固めデカ 〜バレンタインデーの悪戯〜

作:HIRO


CASE_1 クリスの場合
 こんにちは僕の名はクリス・フィーゲルト、固めデカの所長、ヴィオナ・フィーゲルトを母に持ちます
 今日、2月14日は皆さん知ってる通りバレンタインデーです
 好きな人にチョコレートを贈ることでその人に愛をしめす……そんな日です
 で、そんな日に今日ボクは何をするかと言いますと……
「お母さん、喜んでもらえるかな?」
 ……ボクが最も愛するお母さんにチョコレートをプレゼントする事です
 ええ、男性であるボクがチョコレートをそれも親族に渡すのは色々変だと思います
 でも良いんです、今日ぐらいは自分の気持ち(?)を表してもバチは当たりません
 と言うわけでボクはその手にチョコ(1500円しました)を持って所長室へと足を急がせました
 まさかあんな事になるとはこの時は知りませんでした……

「……お母さん?」
 ボクが所長室に着いたとき中から甘酸っぱい匂いが漂って来ました
 この匂いは覚えがあります
 ええ、今ボクが持っているチョコの匂いに酷似しております
 ただその香りはボクが持ってるチョコより遙かに香りが強いんです
 ボクはその香りのする方へ目をやりました
「じょ、冗談だよね……? お母さん……?」
 そこには一つのチョコが座って居ました
 比喩表現ではなく、まさしく人間大のチョコ……の像が座っているのです
 そのチョコの像は珍しいことに服を着ていました、ええ珍しいことに
 顔は満面の笑みを浮かべ正に幸せの絶頂な……お母さんの顔をしてるのです
 悔しいぐらい似ています、と言うか本人じゃないかと疑いたくなります
「……」
 でもそうなら何故こんな事をするのか? もしくは何故こうなったのか?
 全然分かりません、どう考えてもボクには理解することは出来ません
 ……仕方ありません、考えても埒があきませんしもっと調べるため近づく事にしました
 その時です
 ズルリ
「あっ……!?」
 ボクは間抜けなことに……こけたのです
 バランスを崩したボクはそのまま、まるで引力に引きずり込められるようにお母さんの形をしたチョコの像にダイブしていきました
 ボクの唇とチョコの母さんの唇は、いわゆるキスの形でせっし
 手は堅い胸の方へ揉むように触れていました
「ちょ……うあ……え……?」
 ボクの唇の中でチョコが広がっていきました
 まるで浸食していくようにチョコはボクの体に広がっていくです
 すぐさまなにかおかしいと思い、すぐさま唇と手を離そうとしました
 でもボクの唇と手は言うことを聞かず、まるで接着剤で固定されたようにピッタリくっついているのです
「……!?」
 涙目のボクをよそにチョコはその支配領域を増やしていきます
 手から腕へ、腕から肩へ、肩から胴へ、胴から下半身へ
 その一方唇から鼻へ、鼻から瞳へ、瞳から顔全体へ
 甘いチョコへの変化はボクの動きと、そして意識を奪っていきます
 心のなしか気持ちよくて……眠気がしてくるのです
 段々とその眠気は酷くなる一方で、このまま本当に寝たくなってきました
 多分ここで寝たら一生元に戻れなさそうだけど……ボクはそれでも良いと思ってきました
 なぜなら、ボクは今大好きなお母さんの傍に……ずっと……いられる……ので……す……か……ら

CASE_2 水神の場合
 こんにちは、私はこの固めデカには初登場となります戦課第13番副隊長水神と申します
 種族はそうですね……タツノオトシゴのハーフです性別は女です
 前回、隊長の風祭様が登場してるのに副隊長であるこの私が登場しないのはおかしすぎます!
 ここは戦課の名誉のためにも格好いいところを見せなければいけませんね……!
 っと、メタな発言はここまでにしておいて
 今日は2月14日、世間ではバレンタインデーであります
 好きな人に愛とチョコを贈るという日
 独り身にとっては今日という日は地獄です……特に男性は(今年から逆バレンタインというモノがあるようですが)
 そんな日に私は誰にチョコを贈ると言うと……
「風祭様……いらっしゃらないのかしら?」
 同じく戦課13番隊長風祭 一様……私のあこがれの人です、私の目標となる人
 そして、私が最も好きな人
 そりゃ、どうしようもなくショタコンで一度暴走したらなかなか止まらない人です
 でもそれでも……風祭様はすばらしい御方と、私は思っているのです
 戦闘に関しては超一流、そして部下を大変大事にしてくる人です
 世間ではやれ切り裂き魔とか、やれショタコンとか言われておりますが……そんなの風祭様を見てないだけです!
 本物に触れればきっと……っと、おほん
 それにしてもさっきから変なんですよね
 ピンポーン
 こうやって寮の呼び鈴を鳴らしても誰も来ないんです(ちなみに5分おきに1回鳴らして10回はすでに鳴らしました)
「仕方ないですね……」
 私は能力を――モノの流れを感知・操作する能力を使用して辺りに人がいないかチェック
 誰もそばにいないことを確認した私は……
 体を限界までひねり……
「風祭様……すみません」
 ドコォ!
 ドアに強烈な回し蹴りをかました
 その結果鉄製の堅いドアは見事に粉砕していきました
「緊急事態ですからね……いたし方ありません!」
 誰も反応してないのを確認した後私は風祭様の部屋へと急ぎました
 そこ不法侵入とは言わないでくださいね?

