作:Rui
海山市内
高台の公園
銀に包まれた深夜の公園で3人の魔法少女が一人の女性を相手にしている
「行け(フェインス)!!!六十四の魔法の射手(シクスフォーティンヌ)!!!」
アリスの言葉と同時にフィーリアへ向け放たれる64本の魔法の矢
「甘い!!!」
そう言うと剣の一振りで全ての魔法の矢を弾くフィーリア
その間を縫って斬りかかるルナ
それに気付き剣で受け止めるフィーリア
「へぇ、中々やるわね。けど、全て私が仕込んだ事だから通じないわよ。」
フィーリアの言葉に口を開くルナ
「どうでしょうね?奏!!!」
その言葉と同時にフィーリアの背後でブルー・レイスを振り上げる奏
それに気付き口を開くフィーリア
「それが甘いって言うのよ!」
そう叫ぶと魔力を解放し、ルナと奏を吹き飛ばすフィーリア
「ルナ!奏!」
たまらず心配の声を出すアリス
アリスの声に気付き体勢を立て直しアリスの横に集まるルナと奏
「結構、強いね。」
素直な感想を口に出す奏
「けど、倒すしかない。」
自身に言い聞かすようにその言葉を口にするルナ
「けど、何か手は有るの?」
疑問を口にするアリス
アリスの疑問に口を開くルナ
「一つだけ、有る。」
ルナの言葉を聞きルナの方を向く二人
「前に、教えて貰った剣術が、有るの。…双龍連撃。回避不能、耐える事すら無謀って言う、技。」
ルナの言葉に口を開くアリス
「けど、一本足らないのね。剣が。」
アリスの言葉に頷くルナ
「なら、思い描き、想像し、強く、念じてみて。グラン式なら、それが出来る筈だから。」
アリスの言葉に疑問に思うルナ
「出来たら、ありったけの魔力を込めて。それ迄は私と奏で何とかするから。奏もそうでしょう?」
アリスの言葉に頷く奏
「奏、アリス、ありがとう。」
「それは終わってから。」
ルナに対しそう言うとフィーリアへと向かって行く奏とアリス
それを見送ると目を閉じ、集中する
「(ナイト・オブ・ムーン。もしも私の声が聞こえているのなら、応えて。堕ちて解ったの。
フィーリアさんは、囚われているだけ。だから私は、解き放ってあげたいの。
その為の力の為、応えて!NIGHT OF
MOON!!!)」
言い終わると同時に目を開くとルナの目の前には二振りの剣が浮いていた
「…ありがとう、ナイト・オブ・ムーン。」
そう言うと二振りの剣を掴み構えると再度口を開くルナ
「ナイト・オブ・ムーン、魔力装填!」
ルナの言葉に刀身に膨大な魔力が溜まっていく
それに気付くアリス・奏・フィーリア
「やらせはしない!」
そう言うとアリスと奏を吹き飛ばしルナに向かうフィーリア
「ルナ!」
叫ぶアリス
その直後漆黒の騎士がフィーリアの剣を抑える
「シルヴィー!!!」
「彼女の邪魔はさせませんよ!」
そのまま鍔迫り合いになるフィーリアとシルヴィ・[「どきなさい!シルヴィー!」
「何を言われたってどきませんよ!エスキス、カートリッジロード!」
シルヴィーの言葉に薬莢を排するエスキス
「彼女達だって日常が有る!友達と、親友と笑って過ごす日常が有る!それを邪魔するのなら、
貴女ですら、私は討つ!!!」
そう言うとフィーリアを弾くシルヴィ・[―Dark
Slash―
電子音声と共にエスキスを振るうシルヴィ・[それと同時に漆黒の衝撃破がフィーリアへと向かう
「甘い!」
そう言うと一振りでその衝撃破を消し去るフィーリア
「その程度で私が倒せると思うの?シルヴィー!!!」
「思ってなんていませんよ。だって私は、囮なのですから。」
シルヴィーがそう言うと後方からルナが突っ込んで来る
「なっ!」
その光景を見て驚くフィーリア
「双龍連撃!!!」
そう言い放ち双剣の一撃がフィーリアに命中する
「フィーリア姉様。」
フィーリアに背を向けたまま名を呼ぶルナ
「良いのよ、ルナ。いつかは、こうなる運命だったのよ。」
そう言うと足元から銀像へと化していくフィーリア
「ルナ。仲間を、友達を、大切にね。…あ〜あ、これまでか。…シルヴィー、ゴメンね。」
「姉様。」
「…やっぱり私は、魔に生を置く者だった…か。」
そこ迄言うと完全に銀と化すフィーリア
その表情はどこか爽やかだった
それと同時に海山市を覆っていた銀が解き放たれる
「銀化が、解けた。」
アリスのその言葉に何かに気付き口を開くルナ
「…異空間も、消えた。」
「終わったん、だよね?」
ふと奏が口を開く
「奏。うん、終わったの。戻ろう、いつもの生活に。」
そう言い聞かせるルナ
それを遠めから見つめるシルヴィ・[「良いの?行かなくて。」
ふと女性の声が聞こえる
「レイピア。えぇ、あそこは彼女達だけの場よ。私が入り込む余地は、無いわ。」
「…そう。それと、彼女はどうするの?」
そう言うと銀と化したフィーリアに視線を受けるレイピア
「こっちで回収。それだけは確定よ。」
「そう。」
そう言うとルナ達を見るシルヴィーとレイピア
数日後
海山中央駅
そこにはルナ・奏・アリスに蒼月と風濫の姿が有った
「行っちゃうんだね、アリスちゃん。」
最初に口を開いたのはルナ
「ルナ。うん。私は、他にもする事が一杯あるから。」
「そう。…いつになるか解らないけど、遊びに行って良い?」
「…うん。」
ルナの問いに元気良く答えるアリス
「アリス、そろそろ時間よ。」
「蒼月さん。はい。…それじゃあね。ルナ、奏。」
「アリスちゃん、バイバイ。」
ルナの言葉を聞き電車に乗り込むアリス
そのままドアが閉まり、電車が発車する
ホームから電車が過ぎ去って行くと口を開くルナ
「行っちゃったね。」
「うん。」
「また、会えるよね?」
「そう、言ったじゃない。…帰ろう、ルナちゃん。」
「うん。」
奏に言われ駅から去っていくルナ
車内
ドアに両手を付き、泣き崩れるアリス
「…また、会おうね。」
終わり