人形舞曲

作:Rui


私立桜ケ丘高校

音楽準備室

放課後になり部員が集まり皆でお茶をしていた
2年生で、ギター兼ボーカルの平沢唯
同じく2年。ベース兼ボーカルの秋山澪
同じく2年。ドラムで部長の田井中律
同じく2年。キーボードの琴吹紬
1人1年で、ギターの中野梓
それと顧問の山中さわ子
以上6人で、

お茶を嗜んでいた

夕方になり一通り練習を終え、帰宅準備をする5人
それぞれの荷物を持ち鍵を閉め階段を下りる
「おっと、鍵かえして来るから先に帰ってて〜。」
そう言ったのはドラム担当の律
「解った。また明日な。」
次いで口を開いたのはベース担当澪
「律っちゃん、また明日ね〜。」
「また明日。」
続けて唯、紬
「さようならです。」
最後に梓

律と別れ昇降口を出て校門を出て、道路を歩く4人

「う〜、まだまだ寒いね〜。」
道路を歩きながらそう呟く唯
「立春が過ぎたとはいえ、まだ雪が残っていますから。」
そう答える梓
「あずにゃ〜ん♪」
「ちょっ、唯先輩!抱きつかないで下さい!」
「全く。」
そんな2人を見て呆れた声を出す澪
「楽しそう。」
「えっ?」
紬の言葉に疑問に思う澪

その後しばらく話しながら歩き、それぞれ解散していった

翌日

昼休み

音楽準備室

「律が来てない?」
澪の言葉に頷く唯と紬
「先生が言うには風邪をひいたって連絡が有ったそうです。」
紬の言葉に考える澪
「しばらくは自主連かな?だからと言ってサボったりするなよ。特に、唯!」
「えっ?いや〜、大丈夫だよ。きっと。」
唯の言葉にため息を付く澪

放課後

1年生教室

「憂〜、あずにゃ〜ん。」
「お姉ちゃん!」
「唯先輩!」
唯の呼びかけに答える唯の妹で有る憂と梓
「どうしたんですか?いきなり。」
「律っちゃんが休みだから、澪ちゃんが自主連しなさい。だって。」
唯の言葉に驚く憂と梓
「律さん休みなの?」
「律先輩。」
「あずにゃん!律っちゃん家にお見舞いに行こう。憂も一緒に。良いでしょう?」
唯の言葉に呆れながらも承諾する憂と梓

翌日

休み時間の廊下

そこには澪と紬の姿が有った
「律っちゃん、今日も来てません。そればかりか唯ちゃんも。」
「こっちは1年の教室に行ったら梓に憂も来てない。」
互いに言い合い考え込む
「とりあえず、放課後に部室で。」
澪の言葉に頷く紬

放課後

音楽準備室(軽音部部室)

「先ず、状況を整理しよう。」
澪の言葉に頷く紬
「先ず最初に律。最後に見たのは一昨日の部活終了後。その次は唯・憂に梓。
これも最後に見たのは昨日の放課後。」
澪の言葉に頷く紬
それと同時にドアが開き顧問のさわ子が入って来た
「山中先生。」
「あら?2人共どうしたの?」
疑問の声を掛けるさわ子
「実は、律達の事を話しあっていたんです。」
澪の言葉に一瞬動きが止まるさわ子
「ん〜、悩むのなら、動いてみたら?何か解るかもよ。」
「山中先生。・・・解りました。紬、行こう。」
「えっ?あっ。失礼します。」
お辞儀をすると澪の後を追う紬

その後、律・梓・唯と憂の家を回ったが居ないもしくは帰ってきてないとの事だった
仕方なく学校迄戻って来た2人
「どうだったの?」
部室に戻るとさわ子が声を掛けて来た
「皆、家に帰っていません。」
澪がそう言うと続けて頷く紬
同じバンドのメンバーとその妹の行方が解らず落ち込む澪と紬
ふとそこで、口を開くさわ子
「2人共、付いて来て。」
その言葉に疑問に思う澪と紬
「良いから。」
さわ子に言われるがまま付いて行く澪と紬

そのままさわ子の家に到着した
家に上がるとそのまま奥迄案内された

奥に有る部屋に入る澪と紬
その部屋は真っ暗で直ぐ先に何が有るのかも解らず、
廊下からの僅かな光が入るだけで有った
自身が感じる怖さを我慢して部屋の中に立つ澪
「澪ちゃん。大丈夫?」
「・・・紬。・・・何とか。」
そんなやりとりを交わすと奥から聞き慣れた声が聞こえてくる
―アレ?ミオチャンニ、ムギチャン?―
その言葉に思わず驚く澪
「・・・唯ちゃん?」
その言葉を発した主と思われる人物の名を口にする紬
―ヤッパリムギチャンダ。ウイ、リッチャン、アズニャン。
ミオチャンとムギチャンダヨ―
―マッテマシタヨ、ミオセンパイニツムギセンパイ―
「ひぃぃ!!!」
恐怖の声を上げる澪
それと同時に「カチャカチャ」と言う音が鳴り響き、次第に近づいて来る
「ミ〜オチャン♪」
そう言いながら姿を現した唯
否。唯の声を出し、唯自身を模した球体間接人形がそこには居た
「ゆ、唯。だよな?」
恐怖にひきつりながらも確認の言葉をはく澪
「ウン、ソウダヨ。サワチャンセンセイッタラヤットツレテキテクレタ。」
唯を模した人形の言葉にドアの方を振り返る澪と紬
そこにはさわ子の姿が有った
「さわ子先生。これは、これは一体?」
紬が問い掛ける
「そのまんま。彼女達は私の可愛い人形になったの。
そして貴女達も。さあ、彼女達を捕まえて。私の可愛い人形達。」
さわ子の言葉と同時に澪と紬を捕まえる唯・憂・梓・律を模した人形
「人間を、人間を人形にするなんて。非科学的です!」
精一杯叫ぶ紬
「そうね。でも私には出来るの。さぁ、澪ちゃんも紬ちゃんも仲間に入れてあげる。」
そう言うと何かを指示するさわ子
それと同時に澪と紬を起き上がらせる4体の人形
「じゃあ、唯ちゃん達?」
「えぇ。」
紬の問いに即答するさわ子
そのまま更に奥へと連れて行かれる澪と紬

それから3日後

学校とそれぞれの保護者から捜索依頼が出された

―フフッ、見つかる筈なんて無いのに。ここは私だけの空間。
そして、私の可愛い人形達の部屋。ねぇ、そうでしょ?―
そう言いながら奥へ視線を向けるさわ子
そこには、唯・澪・律・紬・梓・憂そっくりの球体人形が並んでいた
―さぁ、今日も私が選んだ衣装で奏でて貰うわよ―
さわ子の言葉に頷く6体の人形

人形達の舞曲は続く

何時までも終わる事無く。

そう、



―――イツマデモ


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