白き日のリベンジ・オブ・バレンタイン 発端編

作:くーろん


「う!・・・・あっ!ああああぁぁぁ!!!」

少女の叫び声が、深夜の闇に響き渡った。
その身は僅かに震えているが、硬直したかのようにその場から動かない。
そして、本来肌色であるその体は、徐々に茶色い・・・別の何かへと変わりつつあった。

「ああ!・・・あっ・・・ああ・・・・あ・・・・・・・・」
足が、腰が、手が・・・徐々に変わりゆく体に、とどめなくあふれ出る叫び声。
だがその口までが茶色に染まった時、叫び声がピタリ・・・と止んだ。
やがて愛らしい目が、短めにそろえた綺麗な銀髪が・・・そして全身が茶色一色に染まった。

僅かに身を逸らした少女・・・いや少女の形をした茶色い物体は、その場にほのかな甘い香りを漂わせていた。
少し粉っぽい質感・・・それはチョコレートと呼ばれる、とろけるように甘い洋菓子。


「く・・・・・・・・・失敗だわ」
そんな、チョコレートと化した少女に何者かが近づく。
月明かりの中に照らし出されたのは、もう1人の少女。
それも・・・目を奪われるほどの可憐な少女であった。

月の光を浴びて金色に輝く、サラサラのロングヘアー。
幼さを残しつつも整われた顔立ち。艶やかな唇。
美しさとかわいらしさ、その両方を持ちあわせた彼女は、出来立てのチョコレート像を憎々しげに睨んでいた。

「もう時間がないってのに・・・なんで・・・成功しないのかしら・・・」
苛立ちが浮かべながら、彼女はチョコレート像に近づくと、じっくりと顔を眺め始めた。
そばに並んだ2つの顔は・・・心なしか顔立ちが似ているように見受けられる。
少女は髪の部分をじっくりと眺め、跳ね上がった髪の毛部分を見つけると、パキン、とそれを折った。
そしてあろうことか・・・ためらいもなくそれを口にしたのだ。

「この味は!・・・・・・なんて事なの・・・」
食べたチョコに何か不満でもあったのだろうか。忌々しそうに彼女はチョコレート像を見つめる。
その怒りの矛先は、目の前のチョコレート像に対してなのか、それとも・・・

「・・・いけない。こんな事してる場合じゃないわ。
まだ・・・時間はある・・・でも早くしないと・・・・」
苛立ちを隠さぬまま、誰に向けることなくつぶやいていた金髪の少女だったが、
もはや目の前の物に興味を失ったのか、きびすを返してその場から立ち去っていった。

1人残されたチョコレート像を、月のカーテンだけが、優しく包み込んでいた・・・





(ふぁ・・・・・・・・暇ですわね・・・・・・・)
電脳世界管理局中央ターミナル、にしては閑散としたロビーの1つに、小さくもれるあくびが一つ。

寒々とした日々が終わり、春の到来を感じつつある、3月の半ば近いとある日。
カウンター席でぼんやりとしながら、彼女――フレイラは怠惰を貪っていた。
人気のない周囲を見つめるその目は眠たげで、やる気というものが全く感じられない。

(お昼ご飯を食べた後の、うららかな午後のひと時・・・
こうも何もなければ、あくびが出るのも当然ですわ・・・・・・)
などと、自分に都合のよいヘリクツを浮かべる彼女だったが、
確かに本来なら人の絶えないその場所は閑散としており、あくびが出そうなくらいする事がなかった。


電界、と呼ばれる世界。
人間が構築した物理学用語において、
『正負の電荷を帯びた原子が、互いに電気的影響を及ぼしあう空間』を意味するそこは、
「電霊」と呼ばれる、一種の精霊達が住まう場所であった。

彼らは電子より生み出される情報世界を飛び回り、人が介在できない、電子情報のひずみを修正して回る。
ひずみは情報学的に見ればバグと同じ。放っておけばその世界に害を及ぼす。
一見ボランティアに思えるその行為は、電子情報により進化した、自らの存在を守るためのもの。
言ってしまえばギブアンドテイクの関係。

