魔法少女まじかる★ふらりん −転校生は魔法少女の巻−

作:アッリア


「ええ〜〜っ、私が魔法少女!? 」
ひょんなことから、魔法少女に選ばれた賀田目瑠夜ちゃん、17歳。
お供の妖精ポポとともに悪の組織「ASFR帝国」から地球の平和を守っちゃいます。
”ペトラト・ペトラス・ペトリフィケイト〜 カチコチ・カチコチ・カタメール〜”
見ないと固めちゃうぞ!!

主演は「The Soul Taker〜魂狩〜」など、映画や舞台などでも活躍する中原小麦ちゃん。
超人気アイドル国分寺こよりちゃんもゲスト出演。豪華特典としてまじかる★ふらりんの
等身大フィギュアを付けちゃいます。彼女の貧相な胸も忠実に再現。
OVA「魔法少女まじかる★ふらりん」近日発表予定。


ハア,ハア・・・。
息を切らせて走る少女。
肩まで真っ直ぐに伸びた長い黒髪、透き通るように白い肌のまるでお人形さんみたいな少女。
その透けるような白い肌を紅潮させ、懸命に走っていたが、急に一歩も前に進めなくなった。
「きゃっ!!」
彼女のすらりとした足首に赤いものが絡みつき、凄い力で引っ張られていたのだ。
その力に抗しきれずに、バランスを崩し、前につんのめる。
しかし、彼女は地面との激突を免れた。
彼女は・・・・赤い触手のようなものに足首を掴まれ、宙を舞っていたのだ。
「きゃああああっ、あっ、あっ、あ〜〜〜〜〜〜っ!!」
放物線を描いて落下した彼女をがっちりと受け止めたのは、異形の者であった。
カエルのような顔では無く、カエルそのものの顔を持つASFR帝国のASFR獣
ブロンズガマーであった。彼女の足首を掴んでいたのは彼の舌であった。
「あっ、ありがとうございます・・・まぁ」
異形の者に抱えられているにもかかわらず、少し驚いただけで律儀にお礼をいう少女。
育ちの良さがうかがえる。
「あのぅ、おろしていただけますでしょうか?」
丁寧に黒髪の少女を足元におろすブロンズガマー。
きょろきょろと辺りを見回す黒髪の少女。彼女の周りには、忙しなく動く全身黒タイツの男達の姿と、
静かに佇む無数のブロンズ像の姿があった。
ブロンズ像は、まるで生きているかのように精巧な造りの少女像で、
驚き、悲しみ、怒り、苦しみといった様々な表情を浮かべていた。
黒タイツの男達はそれらのブロンズ像をトラックの荷台に手際よく運び込んで行く。
口に手を当て、驚いた表情を浮かべる黒髪の少女。
「・・・もしかして、彼女たちは!?」
「君の想像通りだケロ。彼女達は、その美しさを永遠に保つことが出来るケロ、
素晴らしいと思わないかケロ?」
首をちょこんとかしげて、ぽつりと呟く黒髪の少女。
「・・・そぅ・・・・かしら?」
「まあいいケロ、お前もブロンズ像になれば分かるケロ!」
ブロンズガマーはそう言うと、彼女の細い両腕を水かきのついた手でがっしり掴み、
口をぱっくりと開ける。咽喉の奥からこぽこぽと音がしだしたその時。
「どいて、どいて、どいて〜〜〜〜っ!!」
ラクロスのスティックを振り回して、全身黒タイツの男達を蹴散らしながら、
赤毛のショートヘアの女の子が飛び込んで来た。
「ほのかを放せっ、このカエル野郎!」
手にしたラクロスのスティックを思いっきりブロンズガマーの頭部に叩きつける。
彼女の姿を見て、喜びの声をあげるほのか。
「なぎさ!?」
「・・・ぐぇ!」
カエルの潰れたような声をあげてほのかから手を放し、その場にうずくまるブロンズガマー。
「逃げるよ、ほのか」
「えっ、ええ・・・」
ほのかの手を引きつつ、行く手を阻む黒タイツの男達を蹴散らしながら駆け出すなぎさ。
しかし、ブロンズガマーが行く手を阻むように立ちはだかっていた。
