クローディアがお使いで町へ買出しに出かけた帰り道の事です。
森の中の道はずれで見つけた泉で、休憩もかねて水浴びをすることにしました。
綺麗な水のおかげで、髪の毛の埃もすっかり落ち、ようやくサッパリした気分になったその時、突然背後から閃光が襲います。
後ろ振り返ろうと首を回したその瞬間に全身が石になってしまい、すぐ後ろにあるはずの光の正体をその目に映すことはかないませんでした。
手には血の気がまだ残っているものの、力なく震えるのみで、じきに冷たい石と化しました。
固まらずに残った水滴のみが、ついさっきまで人だった物の滑らかな表面を伝って落ちていきます。
しかし、クローディア本人はついに動き出すことはありませんでした。
もし、かつてのクローディアを知る人がこの像を見ることがあれば、驚いた時に手を口にやる癖までもがそっくりにできていると思うことでしょう。
そして世界が始まって以来、何億回も天を巡り続ける太陽が、今日もゆっくりと沈んでいきます。
泉の中の石像にとっては最初の夜がやってきたのです。