そんな電霊達の業種の1つに、オペレーターと呼ばれる仕事がある。

ゲーム――多大な電子情報を保有し、常に多様化し、日々その数を増やしていく世界。
それを監視するのが、彼らの仕事である。
また、実際に情報世界を飛び回るスイーパー(掃除屋)の派遣と管理もその仕事の1つ。
スイーパー達は、オペレーターの許可なく電脳世界への転移が認められていない事からも、
地味な仕事ながら、電脳世界全体を統括する権限を持つ、重要な職務である。

先のフレイラも、そのオペレーターの1人なのだが・・・いや、今は春の陽気に少々当てられただけ。
たとえ人がいなくて閑散としていようとも、すぐに仕事に集中するであろう。


(ほんとに何もありませんし・・・少し休憩して優雅に午後のシェスタでも――)
・・・どうやら本気でやる気がないようである。職場放棄すら辞さない覚悟だ。


「こらフレイラ!!」「ヒッ!」
突然の叱咤に、シェスタに向かおうとしたフレイラは慌てて振り向いた。
「ったく、何ボケーっとしてんだいお前は・・・」「え?あ、あら蘭奈(らな)さん、ごきげんよう」

背の高い、燃えるような赤い髪をポニーテールに束ねた女性が、フレイラのそばに立っていた。
気の強そうな顔立ちは今、呆れた表情を浮かべ、フレイラを見つめている。

「なーにが『ごきげんよう』、だ。今さら取り繕ったって遅いんだよ」
蘭奈、と呼ばれた彼女はフレイラと同じくオペレーターである。
柔らかな物腰のフレイラとは対照的に、サバサバとした姉御肌な彼女。
世話好きな蘭奈は、よく仕事仲間に発破をかける事が多い。

「・・・仕方ないじゃないですか。何もすることがないんですもの」
「だったらせめてシャキっとしなよ・・・アンタにお客様が来てるんだ。その人にもだらけた姿を見せるのかい?」
「・・・お客様・・・ですか?」

(誰でしょう?律輝さんかしら・・・)
出かかったあくびを飲み込みつつ、彼女は来客者について考えを巡らせる。
だが今の答えは否定した。
その彼ならば、断りなどせず直接出向いてくるからだ。

「どなたかわかりますか?」
「ほら、あんたによくからかわれて、いつも怒鳴ってばっかりの律輝君、あれの妹さんだよ。
髪の長くてとびきり可愛い――」
「髪が長い・・・・・・・蘭奈さん、申し訳ありませんが急用を思い出しましたので私はこれで――」
「やだ・・・とびきり可愛いだなんてそんな・・・」

2人のそばに、いつの間にかはにかんだ少女が立っていた。
金髪の、蘭奈の言う通りとびきり可愛らしい少女。
どうやら、その本人が直接やってきたらしい。

「なんだ、こっちに来たのかい雪香ちゃん。向こうのソファに座ってて良かったんだよ。
今暇そうにしてたそこの――逃げるなフレイラ」
「う・・・」
カウンターまでやってきた少女、雪香に応対しつつも、蘭奈は振り向きもせず、
逃げ出そうとしていたフレイラの首袖を掴んだ。

「ら、蘭奈さん、ですから私は急用で――キャアァァ!」
突如、フレイラの体が宙に浮き上がった。
蘭奈によって放り投げ上げられた彼女は、綺麗な放物線を描き・・・カウンター席にストンと着地した。
その様子を雪香は、ただ目を点にしながら眺めていた。

「ほう・・・さっきまであくびしながら、暇そうにしてた奴が急用、ねえ」
彼女は曲がった事が大嫌いである。それは自分のみならず他人の行為に対しても当てはまる。
加えて蘭奈はスイーパーも兼任しており、武術の腕も相当なものだ。
素手で某ゲームのバハムートをしばき倒せる・・・と言えばだいたいその力量は推測できるであろうか。