「えっ?そんな・・・」
「そ、そんなぁ〜!ありえな〜〜い!」
彼女達が驚くのも無理はない。
ブロンズガマーは信じられない跳躍力で彼女達を飛び越え、その目の前に着地したのだ。
「逃がさないケロ〜!」
ブロンズガマーの腕が伸び、なぎさの首を掴むと一気に持ち上げる。
「う・・・あっ、は・・はなせ・・・!!」
両腕を振りまわし、両足をバタつかせて必死の抵抗を試みる。
が、ブロンズガマーの腕はびくともしない。
「放して!なぎさを放して!」
なぎさを助けようと駆け寄るほのか。
「黙って見てるがいいケロ!」
彼女のみぞうちに、ブロンズガマーの鋭い突きが入る。
「うぐっ!?」
身体を九の字に折り曲げ、その場に崩れ落ちるほのか。
「ほ・ほの・かぁ・・・」
「まずはお前からブロンズ像になるケロ!」
そう言うと、ブロンズガマーは口をすぼめ、ぺっと白い泡をなぎさの胸に吐き出した。
胸元でじわじわと広がる泡を見て、顔を引きつらせるなぎさ。
「・・な、なによこれ。なにをし・たのっ・・!?」
「すぐにはブロンズ像にしないケロ、ゆっくり苦しむがいいケロ」
ブクブクと音を立てて、みるみる広がっていく白い泡は、なぎさのまだ固さの残る胸の膨らみを
覆い尽くすと、胸元から咽仏、掴まれている首筋、そして顎に沿って這い上がっていく。
そして宙吊りのため、限られた視界に映った自分の身体を見て驚愕するなぎさ。
白い泡がおさまった箇所が、淡い光沢を放つ濃緑色に変わっていたのだ。
「ありえない、ありえない、ありえなぁ〜い」
いやいやするように首を左右に振ろうとするが、絞められているためそれもままならない。
「いいケロ!凄くいい表情ケロ!!」
恐怖におののくなぎさを見て、嗜虐的な笑みを浮かべるブロンズガマー。
「ひっ・・・」
白い泡が彼女の可愛らしい鼻先に到達すると、なぎさは恐怖に耐え切れず白目を剥いて気絶した。
なぎさの可愛らしい顔を、赤いショートカットの頭を、白い泡が覆い尽くすと、
ブロンズガマーの腕を外そうともがいていた腕から力が抜け、だらりとたれさがる。
手からすべり落ちたスティックが地面に当たって、乾いた音を立てた。
脱力した腕を、背中を、そしてポロシャツの下から顔をのぞかせていた可愛らしいおへそを、
黒いスパッツを、黒いスパッツに覆われた腰、太ももを、そしてシューズを白い泡が覆っていく。
ラクロスで鍛えられたなぎさのしなやかな身体は、濃緑色へと変えられた。
ぴくりとも動かなくなったなぎさを地面に下ろすブロンズガマー。
なぎさの爪先が地面に刺さる。
「またひとつ、美しいブロンズ像の完成だケロケロケロケロケロケロケロ!!!」
気絶していたほのかが、ブロンズガマーの騒々しい鳴き声で目を覚ました。
彼女が最初に見たのは、物言わぬブロンズ像と化したなぎさの姿であった。
口を大きく開け、白目を剥き、四肢をだらしなく投げ出したポーズで佇む親友の姿を見た瞬間、
一気に頭に血が上り、ほのかは思い切りブロンズガマーに鋭い回し蹴りを入れていた。
しかし・・・。
「いい蹴りだケロ、だが・・・」
難なく蹴りを受け止め、ほのかの足首を掴むと逆さ吊りにするブロンズガマー
顔を真っ赤に染めて、めくれそうになるスカートを必死に押さえるほのか
「さあ、お前もブロンズ像になるケロ〜〜」
先程とは違い、勢いよく白い泡を吐くブロンズガマー。
「あっ・・・」
白い泡は瞬く間にほのかの全身を覆う。
数分後・・・。
透き通るように白い肌は、すみずみまで濃緑色に染め上げられ、左足はぴんと伸ばし、
右足は折り曲げて、両手はめくれそうなスカートを必死に押さえるという不自然な姿で
恥じらいの表情を浮かべたまま、その動きを止められたブロンズ像が完成した。
