瀬貴霞学園祭

作:狂男爵、偽


プロローグ
「いや、体が動かない。」
 暗い部屋の中心で半径30センチ位、高さが2メートル位のおおきなガラス管の中に体操服姿の女の子が閉じ込められていた。ショートの髪型でいつもは明るい笑顔を浮かべていた顔も、今は恐怖のままマネキンの様に凍り付き、口と瞳が微かに震えていた。そして腕は控えめな胸ごと自分の体を強く抱いたままピクリとも動かなかった。そして紺のブルマからすらりと伸びた足はつま先から太ももまですでに灰色に染まっていた。
「ああ寒い、寒い」
 ついに灰色にブルマ事下半身が染まると瞳しか動かなくなった、そう彼女はゆっくりと大理石の彫像に変えられようとしていた。
「くっくっくっく、石になる気分はどうだい詩亜君」
 彼女の正面で白衣が笑っていた。そして胸と抱きしめる腕まで石化するとついに詩亜は苦しげな表情のまま全く動かなくなってしまった。苦痛の表情のまま詩亜は大理石の彫像に完全に変えられてしまった。
「つまらんな、姉のことをいえなかったな」
 白衣は舌打ちして背後のデスクに開き直った。
「やはり意識なしか、もう少し改良しなければならん、残念だよ雪君、君の後輩に協力してもらわねばならん」
 机のファイルには巫女が四人写っていた。そして全てが闇に沈んだ。

第1章
ピチャン、ピチャン
「あれ、ここどこ」
 くらい闇の中何故か大きなガラス管の中にいた。
〜おかしいな、さっきまで沙耶さんを部室に案内してる途中だったのに〜
 何故か段段体が動かなくなってきた。見下ろして目が覚めた。
「そんな、体が石になってる」
 上から降り注ぐ緑の液体に当たったところから体が巫女服ごと石に変わっていた。巫女部の制服である巫女服が体事と、チャームポイントである(自称)足元まであるツインテールがすでに大半が灰色にそまっていた、力なく細い両手をガラスに伸ばしたまま動かなくなる。
「助けて、助けて、お姉ちゃん、お姉ちゃっ」
 そして瞳を除いて体のほとんどが石化されていた、ツルペタの体は力なくもがいた姿のまま、同年代より幼く見える顔は泣きそうなまま、
「いいぞ、いいぞ、完成か、んっ変だな」
 不意に闇の中から現れた白衣が> 勇の目の前で手を振るがなぜか瞳はうつろなまま全く反応しなかった。
「ちっ、失敗か、仕方ない」
 白衣は勇の目の前で何かの機械のスイッチ押した。勇の瞳がわずかに絶望を示したが白衣は気が付かず、雫は瞳に当たり勇の大理石の彫像は完成した。

第2章
 そして、沙耶は全てを見せられていた。大理石の彫像にされた哀れな少女達の背後で、起立の姿勢で後ろの半身を壁に封じられたまま。元は紺のブレザーの制服でセミロングの綺麗な黒髪は、丁寧に整えられ、手足は真っ直ぐに伸ばされ標準以上の体付きで豊かな胸はつんと上を向いたまま、絶望を示す空ろな表情で完全に大理石のオブジェと化していた。
 不意にデスクに向かったままの白衣はおおきな声で言った。
「まだ聞こえているのは、分かっているよ沙耶君、どうだい感想は。」
 すると右端のディスプレイに文字が打ち込まれた。
「ヤクソクヤブッタワネ、イモウトノユウハミノガシテクレルッテイッタジャナイ」
 白衣はさも可笑しそうに笑うと
「どうして人間がオブジェに指図されねばならんのかね」
「アア、ゴメンナサイゴメンナサイ、ユルシテ」
 オブジェと化した沙耶の冷たい石の瞳から涙が流れ、機械は沈黙した。
「沙耶君の御陰で理論はほぼ完成した、さあ最終実験だ。」
 そのディスプレイの隣のモニターに瓜二つの二人のポニーテイルの巫女が、お互い見つめあって戸惑っている姿が写っていた。

