作:灰音穂香
一
人は快楽を追い求める生き物である…。
その言葉に僕-はしもと橋本かずき一樹(はしもとかずき)-も賛成だ…。
それは子供も同じだと思う…。
でも快楽とは一時的なもので長く感じることはできないものだとも思う。
「カズ…く…ん、やっ、あっ、あっ」
幼馴染みで恋人であるいながわ稲川あやの綾野(いながわあやの)が腰を落とす。
彼女の体重でペニスが深く膣に入りこむ、僕は腰を突き上げる。
たぷっ、たぷっとお尻が淫らな音をたてる。
気持ち良くてすぐに絶頂を迎えそうだ…。
「つっ…」
そして…僕は絶頂に…達した。
「ふぁぁぁぁ!」
僕も綾野も絶頂を迎える。
この瞬間がたまらない…でも…何か物足りない……何か満たされない何故…などと考えていると行為を終えた後の倦怠感か僕は眠ってしまった。
二
「カズくーん早く」
綾野が大声で僕の名を呼ぶ。
日曜日、僕と綾野は美術館を訪れていた。
世間でいうデートというものだ…。
「はいはい…」
苦笑しながら綾野に向かって走る。
『快楽展』…そう名付けられた催しが美術館では行われていた。
…快楽展
男女が性交為をしている様子を模した多数の彫像が話題を呼んでいてこの美術館で毎月行われている催しだ。
何故話題を呼んでいるかといえば彫像の表情がリアルだからだ。
そう…まるでさっきまで性交為を行っていたカップルをそのまま彫像に変えたように…。
(しかし…どうしたらこんなに気持ちよさそうな表情になれるのかな)
などと考えていると。
「アンケートにお答えいただきたいのですがよろしいですか?」
美術館の職員とみられる女性が僕と綾野に声をかける。
「あっ、はい」
僕が返事をすると女性が僕達を事務所とみられる小部屋へと案内する。
僕と綾野が部屋へ入ると…。”
バタン”っ
とドアを閉められ四方からガスを噴きかけられ僕達は意識を失う。
三
それからどれだけ時間がっただろう…目が覚めると僕達は裸で寝かされていた。
周りは良く見えない…霧のようなものが有るからだ。
とりあえず僕は横で気を失っている綾野を起こす。
「ん…ちゅっ」
綾野の柔らかな唇が僕のそれに重なり、重ねた唇で舌を挟み吸い込んだ。
それだけで僕のペニスが固く勃起する。
綾野が僕の唇に自らのそれを重ねた瞬間、霧が晴れる。
そこには驚愕の光景が広がっていた。
マジックミラー越しに多数と僕と同じ位の歳の子供が性行為を行っていたからだ…っ
と言っても僕が驚いたのは乱交にではない…。
行為を行っている子供達の肉体に変化が起こっているからだ…。
『ふぁぁぁ!』
『あぁぁっ!』
目の前の二人が絶頂を向かえたらしい…
二人の体は痙攣したようにビクンっと震える…。
そして変色部がピキピキと音を立てて全身に広がっていき二人は石像に変わった。
「へっ?」
混乱する頭を落ち着かせようと周りを見回す。
・・・・先程の二人と同じように子供達は絶頂を迎え彫像へと変わっていく…。
あるものは蝋人形にあるものはブロンズ像に又あるものはガラスへとその肉体が変わっていった。
「なに…これ?」
頭が混乱し、思わず呟く…。
「ここはね…」
呟いた一言に答えたのは綾野だった。
「ここでは快楽展に出展する像を作っているの…でね…彫像になっても意識は残ってずっ
と気持ちいい状態でいられるんだって…」
そう言って綾野は微笑む…。
「なん…」
「なんでそんなこと知ってるのかって?」
綾野は顔に微笑みを浮かべて続ける…。
「この美術館で彫像のモデルを募集してたの…それでね私、ちょっとそういうのに興味があってね…」
そこでこの快楽展の全貌を知ったのだと綾野は語る。
「ごめんね…迷惑だった?」
綾野が目に涙を浮かべて僕を見る。
「いや…」
そう言うと綾野の唇に僕のそれを合わせた。
5
「挿るよ…」
「うん…」
ただ唇を合わせただけで僕のペニスからは先走り汁が…綾野の膣からは愛液が溢れていた…。
僕は綾野を床に仰向けに寝かせペニスを挿入する。
“プチュッ”と湿った音と共にペニスは膣に何の抵抗もなく滑り込んだ。
それだけで…ただそれだけで…快楽が全身を駆け抜けた。
「っつ!」
射精…。
それと同時に“ピシッ”と氷が張るような音が足下からした…。
足元を見ると…爪先から踵にかけて青白い氷の結晶に覆われていた…。
どうやら僕達は氷像になるようだ…。
「凍っちゃうね…」っ
と綾野…。
「うん…」
頷き腰を動かす。
不思議と恐怖は感じなかった。
腰を動かすと同時に氷の結晶が足を登っていく…。
「っつ!」
何度、綾野の膣内に射精しただろうか…。
氷の結晶は既に結合部にまで達し床には溢れた精液と愛液が凍りついた…。
綾野も同じ状態だった…膣内は冷たく秘肉は動くことはない…。
それでもまだ…射精しそうだった…。
「かずくん…」
僕は頷き綾野と再び唇を重ねる…。
結晶がすごい勢いで背中を駆け上がっていく。
唇を合わせるまでは腰の所までしかなかった氷が顎のところまで達しそれからお互いに重ねた唇も凍りつく…。
そして目の前が白く塗り潰され僕達は凍った…。
6
数日後…快楽展に新しい彫像が加わった…。
12才位の眼鏡をかけた大人しそうな少女と少女より三才程年下に見える少年の石像。
女装した少年と活発そうな短パンをを履いた少女の蝋人形。
小学校低学年位の少年と少女のガラス像…。
未だ幼稚園に通っているような幼い子供のブロンズ像。
そして…一樹と綾野の氷像が…。
彫像はどれもお互いの性器を貪り、あるいは性器を合わせ、快楽に満ちた表情をしていた…。
今日も又、永遠の快楽を感じながら子供達が彫像へと変わっていくのだろう…