公園の伝説

作:おおばかなこ


ー聖ヨハネ女学院ー
全寮制、お嬢様学校

初等部6年、市川一美
いっちーの愛称で呼ばれていた。

本来ならば名前か苗字に「さん」をつけて「○○さん」と呼ばれるのだが、四年生で家の都合でココに放り込まれた一美にはきゅうくつだった。
自己紹介のとき「市川のいち、一美のいちで『いっちー』と呼んで」と言った。
クラスメート達が「名前か苗字にさんをつけて呼ぶことになっているのよ。通称なんてとんでもないわ。」といっても「そんなのきゅうくつやん。『いっちー』でいいやん。」とがんばりとおしたので「いっちーさん」と呼ばれることとなった。

そんな一美たち6年生が遠足に出かけた。
コースにはとある公園があった。
その公園には謎の大石があり、むやみに触ると石になってしまう・・・という伝説があった。
しかし、知らずに触ってしまったとか、転びそうになったはずみで触ってしまったときは無効だという。
引率の教師がこの話をして「皆さん、気をつけましょう。」と言った。
これを聞いた一美は「そんなの、迷信やん」と、自由行動時間になると石の上にかけ上がった。
クラスメート達は「きゃーいっちーさん、石になってしまいますわよ。」と騒いだが、一美は「そんなの迷信やん。ほら、なんともない。」と石の上で3度跳ねると飛び降りて走り去った。

だが、自由行動の時間が終わり集合時間になっても一美は戻ってこなかった。
皆で手分けして探すと、トイレで用を足したと手を洗おうとしていたのだろうか・・・水道に手を伸ばした姿で石になっていた。
それを見つけた生徒達が「せんせーい、いっちーさんが石になっています。」と教師に言うと「ちゃんと説明したのに・・・。しかたありませんね。次のところへ向かいましょう。」と教師は言った。
そして石になった一美を残し、次の目的地へと出発した。

数日後、大石の周りには柵が設けられた。
さらに、伝説を説明する立て札も立てられた。
そのとなりに一美が置かれた。
石に触って石になってしまった少女と説明を書き添えられて・・・。


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