カタ迷路 終章 「栞」

作:G5


私は走った。
彼女はいった。大丈夫と。追いかけてくると。
それを信じ、私は走る。それが彼女との・・・約束だから・・・


私が連れて来られたとき、一人の少女にあった。
私と同じ歳で、12歳だった。
同い年の人に会えたことで安心していた私だが、
その少女はすぐにいなくなる。
1階の罠に落ち、粘液の中で石となった。
それが怖くなり、2階への階段を駆け上り、走った。
そのあと突然聞こえた悲鳴にびっくりして、近くの隙間に隠れていた。
その時声を掛けてくれたのが琴音だった。
彼女が話しかけてくれなければ私はあのまま
罠にかかりやられていただろう。


それから私は彼女と行動を共にした。
彼女が私を守ってくれたから私は心を折らずにここまでこれた。
雫さんの一件で絶望の淵にいた琴音を
どうしても救いたかった。
彼女のために雫さんを少しでも傷つけないように守ろうとした。
それが彼女にはうれしかったらしく、ありがとうといってくれた。
しかし、そんな彼女は最後に私を逃がすために
自分を犠牲にした。
分かってる、彼女は追いかけて来ない・・・・
なら、そんな私が彼女にしてあげれることは一つ・・・
「琴音・・・あなたの気持ち、無駄にしない・・・」
私はなんとか地図を片手に迷路を進む。
10階にたどり着いた私はゴールの階段を見つけた。
階段の奥は光があふれていた。
私は突き進む。
階段を駆け上がり、私は・・・外に出た・・・


そこは都内の地下鉄の出口だった。後ろを向くとそこには
普通の通路があり、いままでさ迷ったあの迷路はどこにもなかった。
夢だったんだろうか・・・?
しかし栞の手にはあの地図が握られている。
夢じゃない・・・栞は確信する。
「琴音さん・・・見ててください。必ずあの迷路の謎を解き、
 あなたを助けだしてみせますから。待っていてください・・・」

栞は決意を新たに人ごみの中に消えていった。



萩百合 栞・・・迷路脱出


戻る