作:Rui
アクアフェアリーディーネを見つけてから2週間
次のエレメンタルフェアリーの手掛かりも見つからず、
只、羽咲市内を歩き回っているフィーナ
羽咲海浜公園
「ふぅ。」
手掛かりが見つからず手すりに寄りかかり溜息をつくフィーナ
「あら、水月邸の所の…。」
ふと後ろから声を掛けられる
「母様、そう言う冗談は止めて下さい。」
声を掛けて来たのはフィーナの母であるイシュタルだった
「ゴメンなさい、フィーナ。それより、どうかしたの?」
「とある人を探しているんです。けど、手掛かりが見つからなくて…。」
そう言って振り返るフィーナ
そしてその視界に入ったのは…。
「雫…。」
「えっ?」
フィーナの言葉に思わず疑問の声を上げるイシュタル
「からまれてる。」
そう言うと雫と思われる女性の下へ駆け寄るフィーナ
「こら、何してる!」
「なんだ姉ちゃん。喧嘩売るってのか〜?」
女性に絡んでた男がフィーナに絡んで来る
「う〜ん、売ってる気は無いし、買う気も無い。」
「殴るぞ!」
男がそう言った瞬間
突然倒れ込む男性
イシュタルが後ろから男を気絶させたのであった
「ふぅ。大丈夫だった?」
「えっ?あっ、はい。助かりました。」
「私はフィーナ。こっちは私のお母さんでイシュタルって言うの。貴女は?」
名前を尋ねるフィーナ
「雫、神月雫。」
「良い名前ね。お母さんの名前は…御風かしら?」
ふと口を開くイシュタル
「何で解るんですか〜?」
「ねぇ雫。お母さんの所に連れて行ってくれる?」
「良いよ。」
フィーナの言葉に簡単に心得る雫
「フィーナ、貴女1人で行ってらっしゃい。私は孤児院の方があるから。」
「…はい。」
そう言うとイシュタルと別れ雫に付いて行くフィーナ
「ねぇ?こっちって病院の方でしょ?」
「うん。今ちょっと入院してるの。」
羽咲中央病院
503号室
「お母さん、お客さんだよ。」
「あら、どなた?」
御風の言葉にカーテンをめくり姿を表すフィーナ
「お久し振り…かな?」
「雫、この人と話がしたいの、ちょっと良い?」
「解った。」
そう言うと病室から出て行く雫
それを確認し身体を起す御風
椅子に座るフィーナ
「久し振りね、フィーナ。元気にしてた?」
「えぇ。唯姉も元気にやってる。…御風、まだ、戦える?」
ふいに、そう呟くフィーナ
「私は、もう駄目。けど、覚醒さえすれば、雫が…。」
「あの様子だと、まだ覚醒してないみたいね。」
「えぇ、継承は済んでいるけど…。」
そう言い終わると黙り込む御風
と、その時
病院の明りが一斉に落ちた
「「!!」」
「フィーナ。」
「解ってる。……!!雫が危ない!雷精!」
そう言うと小さい雷の精霊が出て来る
「汝我が命の元、神月雫を守護せよ!行け!」
そう言うと病室を出て行く精霊
「これで大丈夫な…!!」
“大丈夫な筈”
そう言おうとした時
何かを感じたフィーナ
「フィーナ、どうしたの?」
「この感じ…雫が危ない!」
そう言うと病室を出るフィーナ
するとそこには数体の悪魔が居た
「チッ!下級がぁ!」
そう言うと腰から拳銃を取り出し早撃ちで悪魔を討つフィーナ
倒れた悪魔は人間へと姿を戻す
「やっぱり。くっ、何処に行ったんだが…。」
病院屋上
そこに雫の姿があった
「何?何なのよ。」
そう言いつつ後ろへ下がる
しかし屋上のフェンスに背が当たる
フェンスに気付き振り返り、再度前を見た時
悪魔は直ぐそこまで迫って来ていた
「(い、嫌。死にたくない死にたくない死にたくない。死にたく、無い!)」
そう思った時
突如視界が白くなる
「…な、何?何なのここ?…私、死んだの?」
「…違うわ。ここは貴女の精神世界。」
「貴女は?」
「私は銀装を継ぐ者。汝唱えよ。汝風の力を継ぐ者。」
その言葉に疑問を持つ雫
「えっ?何の事?ねぇ、教えて。」
「…直ぐに解るわ。」
その言葉を最後に視界が元の世界に戻る
その直後
何かを理解した雫
「そう。私は雫。風の雫。そう、我は風を操る者。風絶!」
そう言うと雫の目の前に剣が現れる
それを手に取り悪魔を斬る雫
その直後、ボスと思われる悪魔が出て来る
「風よ、我が名の元に敵を切り裂け。風刃!!!」
そう唱えると一瞬で切り刻まれるボスクラスの悪魔
ボスクラスの悪魔が倒れると同時に
病院に漂っていた邪気が消えた
「雫。」
屋上の入口から声を掛けるフィーナ
「ただいま、フィーナ。」
「…お帰り。」
その直後看護婦が屋上へと上がって来た
「居た。神月さん、至急病室へ。お母さんが!」
503病室
「御風!」
フィーナが先ず口を開いた
「…目覚めたみたいね、雫。」
「…うん。」
その言葉を聞くとフィーナを見る御風
「フィーナ、雫を、お願いね。」
「解った。」
「雫…。」
そう言って少し黙る御風
「全ては、光の…た…め…に…。」
そう言って息を引き取る御風
「どいて!」
医師に弾かれるフィーナと雫
「…雫。」
「大丈夫。フィーナ、唯の所に、連れてって。」
「…解った。」
水月邸ロビー
「フィーナ。」
家の中に入り最初に声を掛けて来たのは…
「アインス。…唯姉は?」
「唯様なら今出かけてるわ、ルイを連れて。」
「そう。」
そう言うと口を開くアインス
「んで、そちらの方は?」
「神月雫です。」
「よろしく。」
名前を聞いて手を差し出すアインス
しっかりと握り、握手をする雫とアインス
「あれフィーナ。帰ってたんだ。そちらの彼女は?」
「悠、うん、今帰って来たの。こちらは神月雫って言って、風使いよ。」
その言葉にピンと来た悠
「私青山悠。水を司る者よ。よろしく。」
「よろしく。」
そう言って握手をする雫と悠
「それじゃ、唯姉が帰って来るのを待ちますか。」
続く
次回予告
エレメンタルフェアリーも4人の内2人を見付けてフィーナ
残り2人は果たして何処に?
そんな中唯が新しいメイドを連れて来た
次回SF第5節「今戦うわ、先の未来の為」
あと2人。必ず見つけ出す。