ケロロ、ペコポン固め作戦 であります

作:Shadow Man


「クーックックック…」
「おお、クルル曹長。どうしたのでありますか?」
「これは隊長、丁度いいところにいた。ついさっきこいつを発明したんだ。俺ってやっぱ天才?」
クルル曹長が出したのは黒くて四角い箱に大きく×印が描かれたものだった。
「これは…かのX−B○Xでありますか?」
「チッチッチ、違うんだな。これは超×箱といって、簡単に言えば今までに犯した罪を裁判するようなものだ。」
「ほぉ〜懲罰箱でありますか。素晴しい、クルル殿。」
「いやあ、当然だぜ…クックックック。(字が違うぞ)」
「して、どうやって使うのかね。」
「そうだな…ちょうどいいところに実験体が来た。奴で実演してやろう。」

「おじさま、お茶を持ってきました。」
そこに現れたのはモアであった。
「おい、このコントローラを持ってみろ。」
「え?クルルおじさま、これでいいんですか?」
そういってモアはコントローラを握った。すると、その箱の×印が赤く輝き、モアの体まで輝きだした。
「え?え…、きゃーっ!」
モアの体はどんどん色が変わり始めた。モアはあわててコントローラを離したが、色の変化は止まらなかった。
「体が堅くなっていく…っていうか、物質変換?」
「クックックック…計算どおりだな。」
「クルル曹長、これはどういうことでありますか?!」
「これはな、コントローラに触った者のこれまでの悪行を裁くアイテムなんだよ。ちなみにこいつは昨日お前のザクのヒートホーク折っちまったんだぜ。」
「なんと!モア殿、本当でありますか?!」
「おじさま、ごめんなさい…でもちゃんと接着剤でくっつけました…っていうか、因果応報…」
そしてモアは全身プラモデルのようになった。
「も、モア殿…クルル曹長、モア殿はどうやったら元に戻るのでありますか!」
「チッチッ…安心しな隊長、反省したら元に戻るよ。」
そう言い終らないうちにモアは再び光り、体が元に戻った。
「モア殿〜!」
「おじさま〜」
こうして2人…というか1人と1匹は感動の再会を果たしましたとさ、めでたしめでたし…なわけがない。

「ケロケロケロ…これはいいものが手に入った。これさえあれば積年の恨みを晴らすことができる。」
ケロロは秘密基地から出て日向家を歩き回ったがあいにく誰もいない。仕方がないので外へ出ようと玄関のドアに近づいたところ、
先にドアが開き、いきなり桃華が飛び込んできた。
「冬樹く〜ん、忘れ物届けに来たわよ〜。」
しかしその足元でケロロは踏まれていた。
「も、桃華殿…痛いであります。」
「あ、ごめんなさい。ところで冬樹君は?」
その扱いの軽さにカチンと来たケロロ、懲らしめてやれと桃華にコントローラを差し出した。
「え、これは何ですの?」
と言いつつコントローラに触れた桃華、モアのときと同じように箱の×印が赤く輝き、桃華の体も光りだした。
「キャーッ!!」
桃華の体は金色に輝くだけでなく、その周りに輪もできていた。その輪は桃華を包み込むと小さくなり、最後にはコインの大きさになって床に転がった。
『う〜む、二重人格だけあって裏表のあるコインになったと言うわけか。なかなか洒落のきいた箱だな。』
妙に納得したケロロは桃華コインを財布にしまうと、箱を抱えて表に出た。

そして歩き回ること10分、
「ターゲット発見!これより作戦を開始する。」
そう一人呟くとケロロは目標に接近した。
《チリリーン!》
ニュータイプ音がいずことなく響くと、その目標は一瞬のうちに振り返りケロロを摘み上げた。
「何ほっつき歩いているのよ〜このボケ蛙が〜〜っ!」
「夏美殿、待ったであります!別にサボっているわけでは…」
「じゃあ、何でこんなところにいるのよ〜しかもゲーム機なんか持ってきて!」
そう言って夏美はケロロからコントローラを取り上げた。
すると×印は今まで以上に赤く輝き、夏美を光に包んだ。
「な、何よ〜ボケ蛙、また変なことしたわね!」
「ケロケロケロ…夏美殿、どうかね、懲罰箱の威力は?」
夏美の体はメタル色に変わっていた。それでもまだそれを食い止めようとケロロの超×箱を狙って動こうとしていた。
「おっと、これを渡すわけにはいかないね。」
軽々と夏美の攻撃をかわすケロロ、そして夏美の体は完全にメタル化しようとしていた。
「う……た、助けて…」
そう言って夏美の体は完全に金属になった。

