、これはほんのお礼です。ワン・ツー・スリー!」
「うわぁ〜アスベル君、うれしいわ!それにしても、凄い手品ね。どんなタネが仕込んでいるのかしら?」
「それは教えられないから勘弁してね。じゃあ」
などと、バレンタインデーのときにチョコをくれた女子に対して片っ端からお返しをするアスベルであった。

一方その頃、サラは学校の屋上に来ていた。
『さてと、そろそろいい頃かしらね。』
そして屋上に魔法陣を描くとサラはなにやら呪文を唱えた。
「アハトョスンイベニカッコルチシイ」
魔方陣が光ると、やがて右手にハンカチを持ったアスベルが左手に少女を連れて飛んできた。
2人とも何がおきたか判らずにきょとんとしていたが、アスベルはサラを見つけると事態が飲み込めたようで怒って詰め寄った。
「何するんだよサラ!今からお返しを渡すところだったのに。」
だが、怒るアスベルに対し、サラはうつむきながらこう言った。
「ごめんね、アスベル君。そのハンカチ、やっぱり返してもらうことにしたの。」
「え?!そんな…急にそう言われても…」
サラの今にも泣き出しそうな表情に、アスベルの怒りは収まって逆に弱気になった。
だが、サラはそのタイミングを逃さなかった。
「じゃあ、ひとつだけ言うこと聞いてくれる?」
サラの涙を浮かべながら懇願する姿に、アスベルは思わず心を打たれてしまった。
「え、あ、あぁ…いいよ。ひとつといわず幾つでも。」
「本当?!そしたら、そこに居る女の子をそのハンカチで包んでくれないかしら。」
「お安い御用…って、カリンさんを!?」
冗談だと思ったアスベルはやや大げさに驚いた。だが、サラの目は真剣だった。
そのカリンはまだ状況が理解できていないようで目を左右させていたが、サラの危ない目つきを見て咄嗟に正気に戻った。
「ちょ、ちょっと、何をする気?それにアスベル君まで。」
カリンは急いでこの場から逃れようと立ち上がった。だが、サラの反応も負けずに早かった。
「逃がしはしないわよ、スリー!ツー!ワン!」
サラが掛け声をかけると、カリンがアスベルから貰っていたプレゼントの箱がひとりでに開き、白くてネバネバしたものがカリンの身体中に飛んできた。
「キャッ!!」
カリンはそれでも走り出そうとしたが、その白いものに足を取られて転んでしまった。
「な、何よこれ…」
カリンはその白いものの正体を確かめようとした。だが、そのネバネバしたものは接着剤のように滑って地面についたカリンの両手の自由を奪っていた。
「私の特製マシュマロのお味はいかが?…本当はアスベル君でやりたかったんだけどね。」
そう言ってアスベルのほうを向いた。そのアスベルはすっかり腰が抜けて地面に尻をつけていたが、怯えながら逃げようと必死に下がっていた。
「これだから2人同時は面倒なのよね…」
そう言いつつ、サラはまるでワープしたかのようにアスベルの後ろに回りこんだ。
そしてアスベルからハンカチを取り上げると、あっという間に彼の頭にハンカチを被せて端を結んだ。
「アン、ドゥー、トロワ!」