「ほらほら、せっかくやってきた可愛いお客さんの話を聞いてあげな。
暇、なんだろ?」
「う・・・・・・・わかりましたわ」
首の袖をつかまれながらも言い逃れようとしていたフレイラも、観念して抵抗を止めた。
実直な蘭奈を言いくるめるのは無理だと分かっていたし、力比べでは彼女に到底勝ち目はない。

「と、いうわけだ。雪香ちゃん、待たせてしまって悪かったね」
「い、いえ!そんなことないです!」
2人のほぼ強引な展開に、雪香はただうなづくしかなかった。

ここにおいて、ほんの少しまでの『午後のひとときをシェスタで優雅に』というフレイラの計画は泡と消えたのであった。




「単刀直入に言うわ」
カウンター脇の応接室に場所を移し――
「相談したい事がある」という雪香に、立ったままではと蘭奈がここを用意してくれたのだ。

「チョコレートの作り方を教えて欲しいの」
「・・・・え?!」
突然の頼みであったとはいえ、普通に見れば少々大げさすぎるほどに、フレイラは驚きを表していた。

「え?!って・・・私がチョコレートの作り方聞くのが、そんなにおかしい?」
「あの雪香さん・・・ご自身が、電界内でどう称されているかお分かりになられてるでしょう?」


――その者、作りし料理は至福をもたらし、食し者を楽園へと導く。其、まさしく神の食しもの也――

『神の料理人』、そう呼ばれる雪香、その料理を例えた一節である。
それは決して大げさな表現ではなく、今まで彼女の料理を食して、感動に涙を流さないものはいない。
しかし、彼女は作ること自体に関心があるらしく、あまり他人に料理を披露しようとは考えていないため、
実際にその料理を食せる機会は少ない。
それがまた神秘性を増し、彼女の料理の名を更に高めてもいた。

そんな相手に対してフレイラがあのような事を言うのも、無理からぬ事であろう。


「それは・・・で、でも・・・・」
「私も料理を含め、いくつかの作成術に携わってますが・・・神の料理人に見合う腕前などとてもとても・・・」
仰々しく謙遜するフレイラだが、彼女の言葉は己を過小評価しすぎであろう。


オペレーターとして働いている彼女だが、料理を始めとする作成術にも携わっている。
興味のあるものには何でも手を伸ばすため、器用貧乏に見られている面があるが、
その個々の知識と技術は卓越しており、その道の専門家にも決してひけを取らない。
雪香もそれを知っての上で、フレイラに相談を持ちかけてきた。

――とはいえ料理に関しては、さすがに神に叶うほどではないのも、また事実であるのだが。


「神の料理人にそのような事を申されましても――」
「そんなの関係ないのよ!」
やんわりとあしらおうとするフレイラに対し、雪香は急に怒りをあらわにして立ち上がった。
――かと思うと、今度はみるみる悲しげな表情に変わってゆく。

「神の料理人なんて・・・そんな勝手に付けられた肩書きなんて何の意味もないわ・・・
こんな・・・あいつにあげるチョコ1つすらまともにできないんじゃ何も・・・
お願いフレイラさん!もう頼れるのはあなたしかいないの!」
すがるよう目で、必死にフレイラに懇願する雪香。
その理由は分からないが、彼女の今の言葉が本気なのは間違いない。

「・・・事情がおありのようですね。分かりましたわ、話をお伺いしますわ」
「うん・・・ありがと・・・」
ここまで自分を頼ってきた相手を無下にあしらうわけにはいかない。
そう考えたフレイラは詳しい話を聞くことにした。




「これが・・・私の作ったチョコレートなんだけど」
一体何を聞きたいのか、そう問いただそうとしたフレイラの前に、雪香は小さな箱を出してきた。
ふたを開くとその中には、小さなハート型にかたどられたチョコレートが数個。
茶色の色合いを見る限り、普通のミルクチョコレートのようである。

