ブルーローズ

作:おおばかなこ


ー聖ヨハネ女学院ー
全寮制、お嬢様学校

この学院には美しいバラ園がある。
そこに一株だけ青みがっかたバラがある。
このバラについては・・・
「昔、体の弱い少女がいてこの場所で発作を起こして死んでしまった。その悲しみがバラに移って青くなった。」
とか
「いじめられっこがいて、この場所で自殺をしてしまった。その涙が凝って青いバラとなった。」
などといわれていた。

中等部の詩織
彼女は2年生の2学期までは普通の中学に通っていた。
家族の都合で2学期よりこの学院に編入してきた。
そのため、クラスメイトにはなじめず、休み時間や放課後は一人花や木の絵を描いていた。
そして、一株の青みがかったバラを見つけた。
詩織は「あなたが青みがかったバラね。これからは『ブルーローズ』って呼ぶわ。私もあなたと同じ一人ぼっちよ。」と花に話しかけた。
その日から詩織はブルーローズに話しかけながら何枚も絵を描いた。

やがて、花が終わりに近づいた頃、詩織は「もうすぐお別れね。次の花の季節までさよならね。」とブルーローズの前でため息をついた。
すると、風に揺れるブルーローズが「散りゆく花びらとタネをお茶にして飲んで。そうすれば一緒にいられる。」とささやいたような気がした。
詩織はその通りにしてみた。

次の花の季節が近づいた頃、詩織の体に異変が起きた。
食べ物が喉につかえ、水を欲しがるようになった。
雨の日などずっと外に立っていることもあった。

そんなことが続いたある日、ブルーローズが咲き始めた。
詩織は真夜中にフラフラとブルーローズのそばへ行くと体を地面に横たえた。
すると詩織の体はみるみるうちに土へと化した。
そこから一本のバラが生えてきた。
それは、あっという間に花をつけた。
ブルーローズと同じバラだった。
ブルーローズは二株になった。
風に揺られて「これからは一緒よ」とささやいていたが、その声は誰も聞こえなかった。

後日談

フェスティバルでにぎわう学園を後にした魔法使いの女性と人間になったアンティークドールは、古いレンガ造りの骨董店にたどり着いた。

中に入ると魔法使いの女性は「あなたは人間世界のことを少し教えましょうね。」と人間になったアンティークドールに言い、人形になった真知子には「あなたにはドレスを着せましょうね。そして、ウィンドウに並べましょう。」と言った。

そして真知子はドレスを着せられてウィンドウにかざられた。


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