屋上に一瞬妙な叫び声が上がった後、しばらく沈黙が訪れた。
だが、その沈黙の間にカリンはとても信じられないものを見た。
ハンカチを被せられたアスベルは、まるでそのハンカチに飲み込まれるように縮んでいった。そして沈黙の後、サラが結び目を解くとその中から飴細工のようなものが出てきた。
「う、嘘…」
カリンは絶句した。その飴細工は10cm位の大きさになったアスベルそのものだった。さらにサラはその飴を舐め始めたのだった。
「う〜ん、この飴もなかなかいけるわね。案外この方が良かったかな?」
そう言ってアスベル飴の服の部分を舐め続け、当然舐められたところから飴は溶けていた。
「カリンちゃんもいかが?」
サラは既に服の部分がかなり溶けていたアスベルの足をカリンに差し出した。両手両足が粘着していて動けないカリンだったが、頭を動かして必死に避けようとした。
「んもー、カリンちゃんったら、本当は好きなくせに。」
サラは先ほどとは違いかなり表情も緩んでいたが、容赦なくカリンに対して飴を舐めさせようと迫っていった。
そして精一杯の抵抗にもかかわらず、カリンの口に飴が挿入された。
「うぐ…むにゃ〜(やめて〜)」
「さあ、遠慮せずに舐めていいのよ…美味しいでしょ。」
「むにゃ、むにゅみゃむにゃ〜(いや、早く戻してあげて〜)」
結局数分間アスベル飴を口に含んだままにされたカリンは、完全に無抵抗でサラのいいようにされていた。
そしてカリンに飴を咥えさせたまま今度はサラがアスベルの頭部を口に入れて、さらにどんどん身体の方へと舐め進んでいった。
どんどん舐め進んでいくにつれてカリンとサラの距離は縮まり、最終的に2人の唇は重なった。
「ン…ムニュムニュ…」
サラはカリンの後頭部を両手で抱え込みながらカリンの口の中まで自分の舌を入れた。

屋上で互いに飴と舌を舐めあうこと約10分、サラはカリンの口から飴を取り出した。
『これ以上舐めたらアスベル君が溶けちゃうからね。』
そう心の中で呟きながらサラは飴をハンカチで拭いた。
「それにしても、カリンちゃんって思ったより私好みね。ウフッ。」
微妙な笑顔を浮かべながらサラはカリンを眺めた。カリンは焦点が定まらず目が虚ろになっていて、汗か涙かわからないものが頬を伝っていた。
そして一呼吸置いた後、サラは呪文を唱えた。
「アイン、ツヴァイ、ドライ!」
すると、カリンの身体を拘束していた白くてネバネバしたものがひとりでに動き出し、徐々にカリンの身体に纏わり始めた。
「さあ、おいしいマシュマロにな〜れ。」
白い物体はマシュマロだったのだ。カリンはその言葉を聴いてはっと我に返ったが、時すでに遅く彼女の四肢は動かすことが出来なかった。
「サラ…や、やめて…」
カリンは必死に助けを乞うたが、サラは薄笑いを浮かべるだけだった。
そうこうしているうちにサラの体はマシュマロに包まれていった。やがて彼女の身体は両手両足を地面につけ、目や口を開いたまま真っ白なマシュマロと化した。
「さてと…どんな感じになったかな?」
サラは真っ白になったカリンを触ってみた。そのふわふわした感触はマシュマロそのものだった。
「うん、よくできた。」
そう言ってサラは満面の笑顔を浮かべた。
マシュマロはカリンの服の上をぴったりと覆っていた。サラはその服の部分から少しずつちぎって食べ始めた。
そしてその下にはカリンの肌があったが、その部分もまたマシュマロになっていた。
サラは服の部分を全て食べ終わると残った裸のカリンを文字通り舐めるようにして味わった。

心ゆくまま2人を味わって満足したサラはそのまま一眠りした。

それから約1時間 ―
サラは目を開けようとしたが、思うように動かなかった。それだけではなく、手足も満足に動かすことが出来なかった。
『ど、どうなってるの??』
心の中でサラは必死に叫ぼうとしたが、微かに口元が動くだけだった。そのとき、聞き覚えのある声がサラの耳に届いた。
「サラちゃん、ごきげんよう。」
『その声は…ミランダちゃん?』
「どう、動けなくなる気持ちは?今日はホワイトデーだからきっと何かやらかすと思っていたけど…思ったより凄いことをやっていたのね。
あ、そうそう。今のあなたは携帯のストラップだから。これからバレンタインデーのときのお返しをたっぷりとしてあげるから楽しみにしていてね。」
そう言ってミランダはストラップとなったサラに対して頬ずりをした。
その後、2人は異常に仲睦まじく登下校するようになったと学校中で密かに噂になったという。


さて、アスベルとカリンは元の姿に戻ったが、裸のままで、しかも服をすっかりサラに食べられていたので夜が来るまで屋上に2人きりだったとか。
そこで何があったかは書くまでもないということで…


THE END


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