「味や食感については何の問題はないわ。
けど、1つだけ問題が・・・それをどうしても消す事ができないのよ・・・」
「問題?それは一体・・・」
「それは――」
雪香が問題について語ろうとした、その時――

「よお、頑張ってるか?」
ギィ、と扉が開くと、蘭奈がお茶を載せたお盆片手に入ってきた。

「あら、ありがとうございます蘭奈さん。
雪香さんのお話ですと、どうもチョコレート作りがうまくいかないそうでして」
「そうかいチョコレートがねえ・・・お、それがそのチョコレートかい?」
「え、ええ、そうなんですけど――」
机の上に置かれたチョコレート見つけた蘭奈は、お盆を置くやいなやヒョイ、とそれを1つ摘まみ上げた。

「え?あ、ちょっと――」
慌てて止めようとした雪香だったが、蘭奈は気にもせずそのままチョコを食べようとする。

「ちょっと蘭奈さん、はしたないですわよ」
「いいじゃないか1つくらい」
「駄目ですわよ。そのチョコには何か問題があるそうで――」
「なら余計、食べてみるべきじゃないか?」
蘭奈の振る舞いを止めようとしたフレイラを、逆に蘭奈自身が制してきた。

「食べなきゃ原因も分からないんじゃないか?ほらフレイラ、お前も1つ」
「それは・・・まあ・・・そうですわね」

一度はたしなめようとしたフレイラだったが、確かに蘭奈の言う事も一理ある。
それに・・・正直なところ、「神のレシピ」の一つを食べてみたい、そんな気持ちもあった。
フレイラも蘭奈に続いて1つチョコをつまむと、問題のチョコレートを食べ始めた。


「う・・・・これは・・・・」
「・・・・・・」


1口チョコを食べた蘭奈が、言葉に詰まる。
フレイラに至っては、言葉すら出なかった。
反応に若干の違いはあれど、どちらも考えは一致していた。

(美味しい・・・・)
いや・・・この表現は正しくなかったのかもしれない。
それは美味し・・・すぎたのだ。


とろけるような口解けに、しつこくない甘さ。
けれど決して控えめな甘さではなく、口元がほころんで浸ってしまうような・・・そんな味わい。
融けてなくなるのがもったいない程の美味しさに、思わず目を閉じ、その余韻に酔いしれてしまう。


(素晴らしい出来ですわ・・・)
フレイラは素直に感動していた。
彼女自身、チョコレートを作ったことは何度もあるが、それでもこの味わいには一歩及ばない。

(本当に素晴らしい出来栄え・・・あまりの美味しさに身が引き締まりそう・・・)
そう、その味わいがまるで全身にも伝わるかのような感覚が訪れ、足が固まったかのように硬直を――
(え?・・・・・・・・固まる?)
「な、なんだこれは?!あ、足が!」


突然の蘭奈の叫び声に、はっとフレイラは目を開けた。
慌てて足元を見ると・・・

「え・・・わ・・・私の足が、ちょ、チョコレートに!」
「な・・・・・・い、一体なにが起こってるんだい!!」
茶色い物質・・・チョコレートと化して動かなくなった2人の足があった。

驚いている間にもチョコレート化は徐々に進んでいき、今や太ももまで及んでいた。

「い・・いや・・・・」
「な・・・止まれ!止まれったら!!」

(なぜ私がチョコレートに・・・・・・はっ!)
そう思ったフレイラの脳裏に、目の前にいる少女の、特殊な趣向が浮かび上がった。
固めた女性に強烈な興味を示す「固めフェチ」という趣向を。

(も・・・もしやこれは彼女が・・・・こ・・・・このままでは・・・・・)




「フフ・・・馬鹿ねえ・・・まさかこんな簡単に引っかかるなんて・・・」
何かを眺めながら、怪しげに微笑む雪香。
その視線の先には・・・チョコレート像と化したフレイラと蘭奈が立っていた。

