ボールで投げて固めよう

作:灰音穂香


「ふっふっふっ、かんせーい」

女生徒が手にボールを持って妖しげな笑みを浮かべている。

彼女の名は水原七瀬(みずはらななせ)、発明部の部長である。

「えーと…またですかー」

そう言ったのは身長が150cm程の男の子、彼の名は長谷川勇馬(はせがわゆうま)こんな低身長なショタキャラでも一応、高校二年生である。

「うるさーい!」

でもって悦に入っていたのを邪魔された七瀬がきれてボールを勇馬に投げつける。

でもって、ボールが破れて中身が勇馬にかかる。

“ブワッ”っと白い靄が広がる

「ちょ…部長…」

眼鏡をかけた少女、木橋水菜(きのばしみずな)が慌てる。

「何を…」

眠たげな目をした少女-茅野実由(ちのみゆ)が目を見開いて驚く。

「ふっふっふっ…」

何故ならば…

靄が晴れたそこにいたのは勇馬であって勇馬でないからだ。

“コンコン”っ

と勇馬だった物を軽く叩く七瀬。

「うん、見事に固まってる」

そう、勇馬は固まっているのである。

ボールをぶつけられ少し驚いた表情で。

「ふっふっふっ」
でもって七瀬は顔に妖しい笑みなんぞを浮かべちゃっているわけである。

更に手には勇馬にぶつけたものと同じ形状のボールを二つ。

但し、色が違う、先程勇馬にぶつけたのが白いボールであったに対し、ひとつが青、一つが灰色である。

「これはね…ボールの中に生き物を固めちゃう薬品が詰まっているのだよ☆」

聞いても無いのに説明を開始する七瀬。

「さっき勇馬にぶつけたのはちょいと特殊な蝋」

青いボールを持ち、水菜に向けて投的。

「ひゃう」

でもって青い靄が勇馬の時と同じように水菜を包む。

でもって靄の中から“ピキピキ”っという音とともに「寒い、凍っちゃいます!」等と水菜が悲鳴を挙げているが七瀬はもちろん無視。

靄が晴れると水菜は氷像と化していた。

ずれた眼鏡からは氷柱が垂れ下がり、その下の瞳は恐怖に歪んでいたりした。

「部長…」

「何かね茅野研究員?」

「ちゃんと元に戻るんですよね?」

「当たり前だよー、私がそんな危ない実験なんてすると思う?」

実由の質問に微笑みで答える七瀬。

「わかりました」

降参しましたとばかりに手を上げる実由。

でもって、我等が化学部の部長はそんな実由に最後の一つを投げた。

こうして実由は石像になっちゃった訳である。


んで、部長は固まった三人を三時間程鑑賞して、デジカメに納めて元に戻した。


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