第3章
 旧校舎の端の教室で二人は訳が分からず見つめあっていた。
「えっ、これ舞が書いたじゃないの。」
「美香こそ、用があるなら早くしてよね、休憩時間過ぎてるし」
 彼女達の属する巫女部の部長の雪は普段おっとりしているが、あれが擬態なのは妹分の勇以外皆からだに叩き込まれていた。
「大体こんな辛気臭いとこあんたか、アノ白衣以外、いっつ」
 最後まで言えなかった。美香が突き飛ばしたせいだ。
「いたたた、何すんのよもう、えっ美香どうしたの」
 天井から緑の液体が滝のように美香に降り注いだ。そして美香は驚きの表情と舞を突き飛ばした姿勢のまま、一瞬で大理石の巫女の彫像に変わった。ふり乱れた巫女服は時間が止まったように固まっている。
「嘘、なによこれ、ねえ美香返事をして」
 舞は気が動転して美香の像に縋りつくように、抱きついた。
「まだ暖かい、きっと助かるよね、えっなに聞こえない、なにかいってるの?」
〜ニゲテニゲテニゲテ〜
 モニターを見つめていた白衣はそっとほくそえむ。
「もう手遅れだよ」
「いやー」
 悲痛な舞の悲鳴が響いたがすぐ小さくなった。美香を石に変えた液体と同じ緑の霧が部屋中に充満した。部屋の端々から沸いたそれはすべてを大理石の彫刻に変えていく。
「ああ、ああ体が、体がー」
 一つになった二人を緑の霧が容赦なく冷たいオブジェに変えていく。
 何故熱っぽくなりながら痩せ型でバランスの取れた同じ体つき同じ顔の美香の像に舞は体をこすり付けるように強く抱きしめた。
「ああ、美香、美香」
 そして切なげな表情で隠微な大理石の彫像に変えられた事すら気が付かないで、舞は心を快楽の世界に閉じ込められた。

第4章
「みんなどこにいるのーお仕置きしないからー」
 薄暗い旧校舎の階段を腰まである黒髪と豊かな胸を揺らしながら上りきって大嘘を雪は叫んだ。
「あら、あれは何だろう」
 3階の廊下の突き当たりに2メートル弱の布をかけた物体があった。つい好奇心でその布をはずして見た。
「えっ勇、なんでどうして」
 呆然と立ち尽くす。手から布がおちても気が付かない。偽者だと否定したいが心の奥の冷たいものが許してくれない。そして首筋に文字通り鋭い痛みが突き刺さる。
 そして首筋に文字通り鋭い痛みが突き刺さる。
「ああいたい、なにがどうなって」
 振り向こうとして体の異変に気が付いた。
「ああ体の自由が利かない、なんでどうして」
 苦しげな勇の像の背後にあるおおきな姿見を見ると、自分の鍛えられ引き締まった手足が端から石化しているのがみえた。大切の妹分が石像にされたのを見た直後のため全く頭が働かない。そして豊かな胸とほっそりした腰に石化が及んだ時点で本当の恐怖に気がついた。
「体が石になってるのに、感覚が変わらない」
 そう腰まである黒髪やいま自分が着ている巫女服がゆっくりと冷たい石の塊になっているはずなのに重さは以前のままで動けない以外まるで感覚に変化がないのだ。じわじわなぶるように石化が体の染めていく。呆然とした表情は、自分の顔なのにかすかに震える口元と絶望にそまった瞳いがい人形のように動かない。
「いやよ、いやよ、永遠にこのままなんてぜっ」
 呟きが中断されて初めて唇が石化したことを知った。極限まで恐怖をかんじているはずなのに狂気に逃げることすら許されない。そして瞳がうつろな石に変えられて雪は呆然とたちつくしたまま大理石の巫女像と化した。最後まで、背後のにやにやと笑う白衣に気が付かなかった。
 姿見に映る灰色に染まってゆく顔を、見つめる事しか出来ない。
そして瞳がうつろな石に変えられて雪は呆然とたちつくしたまま大理石の巫女像と化した。最後まで、背後のにやにやと笑う白衣に気が付かなかった。

エピローグ
 そして、雪たちの大理石の像は理事長の秘密の庭園に飾られる事になった。乱立する立派な台座の上で悲しみ、苦しみ、恐怖の表情で静かに佇む少女達の石像、なぜか使用人達の間で涙が流れたり、助けを求める乙女の悲痛な声が聞こえるとかうわさもちらほら聞こえた。捜索は全く行われなかった。変わりに彼女達の関係者全員に多額の現金が振り込まれた。下手な好奇心や友達思いの同級生は、行方不明になり代わりに理事長の庭園の彫像が増えた。

〜タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ〜

めでたしめでたし?

PS 理事長の秘密の庭園入場料は大人一人3万円、オプションで御触りをつける場合は、心の叫びがわかるディスプレイレンタル込みで10万円です。

注意:実在の団体及び個人とは全く関係がありません。科学的考証もまったくありません。石化及び監禁誘拐は犯罪です。決して真似しないでください。


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