信じられない・・・といった表情で手のひらを見つめたまま固まった蘭奈。
対してフレイラは、助けを請ようと腕を前に伸ばしたまま、驚愕の表情を浮かべ、固まっていた。
ほんの直前まで、オペレーターとして働く、2人の女性だったチョコレート像が応接室に立ち並ぶ。

「さ、て・・・と、どうしようかしら・・・」
まるで品定めをするかのように2体を眺めていた雪香だったが、
何か思い立ったのだろう、その1つ、フレイラだったチョコのそばまで近寄った。
そして、スカートの裾に手をかけると力を込める。

パキン!、と乾いた音が鳴った。

チョコレートと化したスカートの裾は、まるで板のように簡単に割れた。
割れたスカートの隙間から、むき出しの太ももが、少しだけ垣間見れる。

「・・・こうやって少しずつ服を食べていくのも面白そうね。
少しずつ服を食べて・・・徐々に体をさらしていって・・・フフフ、楽しそうじゃない・・・よし、決定。さて、冷蔵庫に転送しないと融けちゃうわね。優舞にも見せてあげなくちゃならないし」

まるで悪魔のような言葉をつぶやくと、彼女はチョコレートと化した2人を、冷蔵庫の中へ転送し始めた。

「食べきったらその後は・・・まあ後で考えればいいわ。そんなすぐには食べきれないでしょうし・・・
長い付き合いになりそうね、蘭奈さん。そして・・・フレイラさんもね・・・」

可憐な少女の姿をした、恐るべき固めの申し子は、哀れな犠牲者達をその住処へと――




(・・・・・・・・・・い・・・いやぁぁぁぁ!!!!)
フレイラの頭に浮かんだ、自らに訪れるかもしれない恐ろしい結末。
それはあくまで想像ではあったが、そのあまりにリアルすぎる光景に、彼女の恐怖感はピークに達していた。
(こ・・・・・こんなところで・・・・チョコレートになるなんて絶対にいやぁぁぁぁ!!!)

生きとし生けるものは、窮地に達すると考えれない力を発するときがある。
フレイラは神がかり的なスピードで万能薬を作りあげると、まだ動く左手を動かし、そのまま一気に飲み干した。

スゥ・・・と、体が軽くなっていくような感覚。
こわばって感覚のなくなっていた体に、再び神経が通っていく。
万能薬は正常に効果を発揮したようで、フレイラの体は、徐々に元の肉体を取り戻していった。


「よ・・・よかった・・・です・・・・わ・・・・」
完全に元に戻ったのを確認したフレイラは、張り詰めていた緊張が解けたためかその場にへたりこんでしまった。


「あ・・・あの・・・フレイラさんごめんなさい・・・だいじょう、ぶ?」
「ヒッ!」
自らを恐怖におとしめた主の呼びかけに、フレイラは一瞬怯んだ。
だがすぐにステッキを取り出すと、雪香に向けて構えた。

近寄れば容赦なく攻撃する――完全な臨戦態勢である。


「わわ、わ・・・私をチョコレートに変えようって言うならこっちにも考えがありますわ!!!!!」
「お、落ち着いて!これはわざとじゃないの!本当よ!!」
「ウソおっしゃい!!どこの世界に食べたらチョコになるお菓子なんて!!!
そんなものどうやったら偶然で作れるっていうんですか!!!!」
「だって本当にわからないんだからしょうがないじゃない!!!!!!!!!!!!!!」

必死なフレイラの叫びに、それ以上に悲痛な訴えが重なった。
「・・・・・・・・・・え?」
「本当に・・・分からないのよ・・・私だって・・・もうどうしたらいいのか・・・・・・・・・」
そこまで言うと、雪香は力なく膝から倒れこんだ。

彼女の全身から漂う悲痛なオーラが、ヒートアップしたこの場の空気を冷ましていった・・・

to be continue


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