氷の泉

作:灰音穂香


プールでは少女達が戯れていた。

水が跳ね、絶え間無く、波紋を作る。

そして…



ゆっくりとプールの水が凍っていった。

少女達はプールが凍るのにも気付かず。

自らの体を氷に包ませた。

紺のスクール水着も白くなり。

肌も水着と同じ色になる。

水に顔をつけて泳いでいた少女は水しぶきをごと凍り。
プールの隅で談笑していた少女も氷に包まれた。

プールに入り体を水に濡らした物は皆、氷の結晶に身を包まれた。

プールに動く物は誰もいない…みんな凍ってしまったから…。


否…一人だけ動く者がいた。

「くす…」

白い着物を着た少女であった。

唐突に…少女の姿が消える…。

そして凍りついた少女達も…




消えた。


ここ、数年の間、プール等の水辺での失踪事件が相次いで起こっている。

だが…事件は何の手掛りも無い…。

今日も又、水辺で少女達が雪女によって凍らされ、何処かへと連れ去られる…。


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