告白
作:Rui
イラスト:あおば
とある高校の2年生の教室
そこでは女子が2人、会話をしていた
「え〜、じゃあ憧れの先輩に遂に告白するんだ〜?」
「うん。下駄箱に明日の昼休みに屋上に来て下さいって言う手紙を入れといたから…。」
そう言いながら少し照れる女性、千草
その正面で話を聞くのは彼女の親友でさつき
皆からはさっちゃんと呼ばれている
「頑張ってね千草。私も応援するから。」
「う、うん。ありがとう。」
照れが残りながらも、返事をする千草
その日の帰り道
帰る方向が同じなので一緒に下校する千草とさつき
ふとさつきが口を開く
「でもさ〜千草。」
「何?さつき。」
「更科先輩の何処が良いの?」
「えっ?えっと〜、それは…。」
さつきの質問に照れる千草
「まっ、いっか。明日の告白の時に聞けると思うし。それじゃあね、千草。」
「それじゃあね、さつき。」
そう言うとさつきと別れた千草
「(明日、明日の昼休み、告白するんだ、憧れの、更級先輩に。)」
そう心で思いながら帰宅する千草
翌日
登校時にさつきと出合った千草
「おはよう千草。いよいよだね。」
「う、うん。」
「成功する事を、祈ってるよ。」
「ありがとう、さつき。」
そう言いながら校門をくぐる2人
そして昼休み
屋上へと続く階段を上る2人
「頑張ってね、千草。」
「うん、頑張るよ、さつき。」
そう言うと屋上に出る2人
その手には、プレゼント包装された、箱があった
出入り口とは反対側に、更級の姿があった
更科の姿を確認すると、消え入りそうな声で口を開く千草
「あ、あの、更級先輩。」
その声に気付く更科
「えっ?えっと君が千草ちゃんかい?」
「は、はい。そ、そうです。」
憧れの先輩にちゃん付けで名前を呼ばれた事で興奮する千草
「あ、あの、これ、受け取って下さい!出来れば、私と付き合って下さい!」
箱をお腹の前で両手で持ったまま返事を待つ千草
「…良いよ。前々から、ちょっと気になってたんだよ、君の事。」
「ほ、本当ですか?」
「あぁ、本当さ。」
そう言った直後
更科の目が光った
その直後千草の全身は、石となった
疑問に思った表情をしながら
その光景を一部始終盗み見していたさつきは目の前で起きた出来事を、理解出来なかった
「覗き見していた子猫ちゃんは、君かな?」
ふと更科の声がした
「あ、あ…。」
恐怖で声が震えるさつき
「大丈夫、安心して。君の直ぐに仲間にいれてあげるから。」
そう言うと再び更科の目が光
千草が更科に告白してから1週間
千草・さつきの両家の家族は4日前に捜索願いを出した
見つかる筈の無い子を探す為に
更科邸地下室
大量に並ぶ石像の中に見慣れた顔の石像がある
千草とさつきである
ふと千草の石像に近づく更科
「可愛いよ、千草ちゃん。その可愛さは、ずっと僕の物だ。」
そう言うと石と化した千種の身体を撫でる更科
それは、冬に起こった事件だった
終わり
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