アキラVSアキハ〜その後〜

作:バジリスクの目


私、アサウエ女学院中等部の瀬尾アキラは女学院から転校した遠野アキハに内緒で、転校先の高校の文化祭に来ていた。そこで、ある事件で知り合ったアキハ先輩の兄、遠野シキに案内されながら文化祭を楽しんでいたが、お昼時、ひょんなことで遠野アキハに見つかってしまう。

「ゆるしてください!!遠野せんぱ〜い!(泣)」
アキハ先輩に首根っこを捕まれた私は為す術もなくずるずると引きずられていく。
「許すも何もないでしょう?『ただ』、あなたとふたりきりでお話しするだけですから・・・(クス)」
「ひ〜〜ん(泣)」
その後もひきずられたまま、私は使われていない教室につれてこられてしまった。

(カチャッ)

と、アキハさんはドアの鍵をかけた。これからどんなおそろしいお説教が始まるのだろう・・・。ドアからアキハさんから教室のちょうど中央にいる私に近づいてきて、向かい合う格好になった。
「遠野先輩!先輩にご連絡しなかったのは本当にごめんなさい!!だから、だから!!許してください。うぅ・・・」
私の懇願を受け流してアキハさんが
「まさかあなたがこれほどやるとは思っても見なかったわ。だから、ちょっと私もホンキを出さしていただくは・・・」
アキハさんは微笑みながら私に話しかけている。私にはその表情がすごく冷徹なものに感じられた。
「本当に、ゆるッ!?」
私がアキハさんに近づこうとするとそこに透明なガラスの壁があるように私は何かにぶつかってしまった。

(えぇ!?な、何これは??)

私はもういちど近づこうとするがやはり、何かにぶつかってしまう。いや、それより周りの様子がおかしいことに気がついた。周りが・・・、まるで周りの背景のセットがあってそれがいっせいに動き出したように変わり始めた。それと同時に目の前にいるアキハさんも大きくなって、えぇ!!

(!?な、何なの?)

ふと気づくと自分が空中に浮いていることに気づいた。それだけではない、後ろが真っ白になっている。目の前には、巨大に写るアキハさん。今の状況がまったく飲み込めず。私はパニックに落ちいった。

私は見えない壁をたたきながら
「こ、これは何なのですか?!」
とアキハさんに聞いた。
「どう?絵札(カード)の中の世界は?」
「絵札の中?!ど、どういうことですか?」
「ちょっとしたことで、手に入れた品物です。まさか、こんなことで使うとは思っていませんでしたけど」
わからない、ここが絵札の中なのだろうか。しかし、今の状況はそれを肯定していた。浮いた体、真っ白な背景。そして、目の前には見えない壁。私はその見えない壁をドンドンとたたいて訴えた。

「出してください!出してください!お願いします。ここから出してくださいよ。遠野先輩!」

私は涙ぐみながら訴えたがアキハさんは
「私は、鬼で、悪魔で、ひとでなしなのでしょう?」
とくすくすと笑いながらいった。

「そ、それは・・・その・・・」
「その私が絵札に閉じ込めた後、どんなことをすると思う?」
そういうと、アキハさんは私の絵札を持ち替えて絵札を引き裂くような格好をする。
「ちょっ!や!やめてください!(泣)」
私は涙目になって祈るように手をあわせて訴えた。

アキハさんが確かに敵とみなした人には容赦のない人だとは思っていたが、決してそんなことをするひとではないことは私にもわかっていた。だから、アキハさんはちょっと悪ふざけでいっているのだろうと思った。しかし、今の私は、アキハさんがその気になれば本当に破かれてしまうような状況にいる。だから、私は今の状況で素直に訴えるしかなかった。

「冗談よ。本気にした?」
「…はぁ…」

私は安堵のため息をついた。
「でもねぇ」

アキハさんはおもむろに胸ポケットから手帳を取り出した。そして手帳を開いて私をそこにおいた。
「と、遠野せんぱい?な、何を?!」
「あなたを手帳にはさんでおくのですけど、なにか?」
「!?…えっ!!」
「そこで、ちょっとおとなしく反省してなさい。安心なさい。ちゃんと出してあげるから」
「そ、そんな!?ひどい!ちょっ、ちょっと、せ、せんぱい!!」
「それでは…」
アキハさんが手帳を閉じる。
「せ、せんぱい!せんぱい!出してくださいお願いします」
私は力いっぱい訴えたが、それもむなしく周りは暗闇に包まれた。
「ふぇぇ〜ん。やっぱり、遠野先輩のおにぃ〜!あくまぁ〜!ひとでなし〜!!(T_T)」

しかし、闇の中からはなんの反応もなかった。
「うぅ…。本当に私、ここから出してもらえるのだろうか…」
何も見えない、暗闇の中で私は徐々に不安になっていった。


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