五人の娘

作:愚印


お姉さん:お姉さんと!!
ケ□タン:ケ□タンの!!
ふたりで:世界の民話を読みましょうコーナー!!

パフパフパフ

お姉さん:よいこのみんな、元気にしてたかな?お姉さんは元気でーす。
ケ□タン:ケ□タンも元気だよー。
お姉さん:みんな、今日も元気にがんばろー!!
ケ□タン:おー!!

ケ□タン:おねえさん、おねえさん。
お姉さん:なあに、ケ□タン?
ケ□タン:今日はどんなお話を読んでくれるの?
お姉さん:今日はね、北の国に伝わるお話よ。
ケ□タン:うわー、楽しみだな。
お姉さん:題名は『五人の娘』。どう?面白そうでしょう?
ケ□タン:へー。ねえねえ、早く、聞かせて!!聞かせて!!
お姉さん:わかったわ、ケ□タン。それじゃあ、よいこのみんな、静かに聞いてね。


 『五人の娘』(北方の今は亡き国の民話)
   語り:お姉さん

 五人の娘が夜遊びで遅くなり、帰り道を急いでいました。

 一人の娘が急ぐあまり、足を滑らせて池に落ちてしまいました。
 残された四人は、近くにあった農夫の家へ助けを求めました。
「私たちを助けてください。仲間を助けてください。」
「皆さん、落ち着いてください。早口すぎて聞き取れません。」
「申し訳ありません。」
 農夫は言いました。
「ところで、お前たちの言う仲間とは、これの事かね?」
 そこには、先程池に落ちた娘が石になっていました。
 四人の娘はわき目も振らずに逃げ出しました。

 四人の娘は雨の中を必死に逃げました。
 一人の娘が急ぐあまり、足を滑らせて川に落ちてしまいました。
 残された三人は、近くにあった兵士の家へ助けを求めました。
「私たちを助けてください。仲間を助けてください。」
「三人とも、落ち着いてください。早口すぎて聞き取れません。」
「申し訳ありません。」
 兵士は言いました。
「ところで、お前たちの言う仲間とは、これの事かね?」
 そこには、先程川に落ちた娘が石になっていました。
 三人の娘はわき目も振らずに逃げ出しました。

 三人の娘は雨の中を必死に逃げていました。
 一人の娘が急ぐあまり、足を滑らせて谷底に落ちてしまいました。
 残された二人は、近くにあった商人の家へ助けを求めました。
「私たちを助けてください。仲間を助けてください。」
「二人とも、落ち着いてください。早口すぎて聞き取れません。」
「申し訳ありません。」
 商人は言いました。
「ところで、お前たちの言う仲間とは、これの事かね?」
 そこには、先程谷底に落ちた娘が石になっていました。
 二人の娘はわき目も振らずに逃げ出しました

 二人の娘は雨の中必死に逃げていました。
 片方の娘は急ぐあまり、足を滑らせて海に落ちてしまいました。
 残された娘は、近くにあった漁師の家へ助けを求めました。
「助けてください。仲間を助けてください。」
「落ち着いてください。早口すぎて聞き取れません。」
「申し訳ありません。」
 漁師は言いました。
「ところで、お前の言う仲間とは、これの事かね?」
 そこには、先程海に落ちた娘が石になっていました。
 娘はわき目も振らずに逃げ出しました

 娘は自分の家へ何とか辿りつきました。
「おかえり。どうしたんだい。そんなに怯えて。」
「お父さん、人間が石に変わったの。信じて。本当のことなの。」
「お父さんはお前の言うことを信じるよ。」
「ありがとう。ねえ、ところでお母さんは何処へ行ったの?御買い物?」
「お前の言うお母さんとは、これの事かね?」
 そこには娘の母親が石になっていました。
「いやー!!」
 娘は絶叫し意識を失いました。

 娘は目を覚ましました。
 そこはいつも寝ているベッドの上でした。
「なんだ、夢か。」
「お前が見たのは、こんな夢かね?」
 何処からともなく、声が聞こえます。
 彼女の身体は、石になっていました。
 安堵の表情を浮かべたまま、娘は石になっていました。
「ねえ、これも夢なんでしょう?」
 しかし、答えは返ってきませんでした。

 おしまい


お姉さん:どう?面白かったかな、ケ□タン?
ケ□タン:なんか、むずかしかった。
お姉さん:そう?わかりやすいお話だと思うけど。ケ□タンには早すぎたのかな?
ケ□タン:夜遊びは、しちゃいけないってことだよね。
お姉さん:なんだ、ケ□タン。わかっているんじゃない。
ケ□タン:ねえ、なんで夜遊びはいけないの?お姉さん?
お姉さん:えっ、それはそのう…。夜は暗いし危ないからかな…。
ケ□タン:お姉さんは夜遊びをしたことあるの?
お姉さん:うっ……。
ケ□タン:夜遊びってどんなことをするの?
お姉さん:それは…。
ケ□タン:暗い時にする遊びってなに?
お姉さん:…………。
ケ□タン:ねえ、お姉さん?お姉さん?何で答えてくれないの?ねえ、お姉さん?
誰かの声:お前の言うお姉さんとは、これの事かね?
ケ□タン:えっ?







 終わり


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