ガラスの教室

作:Rui


とある高校

2年生の教室

そこに、彼女は居た

「リン、今日はどうするの?」
クラスメイトの女子が声を掛けてきた
「ごめん、今日部活。待っててくれるなら、教室で待ってて。」
「OK。それじゃ、放課後。」
そう言うと去って行くクラスメイト

彼女の名前は時雨琳。この高校に通う2年生
先程のは親友の神田早苗

「リン、早苗と何話してたの?」
ふと声を掛けてくる早苗とは別のクラスメイト
「メイにユウナ。別に。部活終わったら一緒に帰ろうって。」
「「本当に〜?」」
2人そろって疑問に思う
「それだけ!もう、メイとユウナったら。」

この2人は神埼芽衣に、五十嵐悠那。共に親友で有る

放課後

部活も終わり、教室に入るリン
「早苗、待った?」
「やっと来た。行こう。」
早苗の言葉に教室を出ていく2人

駅前をうろつき7時ぐらいに早苗と別れたリン
そのまま駅からの道を歩いていると路地裏に1人の女性を見つけた
普通は気に掛からないのだが、その女性はうずくまっていた
「あの、大丈夫ですか?」
思わず声を掛けるリン
リンに気付いたのか振り返る女性
「あの、大丈夫、ですか?」
―見つけた―
「えっ?」
疑問に思うと同時に女性に襲われるリン

次に気が付くと先程の路地で、女性の姿は消えていた
「・・・何だったんだろう?・・・帰ろう。」

リンの部屋

自宅に帰り夕飯を食べ、お風呂からあがりパジャマに着替えるとベッドに横たわるリン
「ふぅ。」
―私の声、聞こえる?―
ふと聞こえた声に起き上がり、周囲を見渡すリン
だが、部屋には自分以外誰も居ない
―その様子だと、聞こえているみたいね―
「・・・何処?何処に居るの?」
問い掛けるリン
―貴女の中よ。貴女自身が私なのよ―
「えっ?どう言う事?」
―解らないのなら、解らせてあげる―
女性の声に一瞬意識が飛ぶリン
「ふ〜ん、平凡ね。」
―えっ?身体が勝手に―
「そう言う事。理解して?」
―嘘、嘘でしょ?―
「うるさいわね。少し寝ていなさい。」
女性の言葉に意識が途切れるリン

翌朝

「ん、う〜ん。」
目覚ましが鳴る前に目が覚めるリン
「・・・学校、行かなきゃ。」
そう言うと起き上がり着替える

学校の教室

「リン、おはよう。」
「早苗、おはよう。っと、それより今日の放課後空いてる?」
リンに尋ねられ考える早苗
「どうせ空いてるんでしょ?」
「へへっ、バレた?」
「バレる。そうしたら、美術準備室に来て。良い?」
リンの言葉に頷く早苗
「メイとユウナは?」
「私から言っておく。」
「OK。」
早苗が答えるとチャイムが鳴り響く

放課後

美術準備室

「リン、来たよ〜。」
灯りも付いておらず、外からの光も殆ど差し込まない美術準備室
―早苗、待ってたよ。こっち―
部屋の中心ぐらいからリンの声が聞こえる
「もう、何でこんな所に呼び出したの?」
―それはね、早苗を私の物にする為―
リンの言葉に疑問に思う早苗
「早苗、私の目を見て。」
その言葉にリンの目を見る早苗
そのまま何かに囚われたかのように動けなくなる早苗
「リン。何の冗談?」
「冗談?冗談じゃないわよ。それより、手足に違和感を感じるでしょう?」
そう言いながら大きな姿見を持ってくるリン
「そこには部屋が暗いながらも反対側が見える程透き通った手足が映っていた
「嫌。なにこれ?私どうなるの?」
「早苗は私だけの人形になるの。そう、ガラスで出来た人形に。」
リンの言葉に恐怖を覚える早苗
「嫌。今日のリン、変。何でこんな事するの?」
「それは、宿主の欲望だからよ。」
不意にリンとは違う女性の声が聞こえる
だが、声は確かにリンから聞こえている
「リンじゃない。誰?」
「私はしがない寄生型の魔族。人間に取り付き人間をガラスに変える者。」
「ひぃ!」
魔族の声を聞きより一層恐怖の声を出す早苗
「それじゃ、バイバイ。」
そう言うと同時に完全にガラスと化す早苗
―リン?居る〜?―
ふと入口から声が聞こえる
「メイ。ユウナも居るわよね?」
―うん?えぇ、居るわよ―
「良かった。それじゃ、中に入って来て。」
リン。否、魔族の言葉に何も知らずに部屋の中に入ってくるメイとユウナ
その後直ぐに2人の叫び声が聞こえると共に、2体のガラス像がそこに出来ていた
「ウフフ、3人共綺麗。けど、これで充分。」
そう言うとリンの身体から抜け出る魔族
それと同時にリン自身もガラス像と化す
「ここを拠点に、私の作品を増やして行きましょう。」
そう言うと笑い声が美術準備室に広まった

そこには、女性を象ったガラス像が4体
良く見ると3体は恐怖に引きつった表情
もう一体はそれを見て笑みを浮かべている表情
いつからそこに有るのか、誰が作ったのか、知る者は、誰も居ない
そしてこのガラス像が、元々は人間だったと言う事も

そして魔族は、今日も作品を増やしていく


Ruiさんの文章に戻る