「何この匂い……?」
 私がこの部屋に入って初めに訪れた違和感
 それは濃密なまでの甘酸っぱい……チョコの香り
「風祭様は……何処……?」
 私は能力を再び使用してあたりを探りました
(おかしい、呼吸の流れが感じれない……でもさっきまではここにいたと思われる『流れ』がある……)
 私は慎重にその流れにそって、流れたが途切れてると思われる……寝室にまで移動をしていきます
 途中、誰かいないか辺りを探ったりしましたがどうやら私しかいないみたいです、ええどうやら
(風祭様に何があったの?)
 不安が私を支配していきます
 私の大事な、大事な風祭様に何かあったら……!
 その事だけを思い私は急いで寝室へと向かっていきました

「これは、どう言うこと……?」
 寝室についてみるとベッドの上には風祭様がいました
 全身をチョコに『変えられた』姿で
 ええ、『塗られた』じゃなくて『変えられた』です
 それは普通の人が見ればチョコの塊ですけど、戦課に勤める私にはそれが何かの手によって変えられたと直感でわかりました
「風祭様……どうしてこのような姿に……」
 そして、私は風祭様の無事を確かめるために……風祭様の服を脱がせました
 ええ、わかってます『何をしてるんだぁ! 貴様ぁぁ!』と言いたいんでしょ?
 あれです、邪魔(衣服)が少ない方がより力を使いやすいんです
 そういうことにしてください
 苦労して服を脱がすことに成功した私は下着姿の風祭様をまじまじと見つめふと思いつきました
 このままじゃいけないと
 私はピンク色のブラジャーをそっと外し、白色のフリル付のパンティーをずらしました
 ぷっくりと丸みを帯びたままチョコになった乳、チョコの若草が多い茂る秘所
 それらが私に更なる性欲をもたらしめます
「……」
 そして……今度は自分の服と下着を脱ぎました
 ……あれです、普段は遭遇しえない状況ゆえに、思考が暴走してるんですきっと
 でもここまできたら後戻りは不可能です! 全速前進です!
「風祭様ぁぁぁぁぁ!」
 ダイブ・イン・風祭様
 私の唇はトリュフチョコの様な柔らかさを持つ風祭様の唇へ、私の指はぎっしりと詰まった風祭様の乳房へ
 そして私の秘所は……繊細で糸のようなチョコが多い茂る風祭様の秘所へ
 それぞれ捧げました……
 その甘く、そしてほろ苦い味は私を幸せに引き込んでいきます
 まるで一体になっていくような感覚を私に……
「ああ、風祭様……私は幸せで、ングゥ!?」
 ……って、一体化どころか触れた場所のチョコが広がってまさしく同化してきてる……
 気づいたときにはすでに動ける状態じゃありませんでした
 ええ、風祭様と私の体が合体(ユニゾン)したその状態は傍目に見てもR18なのは確定で……
 ……まずことになったと思いましたよ、そしてそれが回避できない状況なのも
 だんだんとチョコになっていくその状態で私は後悔しました
 せめて服ぐらいは着とくべきだったと
 まあ、もう遅いんですけどね……

〜そして真相〜
 
 私、狐固は今日という日が楽しみです
 なぜかってそりゃあ、あれですよ……私の仕掛けた悪戯が花開く日ですもの
「ちゃんと食べてるかな〜?」
 私の手にあるのは『チョコ化薬』
 この『チョコ化薬』の入った物を食べるとその体はチョコに変わるのです、ゆっくりと気づかれずに
 でもそれだけじゃないんですよ? そのチョコと化した生物を何らかの方法で口にしたら、今度はその生物もチョコ化と言うすばらしい仕様なんですこれが
 まあ、効果時間が永続ではなく1日しかないし、二次感染したモノも感染者が元に戻れば元に戻ると言う欠点がありますが、それでもすばらしいですこの薬は
 今回のターゲットはいつもの石華ちゃんではなく、固め課の所長、ヴィオナ・フィーゲルト、そして第13課隊長風祭 一です
 ええ、なぜ石華じゃないといいたいんでしょ?
 答えは冒険は必要ですし、実は必勝法がありすから
 で、その必勝法は?
 簡単です『クリス名義の手紙付のチョコを渡す』これだけです
 これだけで二人は食べてくれます、ほぼ確実に
「さて、どうなってるのか〜?」
 私はクスクスと笑いながら席を立ち、様子を探るべく二人の元へ向かったのでした
 
 ……まさかこの事が石華に録音さていて、そのせいでこの後(主にホワイトデー)にひどい目に会うとは露知らず


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