「素晴らしいケロ。またまた素晴らしいブロンズ像の完成だケロ。」
再び歓喜の声をあげようとしたブロンズガマー。しかし・・・。
「遅刻っ、遅刻っ、遅刻〜!!」
「ケロケロケロケロケロケロケ・・・グェッ!!」
ブロンズガマーの歓喜の高笑いは、唐突に中断した。
ポニーテールを揺らしながら、焼き立ての食パンを一斤くわえて全力疾走で走ってきた少女が
ブロンズガマーに激突したからだ。
「いたたたたたっ・・・・」
派手にすっ転ぶポニーテールの少女。転んだ拍子に頭でも打ったか両手で押さえて痛がっているため、
スカートの中が丸見えであることに気が付かない。
「きやっ!」
慌てて、跳ね起きるポニーテールの少女。そして、周りを見渡して驚きの声をあげる。
「こ、これは一体!?」
地面に落ちた学生鞄の中から、もこもことした毛皮に覆われた真ん丸い生き物がぽんと現れた。
「瑠夜ちゃん、ASFR獣の反応だポポ!!」
「・・・って、ポポ!毎回、毎回、どーしてこんな近くじゃないと気付かないわけ?
ねぇ?ねぇ?ねぇ?」
真ん丸い生き物−−−ポポのこめかみをぐりぐりさせながら、顔を引きつらせながら質問する瑠夜。
「こ、こんなことしている場合じゃないポポ!!」
「・・・まあ、いいわ。後でゆ〜っくりと言い訳を聞かせてもらうわよ。」
スカートに付いた埃を払うと、びしっとブロンズガマーを指差す瑠夜。
「あなたたち、ASFR帝国ね!!」
ブロンズ像の梱包をしていた黒タイツの男達が作業を止め、瑠夜を遠巻きに包囲する。
「な、なんだと・・!?貴様っ、一体何者だケロ!!!」
「悪党に名乗る名などないわ!!とぅ!!
近くにいた黒タイツの男に掌底を喰らわす瑠夜。そして手馴れた手つきで、次々に襲い掛かる
黒タイツの男達をぶちのめして行く。
「ええ〜い、不甲斐ないケロ!!」
黒タイツの男達を押しのけ、前に出てくるブロンズガマー。
「お前達、ブロンズ像の回収はもう充分だケロ。負傷者を連れて本部に戻るケロ。」
「イッーーー!!」
「シッーーー!!」
黒タイツの男達は右手を高く上げ敬礼をすると、瑠夜に倒された仲間を連れて、
ブロンズ像が満載されたトラックに乗り込んでいく。
「ま、待ちなさ〜い」
「お前の相手は我輩だケロ」
そう言うと、ブロンズガマーは手にしたハンマーをぶんぶん振り回し、瑠夜を攻撃する。
ブロンズガマーの一撃を受け、空中に吹っ飛ばされる瑠夜。
しかし、空中で態勢を立て直し、校舎の屋上の上に降り立つ。
「瑠夜ちゃん、変身だポポ!」
「うん、解った!!」
どこからともなく安物の宝石がちりばめられた棒・・・マジカルソリッドロッドを取り出す瑠夜。
「ペトラトペトラスペトリフィケイト〜」
魔法の呪文を唱えながら、マジカルソリッドロッドを振り子のように左右に振った後、
くるりと一回転して、ソリッドロッドを天高くかかげる。
すると、瑠夜の身体がまばゆい七色の光を発して、何も見えなくなる。
光の中には、一糸纏わぬ生まれたままの姿となり、貧相なバディをあらわにしている瑠夜がいた。
「カチコチカチコチカタメール〜。」
足元に茶色い光を放つ魔方陣が現れると、無数の蛇が現れ、彼女の未成熟な身体を包み込んでいく。
無数の蛇が瑠夜の身体を覆い尽くすと同時に、彼女は金色の光に包まれる。
光がおさまった後には、シルバーメタリックのボディに鮮やかな電飾をまぶしたプロテクターに身を包んだ
まじかる★ふらりんに変身を遂げた瑠夜の姿があった。
「まじかる☆ふらりん、とーじょーっ!!」
左手を腰にあてがい、右手を高々と天に向けて差し上げながら、
我ここにありといった感じで颯爽と立っている。