「ケロケロケロ…遂に、遂にやったであります!宿敵夏美を倒したであります!!」
ケロロは小躍りし、しばらく目前にいる全く動けない宿敵を眺めていたが、記念に持ち帰ろうと夏美をカゴに乗せようとしたとき、
突如つむじ風がケロロを襲った。いや、それはつむじ風でなく手裏剣だった。
「む、何奴!」
「夏美さんがピンチとあらばいつでも現れる、正義の忍者小雪参上!」
小雪は手裏剣を放ち、ケロロを夏美から引き離すとその間に立ちふさがった。
「させるかー!」
ケロロはコントローラを小雪に投げつけた。しかし小雪はそれを受け取らず、逆に反撃してきた。
「忍法『木の葉吹雪の術』!」
周囲の落ち葉がケロロに向かって飛んで行き、ケロロの体を切り裂いた。それと同時にケロロの財布も切り裂かれ、桃華コインが飛び出すと桃華コインは元の姿に戻り始めた。
「あっ!」
ケロロが驚く暇もなくもとの姿に戻った桃華はケロロの首を締め上げた。
「ごらあ!てめえ何しやがる!!」
「も、桃華殿…ギブ、ギブであります!!」
「てめえ、この桃華様に…ゆるさねえ!」
《グシャッ!》
桃華が一歩踏み出したとき、その足元には超×箱があった。そして桃華に思いっきり踏まれたその箱は変な音を立て始めた。
「げ、我輩の懲罰箱が〜〜」
「何だ何だ?!」
×印の部分が赤くなったり青くなったりし始めた超×箱は、内部から光が四方に飛び出した。
その光が夏美にあたり、反射して超×箱に戻ると箱は勝手に変形を始めた。そして触手のようなものが現れると夏美を取り込んだ。
「あ、夏美さん!!」
小雪が行動に移すより早く夏美を取り込んだ超×箱は突如としてガンダム顔のロボットになった。
「クックックック…自己進化しちまったようだな。やっぱり俺って天才だ…」
どこからともなく現れたクルルだったが、ロボット(以下夏美ガンダムと呼ぶ)の前に吹っ飛ばされた。
「夏美さん、私が助けます!!忍法、『触手切り』」
小雪は単身夏美ガンダムに飛び込み、コクピット部分をこじ開けた。その中にはお約束どおり生体ユニット化したような夏美が両手を後ろに伸ばしたような姿で存在していた。
「夏美さん、私はあなたが好きだ〜っ!」
と、ドモンのように叫んだ小雪だったが、夏美はコックピットから飛び出すどころか逆に小雪を触手で捕らえ、同じように生体ユニット化してしまった。
しかし小雪は夏美にくっついてものすごく幸せそうではあった。
「あわわ…」
それをただ見ているだけだったケロロと桃華はとにかく逃げ出すしかなかった。

一方、小雪を吸収してパワーアップした夏美ガンダムは×箱のあったところからビームを発射し、片っ端から町中の人を石やら金属やらに変えていった。
桃華は救援を求めたがそのガンダムの前にはドロロやタママ、果ては西澤家の私設軍隊といえども歯が立たなかった。
そして逃げるケロロたちの前に一人の男が立ちはだかった。
「ハーハッハッハ!悪人は俺が倒す! 癒着!!」
それは556であった。しかし変身したにもかかわらず556も夏美ガンダムの触手1本で叩き落された。
「兄さん!!」
ラビーは倒れた556を庇った。しかし夏美ガンダムは容赦なくラビーに襲い掛かり、夏美ガンダムに取り込まれ文字通り癒着させられた。

「あれ、軍曹?何だか騒がしいけどどうしたの?」
「おお、冬樹殿!夏美殿が暴走しているのであります。早いところ止めるであります!」
「ええ、姉ちゃんが!軍曹、また何か悪いことを…」
「その話は置いておくであります。今は…わ、わ〜〜!」
もうすぐそこに夏美ガンダムが来ていた。冬樹はガンダムの前に立つと夏美に語りかけた。
「姉ちゃん、もう止めてよ。帰って一緒にご飯食べようよ!」
その声に夏美ガンダムは一瞬動きを止めた。しかしそれもつかの間、×箱ビームが冬樹とその後ろに隠れていた桃華に命中した。
「わ、わぁ…」
「キャーッ!」
2人は7色の光に包まれると一つの宝石になってしまい、夏美ガンダムに取り込まれた。

「ふ、冬樹殿まで…我輩はどうすればいいのだ!」
茫然とするケロロを尻目に夏美ガンダムはまた動き出し、その通った後は草木1本残らず無機質に変化していた。
と、そこに赤い物体が高速で接近してきた。
「夏美!お前は俺が助ける!!」
ギロロは超×箱からのビームも、夏美ガンダムからの触手も避けて一気にコクピット部分に近づいた。
「こんな姿になって…夏美、目を覚ませ!!」
そういいつつ、夏美を生体ユニットにしている触手をめがけてマシンガンをぶっ放した。
「ギ…ギロロ…」
ギロロの声に夏美が反応した。
「よし、夏美、こっちに来るんだ。」
「た…す…け…」
夏美ガンダムの動きは止まり、夏美の体は徐々に元の人の体の色を取り戻した。そして夏美は自我を取り戻したが、そのとき彼女は自分が裸であることに気が付いた。
「…?!、ギロロのエッチー!!」
「ちょ、ちょっと待て夏美、それは俺のせいではない!」
ギロロの弁解もむなしく、再び暴走を始めた夏美ガンダムに吹き飛ばされてしまった。

『誰か、何とかして!』
夏美はなまじ自我を取り戻したためにますます混乱してしまった。ケロロももはや万事休すと思ったそのとき、突然夏美ガンダムは動きを止めた。
そして夏美ガンダムは徐々に崩れ始め、これまで無機質に変えられていた人々も元に戻った。
「…?」
ケロロが不思議に思って夏美ガンダムに近づくと、そこには秋の胸の中で泣いている夏美の姿があった。
「ママ…」
「よしよし夏美、怖かったのね。ほら、小雪ちゃんも服を着て。」
小雪も冬樹も桃華もラビーたちも座り込んではいたが、無事に元に戻れたことに安堵していた。

こうして事件は解決し、ケロロは責任を取らされて小遣いを3ヶ月カットされましたとさ。


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