Princess Holiday ラピスの日常〜失敗は固めの元?〜

作:デュール


得意な事がある人でもはたまに失敗する事がある
これは一人の少女が失敗し、物へと変わったお話

「ふぁ〜・・・・ピア〜おはよ〜」
彼女の名前は『ラピス・メルクリウス・フレイア』
シンフォニア王国の外の湖のほとりに住んでいる、見慣れない格好をした魔術師少女
『ピア』という名前は彼女と一緒にいる黒い可愛らしい子猫
「にゃ〜・・・」
ラピスの挨拶に反応するピア
そしてラピスは大きく背伸びをし
「さて・・・・今日もがんばりますか!」



「・・・・・とはいうものの、何をがんばればいいんだろう・・・・・」
ため息をつきながらイスに腰掛けているラピス
「・・・・う〜ん、釣りは何かやる気が無いし・・・・・」
すっかり困り果てるラピス
「う〜ん・・・・」
悩んでいるラピスの前にピアが何かを持ってきた
「あ〜・・・だめだよ〜勝手に持ってきちゃ〜・・・・・・ん?」
ピアが持ってきたのは古い本
「見慣れない本だなぁ・・・・・あれ?」
ぱらぱらとめくりながら見るラピス
ラピスが見た本はどれも見たことがない薬の作り方だった。
「お〜・・・・これ見た事無い作り方だ〜、どういう薬かはわかんないけど・・・・」
ラピスの目線はピアに向け
「ピアに飲ませればいいか!」
「ふにゃ!・・・・にゃーにゃー!!」
「早速材料に集めに行こう」
とラピスはピアのツッコミを無視してその薬の一つの材料を集めにいった。



何時間経ったのか、ラピスは材料と何かを抱えて帰ってきた。

ごとん・・・

その何かとは石像だった。
「ふぅ〜・・・・まったく世話が焼けるよ〜」
女剣士の形をしている石像は『エレノア・フォートワース』
彼女はシンフォニア王国の姫『レティシア・ラ・ミュウ・シンフォニア』の護衛役でもある。
彼女はラピスと一緒に材料探しに行ったが、油断し魔物によって石像にされている。
『しまった!』と今にも言いそうな表情のまま、振り返った格好のまま冷たく固まっている。
「まぁ・・・・無理もないけどね、あんなに魔物多かったからね・・・・」
「にゃ〜?」
エレノアの石像をぺしぺしと叩くピア、ラピスはそれに気づき
「あぁ〜だめだよ、ピア〜・・・・よっと」
「ふにゃ?」
ピアを抱え、エレノアの肩の上に乗せる。
「ピア〜、ちょっとの間ガマンしてね〜」
「にゃ〜」
嬉しそうに鳴くピア、その後はいつも通りにゆっくりし始めた。
「さて・・・・始めますか!」


本の通りに薬を作っていくラピス、彼女の得意分野なので難なくこなしていく
「あとは・・・・これを入れてよくかき回す・・・・と」
入れた数秒後何となくラピスの体が痺れ始めた。
「あ・・・・れ・・・・?」
自分の体を見ると石像になっていく
「い・・・・・石になってる?」
かき回していた杖も石になっていく、ただ石になっていないのは金属部分のみ

動かなくなっていく魔術師少女、石化の恐怖から逃れたい一心だが体が痺れて動けない。
『ぴしぴし』という音、その音は彼女の全てを変えていく
「やっぱり・・・・・代わりの薬草入れなかったほ・・・う・・・が・・・・・」
口が石化し言葉がなくなり、片目も石化し完全に絶望状態だった。
(ピア?・・・・・もしかして逃げちゃったの?・・・・・こんなときにぃ〜・・・・)
ラピスは石像になっていく、彼女が残された選択はただ石像になっていく事しかない。
(もしかして・・・・・誰も助けに来ないのかなぁ?)
片方の目も石化し目の前が見えなくなったラピス
ラピスの心情はただ絶望のみ
(・・・・・・クリフ・・・・・わた・・・・・し・・・・・・)
そう思いながらラピスはエレノアと同じ物言わぬ石像へと化した。
ラピスは石化によって全てを奪われた、いつ彼女の目が覚めるのかは分からない。
通りすがりの人に助けられるかもしれないか、運が悪ければ一日後かもしれない、いや一ヵ月後かもしれないか一年後かもしれない。
もしかしたらこのままずっと石像のままかもしれない。


彼女の結末は誰も知らない・・・・


おわり


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