『まじかる★ふらりんは、わずか1ミリ秒で、蒸着を完了する。
では、蒸着プロセスをもう1度見てみよう。
漆黒の妄想エネルギーが、ソリッドベースの増幅システムにスパークする。
増幅された妄想エネルギーは、茶色いソリッドメタルに転換され、
まじかる★ふらりんに、石化蒸着されるのだ。』

「で、あんた誰ポポーーーーっ」
突如、まじかる★ふらりんの変身プロセスを説明した謎の声に突っ込む妖精ポポ。
謎の声の返答は無かったが、代わりに高飛車な声が降り注ぐ。
『ほほほほほほほほほほ!!!現れましたわね。貧乳・魔法・少女!!!』
ベローネ学園の上空に映し出される巨大な映像。派手な神官衣に身を包んだ胸の大きな女性が
口に手をあてて高笑いをあげていた。
「あ・・・あなたは・・・・、うしちちエロ神官!!」
『大神官クミーじゃっ!!ふっ、そんな減らず口をたたけるのも今のうちですわ!
特別戦闘員の皆さん、レッツビギンでございますわ!!』
まじかる★ふらりんの周囲に群がるように現われる数十人の少女達。
そのどれもが無表情あるいは放心状態で上半身を揺らしながらゆっくりと近づいてくる。
皆、ベローネ学園の生徒達らしく、大半がブレザーとスカート姿であるが、
タータンチェックのスカートに赤いポロシャツで、手にクロスを持った少女もいれば
青いスクール水着で手にデッキブラシを手にした少女もいる。
『さあ、どうします?正義の味方が罪の無い一般市民を殴れますのかしら〜っ』
モップやデッキブラシ、ラケットなどを振り回し、まじかる★ふらりんに襲い掛かる少女達。
手を出せず、回避に専念するまじかる★ふらりん。
「どっ、どうしょう。ポポ!?」
「ふらりん!!これを使うポポ!!」
妖精ポポがそう言って取り出したのは、無骨な六本の銃身を束ねた、回転式機関銃−−
マジカル★ガトリングガンであった。
「撃つよ!!ポポ!!」
「行けポポ!!骨のズイまで固めてやるポポ!!」
まじかる★ふらりんはガトリングガンを腰だめに構えると、引き金を引いて叫んだ。
「マジカル★ガトリング、ファイナルアタック!!!」
吐き出される無数の弾丸は、まじかる★ふらりんに襲い掛かろうとしていた少女達の
顔や胸、手や足に次々に炸裂する。
全弾撃ち尽くしたまじかる★ふらりんが周囲を見回す。動くものはない。
「あの〜〜〜〜、なんかやってる事が相手と変わらないんですが・・・・・・宜しんでしょうか?」
「大丈夫ポポ・・・・・多分・・・」
スクール水着の少女は、胸のゼッケンのあたりに弾を喰らったため、苦悶の表情を浮かべて
のけぞったポーズで、ブレザー姿のある少女は頭に弾をくらったため、手にしたモップを
振り下ろそうとするポーズのまま、きつく目を瞑った顔だけがあらぬ方向に向き、
ラクロス部の少女は、右足に弾を喰らったため前につんのめて転びそうになったポーズのまま
その動きを止めていた。

