蜂使い

作:牧師


秋の行楽シーズン。

人々は山にキノコや山菜、紅葉した景色を求め、足を運んでいく。
山に潜んでいた魔族は品定めをすると、一人の少女の首筋に黄色の蜂を向かわせた。
「痛いっ、ああ、きゃあぁあっ」
一人の少女の悲鳴が山奥にこだました。
鉢に刺された彼女の体は金縛りに掛かった様に痺れ、足元からゆっくり石に変わる。
『体が動かない、何が起こってるの?』
少女は自らの体に起こる変化に気が付く間も無く、完全に体の自由を奪われていた。
石化は進行を止める事無く、足から腹部へと灰色の冷たい石に変えて行く。
魔族の男は蜂を回収すると、少女に向かい歩み寄っていく。
「この時期になるとキノコ狩りや山登りか、いい気なものだ」
少し笑みを浮かべた顔をして、少女の顔を手で優しく撫でた。
『この人誰?どうして私の顔を撫でてるの?もしかして私を助けに来てくれたの?』
目の前に歩み寄って来た美形の魔族に、少女は淡い期待を抱いた。
「では精気を直接頂くとするか」
魔族は少女に唇を重なると、ゆっくりと優しく精気を味わう様に吸い始めた。
左手をしなやかに腰に回し、右手で優しく頭を支えていた。
『え?え?キスされちゃった。突然だからビックリしたけど、この人なら良いかも』
少女の不満と言えば、目を閉じたかったが、体が指一本動かせない事位だった。
魔族が直接精気を吸い始めた事により、少女の形の良い胸も石に変わって行く。
『なんだか頭がくらくらする、私、どうしたのかな?』
精気を吸われ、少女の意識が徐々に薄れていく。
山登りの為にリボンで束ねた長い髪も、黒から灰色の石に変わって行った。
『んっ、景色が・・・霞んで・・・』
少女の眼も光を失い、ゆっくりと灰色の石に変わり、瞳に映した景色を消して行った。
魔族は少女の精気を吸い尽くし、ピンク色のリップが塗られた柔らかい唇が
灰色の硬い石に変わっても、少しの間唇を離さなかった。
「精気を吸い終わったか。ひずみにある屋敷の一室でコレクションに加わるが良い」
魔族は石像に変わった少女を、ひずみに送り込むと、次なる獲物を探しはじめた。

山を歩いている三人の女性が魔族の眼に捉えられた。
右の女性は茶色い髪のショートカット、小振りな胸、細い手足が特徴的な女性。
左の女性は金色に染めた背中に届くほどの髪と、豊かな胸が魅力的な女性。
真ん中の女性は漆黒な程に黒く腰まで伸びた髪と大きな黒い瞳が魅力的な女性だった。
「真ん中の娘は好みのタイプだな。この私が好みなどとは、人だった頃の名残かな」
魔族の男は独り言を呟くと、二匹の紅い蜂と一匹のオレンジ色の蜂の二種類を
女性達目掛けて解放った。
「イタッ」
「ひぃっ」
「きゃぁぁぁっ、えっ何この感じ?もしかしてこれって、んんっ、ひゃぁぁん」
二人の女性は激痛で気を失い、魔族の好みの女性は絶頂に達し、そのまま気を失った。
気を失った三人を直接ひずみに送り、魔族も空間に溶ける様に姿を消した。

「気が付きましたか?」
魔族の男は紳士的な態度で、微笑みながら優しく女性に話しかけた
「此処は何処?きゃぁ、どうして裸なの、まさか貴方が?!」
女性は裸にされ、見事な装飾の施された部屋の大きなベットに寝かされていた。
白いシーツで体を包み、魔族の男を少しにらんだ。
「失礼、貴方達は蜂に刺されて山で倒れていたので、発見した私がここにお連れして
 手当てをしていたんですよ。裸にしていたのは治療の為です」
「ごめんなさい、助けてくださった貴方に失礼な事を言いました。許して頂けますか?」
魔族の男の嘘である、しかし女性は魔族の容姿と口調に騙され、完全に信用していた。
「突然の事ですから仕方がありませんよ、何処か痛い所や違和感はありませんか?」
女性は体の感触を確かめ、ある異変に気が付いた。
「あっ、そんな・・・」
胸と下腹部に異変が起きていた。しかし、男性に言い難い症状だった。
「ああ、蜂に刺されて交感神経が刺激されたのかも知れませんね。気にする必要は
 ありませんよ。薬を取ってきましょう」
魔族の男が背を向けた時、女性は勇気を出し声をかけた。
「あの、薬じゃなくて、他の方法で解決しませんか?」
女性は白いシーツを自ら脱ぎ捨て、魔族の男を誘いはじめる。
「私の事は美雪と呼んでください」


「んっ、ちゅっ、ちゃぷ」
美雪と魔族の男は情熱的なキスをかわしていた。
魔族の男は胸を優しく包み、揉み扱き、時に強く摘まんだ。
「ひゃあん、良い、すごく良いです。もう、我慢できません。此処にください」
美雪は体の位置を入れ替え、魔族の男に乗り掛かり、騎乗位の体勢になると、
強引に男の陰茎を自らの膣内に咥え込んでいった。
「ああん、良い、凄く大きくて硬いです。こんなの初めて!!」
美雪は魔族の体の上で、貪欲に快楽を求め、自らの裸体を何度も弾ませていた。
体が弾む度に、美雪の胸が大きくタプンタプンと揺れていた。
美雪の体は気が付かないうちにゆっくりと、しかし確実に石化し始めている。
硬化を始めた髪の毛の先が、男の体にチクチクと刺激を与えていた。
『しまった、この体位だとこうなるか、仕方ない少し惜しい気もするが終らせるか』
魔族の男はそう決めると、精気を吸い始め、それと同時に石化の進行は加速する。
「体が、動きにくくなって・・・どうして?」
美雪は自らの身に何が起きているのか、この時点でさえ分かっては居なかった。
「そろそろ終りにさせて貰おう」
魔族は美雪の中に疑似精液を放つと同時に、首筋の後ろに蜂を飛ばし針を突き刺した。
「あぁぁぁん」
美雪は絶頂に達した格好のまま、魔族の上で灰色の冷たい石に変わった。
乱れた髪の毛、開いた瞳や口の形、揺れてる胸、引き締まった腰周り、少し反った体、
それらが躍動感を残したまま、美しい形で石に変わり永遠に時を止めた。
「良い出来だ、特別に他のコレクションと違い、私の私室に置いてやる」
魔族の男は石像に変わった美雪を、私室の台座の上に移動させた。

「そっちも終ったみたいね」
魔族の女が男に後ろから話しかけた。
「ああ、ルーアも残りの二人で存分に楽しんだんだろう」
ルーアは美雪以外の女性に催淫の術を掛け、散々弄んだ後、石化させていた。
「二人とも良い声で喘いで、美しく背徳的な石像に変わったわ」
ルーアはクスクスと笑い、男に話しかけた。
「せっかくルーアに貰った力だ、存分に楽しませて貰うよ」
男はルーペ型の魔族だったルーアに力を貰い、女性達のを石に変え精気を送り続け、
人型魔族にまで育て上げていた。
「流石はわたしの見込んだ人ね。頼りにしてるわ」
ルーアと男は妖しく笑い合うと、獲物を探しに山に移動して行った。

山には様々な色の蜂が次なる獲物を求め、道行く女性達を品定めしていた。


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