この戦いを見ていた女帝M・A・D・Aは厳かに告げた。
「まじかる★ふらりんヲASFR空間ニ引キズリ込メ!」
それに応えて、大神官クミーが指揮杖を振りかざして命じる。
『ASFR空間に引きずり込むのですわ!』
「めぇええぇええぇぇぇぇぇぇ!!」
女帝M・A・D・Aと大神官クミーの命に従い、羊とも河馬ともつかない姿の
怪人が鳴き声をあげながら異形の装置のレバーを押し下げた。
すると、一転にわかに掻き曇り、雲間から稲光が走り、暴風が吹き荒れた。

急激に変わっていく環境に動きを止めたまじかる★ふらりんは、空に向かって叫ぶ。
「ミツクリーナOJ!!」
鮫を思わせる流線型のスーパーマシン、ミツクリーナOJが飛来する。
ボディはピンクがかかった白色、くちばしを連想させる機首は扁平だが非常に長く伸びており、
側扁形の胴体に、丸みを帯びている背びれや胸びれの様な翼と、長い尾びれの様な尾翼を備えた
陸・海・空、そして異次元航行すらも可能なスーパーマシンである。
まじかる★ふらりんはミツクリーナOJに飛び乗ると、ASFR空間へと突入する。
そして辺り一面、砂利しか存在しない場所にまじかる★ふらりんは降り立った。
そこへブロンズガマーが現れ、手にしたハンマーを振り下ろし、まじかる★ふらりんを吹き飛ばす。
先ほどとはパワーがダンチだ。
『説明しよう。ASFR時空では、ASFR獣は4倍のパワーを持つことができるのだ』
「だから、あんた誰ポポーーーーっ」
パワーアップしたブロンズガマーに苦戦するまじかる★ふらりん。
ホルスターから銃を抜いて、連射。数発が命中しブロンズガマーはよろよろと後退する。
すると、不意に辺りが暗くなる。
恐る恐る頭上を見上げると巨大な足の裏が迫って来る。
「にゃああああっっ!」
まじかる★ふらりんは世にも情けない悲鳴を上げて、転がるように逃げ出した。
地響きと共に、巨大な足が大地を踏みしめた。
「なっ、なっ、一体何のよ、あれっ!?」
「ボ、ボクに聞いてもわからないポポ!?」
間一髪、潰されるのを免れたまじかる★ふらりんが茫然と見つめる中、
水かきのついた巨大な足はその場をぐりぐりと踏みつけると
現れた時と同じようにに一瞬にして姿を消してしまった。
ざわっとした殺気を感じて、後ろを振り向くまじかる★ふらりん。
彼女の目に飛び込んできたのは、凄い勢いで迫ってくる巨大な水かきのついた手であった。
「んっきゃああああああ〜〜ん!!!」
巨大な手に張り手を受け、悲鳴を上げながら弾き飛ばされるまじかる★ふらりん。
地面に叩き付けられたまじかる★ふらりんに、追い討ちをかけるかの様に、
三機の戦闘機が攻撃して来た。
容赦なくまじかる★ふらりんを攻撃する戦闘機。
岩陰に隠れたまじかる★ふらりんは、筒状の武器を取り出すと肩に構えた。
「マジカル地対空ミサイル!」
そう叫ぶと、まじかる★ふらりんはトリガーを引いた。発射されたマジカル地対空ミサイルは
狙いたがわず、戦闘機を直撃、そして爆発。
残りの二機の戦闘機を続けざまに撃墜したまじかる★ふらりんの目に、
大きな土煙をあげながら何かが近づいてくるのが飛び込んできた。
「こんどは、何?」
何かが空を切る音が頭上から聞こえた次の瞬間、爆風に吹き飛ばされ、砂利の上を転がった。
激しい耳鳴りがまじかる★ふらりんを襲う。
砂ぼこりが舞い、一瞬あたりが何も見えなくなる。
何が起こったか理解できないまま、まじかる★ふらりんは立ち上がり、爆音の聞こえた方向に振り向く。
そこには・・・。
海に浮かんでいるはずの巨大な鉄の塊。
それが地響きを上げて採掘場を走行するという非常識な光景を目の当たりにして、
まじかる★ふらりんと妖精ポポは言葉を失った。
「・・・まあ、今更このSSで何やったって驚かないけど・・・
ぽかんと口を開けて唖然とする一人と一匹。
『びびっているでございますわね、貧乳・魔法・少女♪』
自慢の胸を揺らして、まじかる★ふらりんを嘲る大神官クミー。
「貧乳言うなーーっ」
右手を上げて反論するまじかる★ふらりん。だがその声に力はない。
「いやそれは事実だから、どうでもいい突っ込みポポ」
無言で妖精ポポの首を絞めるまじかる★ふらりん。
『驚くのは、これからでございますわよっ。ブロンズガマー、やぁっておしまいッ!』
「ゲロ、ゲロッ、ゲッゲェーーーッ」
ブロンズガマーの掛け声とともに、前部に2基、後部に1基配置された連装砲塔が火を噴く。
まじかる★ふらりんの周りに砲弾が着弾し、衝撃波と爆炎、そして無数の砂利を振りまく。
「ひやああああああああっ」
「ポポーーーーーッ」
降り注ぐ砲弾の雨のなか逃げ惑うまじかる★ふらりん。
『今日がまじかる★ふらりんの命日ですわ。おーっほっほっほっほっほ・・・』
「よーし、こうなったら・・・」
「電子石獣カモー!!」
拳を突き上げてまじかる★ふらりんが叫ぶ。天候が突如悪化し、周囲が暗くなる。
轟く雷鳴と共に、立ち込めた雷雲をかきわけてくすんだ茶色ののっぺりとしたボディに、
水掻きのついた足と、黄色く長いくちばしの機械で出来た巨体が現れる。
まじかる★ふらりんはジャンプして、その頭部に颯爽と立つ。
電子石獣カモーは水を掻き分けるかのように身体をくねらせながら、地上を走る巡洋艦へと向かう。
『そうこなくてはっ、返り討ちにして差し上げなさい』
「おまかせケロッ、クミー様。対空防御ファイアケロッ!」
ブロンズガマーの号令と同時に、高角砲4基と機銃15基が一斉に火を噴く。
凄まじい轟音と爆炎に包まれる電子石獣カモー。
「やったケロッ!!」
しかし・・・。
悠然と爆煙の中から姿を現す電子石獣カモー。その装甲には傷ひとつついていない。
「・・ば、化け物かケロ・・・」
「今度はこっちの番よっ、カモファイアー!!!」
その黄色く長いくちばしより吐き出された数千度の炎が、巡洋艦の分厚い装甲が飴細工のように
溶かしていく。そして火薬庫に引火、大爆発を起こした。
採掘場に投げ出されるブロンズガマー。それを追って、まじかる★ふらりんも地上に降り立つ。
相対する二人。
「ゲローーーーーーーーーーーッ!!!」
緊張に耐えられなかったのか、ハンマーを両手に持ってブンブンと振り回しながら奇声をあげて
突っ込んでいくブロンズガマー。
逆に、自分に向かって来るブロンズガマーを冷静に見据えて佇むまじかる★ふらりん。
手にした剣の鍔の部分から切っ先に手をかざす。
「レェェェザァ!ブレェドッ!」
まじかる★ふらりんの雄叫びとともに、光輝く剣・・・レーザーブレードがその姿を現す。
そして・・・。
「フラップダイナミックッ!!!!!」
青白い光が一閃。
真っ二つに両断されるブロンズガマー。
そして、爆発。
『今日のところはこの辺で許してあげるでございますわーっ』
捨て台詞を残して、去っていく大神官クミー。

『こうして、ブロンズガマーの恐るべき”世界の美少女ブロンズ像化計画”は阻止された
しかし、まじかる★ふらりんに安息の時は訪れない。
この世界の美少女をASFR帝国の魔の手から守るため、
まじかる★ふらりんはこれからも戦い続けるのだ。
戦え、まじかる★ふらりん!蒸着せよ、まじかる★ふらりん!』














「って、これのどこが魔法少女なのよーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」」
「・・・気付くのが遅いポポ。」
(おわり)


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